石破・岸田・野田「ポスト安倍」達は今…総理の座に向けた3者3様の戦略
取材部

石破・岸田・野田「ポスト安倍」達は今…総理の座に向けた3者3様の戦略

  • 石破氏の選択は「議員票開拓」か「党員票強化」か 
  • 岸田氏は政調改革・地方行脚・夜会合でアピール
  • 野田氏「もっと国会の仲間と話さないと」

石破・岸田・野田 -総理大臣への道-

安倍首相が石破元幹事長を破って三選を果たした自民党総裁選(9月20日)
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安倍首相が三選を果たした自民党総裁選から3カ月。安倍首相に唯一立ち向かい総裁選に出馬した石破茂元幹事長。出馬を回避し安倍首相の三選を支持した岸田文雄政調会長。最後まで出馬を模索するも推薦人が確保できず断念した野田聖子前総務相。この「ポスト安倍」の有力候補3人の“いま”に迫った。

石破元幹事長・総裁選で見えた“議員票”の課題 

【石破派の政策研さんが再スタート】
12月17日。石破氏は東京都内で自身の政治資金パーティーを開催し、安倍首相と一騎打ちを繰り広げた9月の総裁選挙について振り返った。

その中で、議員票では安倍首相に水を開けられたものの、党員票では45%を得たことについて「45%の支持を生かす責任が私にはある」と強調し、「独りよがりにならないように大勢の意見に真摯に耳を傾け、国民を信じて語る。そのように来年も精進、努力をしていく」と述べ、次期総裁選への意欲を改めて示した。

自身の政治資金パーティーであいさつする石破元幹事長(12月17日)

自らが会長を務める石破派は、総裁選が終わった後も、月に一度のペースでの政策勉強会を開催したり、寝たきりの障害者がロボットを遠隔操作し接客する「分身ロボットカフェ」を視察するなど、「政策ツウな集団」として勉強を重ねてきている。次の総裁選に向けた政策づくりを意識した行動の一環と言っていいだろう。

【石破茂が抱える課題と次の一手】
一方で石破氏にとって大きな課題が議員票の開拓だ。石破派は20人と規模は小さい。それだけに、総裁選を勝ち抜くには石破派以外の議員への支持の広がりが不可欠だったのだが、参院竹下派や、無派閥議員の一部などからの支持にとどまり、議員票は伸び悩んだ。

自民党内では石破氏について「議員とメシを食わないから議員票が取れねえんだ(竹下派幹部)」といった厳しい声が多い。一方、石破派内からは「議員とメシを食ったからって簡単に票が増えるか?石破は石破らしくやればいいんじゃないか」という意見もあがっている。

その「石破らしいやり方」の1つは、2012年の総裁選でも今回の総裁選でも見せつけた「地方の党員からの支持という強み」が、議員票の拡大に直結するという形だろう。

石破氏は総裁選が終わった後も地方行脚を繰り返している。12月9日に投開票された茨城県議会選挙では、石破氏が現地に応援に入った候補者は全員当選するなど、地方での人気は健在だ。

こうした地方党員からの支持をさら強め、その地方党員の石破支持の声を地元の議員に波及させることで議員票拡大につなげていくのか。それとも石破氏自らが議員との接触を増やして直接、議員票を開拓するのか。石破氏とその周辺は、どちらの戦略にどれだけエネルギーをさくのか、難しいバランスに頭を悩ませているかもしれない。

地方行脚を行う石破元幹事長(10月13日 石川・金沢市)

石破氏に次の一手を問うと、「まずは来年の参院選、統一地方選で、総裁選でお世話になった方々に微力ながらできる限りのお手伝いをさせて頂きたい」との答えが返ってきた。
いつ訪れるか分からない「その時」に向け、時間の使い方が勝負の分かれ目になりそうだ。

岸田政調会長・次こそは総裁選へ出馬するのか?

【今はとにかく政策的成果を残す時期だ】
岸田氏は、総裁選で自らの出馬を断念し安倍首相の三選を支えた結果、政調会長に留任した。続投の決まった岸田氏は、矢継ぎ早に政調会長としての存在感を発揮する改革に着手した。

記者会見する岸田政調会長

まずは、「政調改革」と称して、自民党の政策機関である部会や調査会といった組織のスリム化を実行した。さらに、これまで年功序列が色濃かった部会長や調査会長のポジションに若手議員を積極的に起用した。加えて、予算などの基本政策について党から出た意見が、政府の方針に反映されたか再度チェックする仕組みを整えた。いわゆる“政高党低”を払しょくし党の役割を強化するためだ。同時にポスト安倍を意識したアピールという側面もあっただろう。

とはいえ党内では、こうした岸田氏の動きについて「所詮、自民党という集団の中の話であって、世間の関心はゼロだ。(自民党中堅議員)」と冷ややかに受け止める人は少なくない。一方で岸田氏の周辺はこう分析する。

「参院選の結果がどうなろうが政権交代は起こりえない。つまり政局も起きないってこと。だったら政策で成果を残すしかないだろう。そして政調会長留任というのは、安倍さんからのそういったメッセージでもある

【始まった地方行脚と夜の会食】
12月に入ると、「地方政調会」と称して政調会長という立場での地方行脚を始めた岸田氏。その意義について、岸田派の中堅議員はこう語っている。

 「隠れ岸田ファンや、会ってみたいが地元での立場があるって人は意外といる。だから政調会長って肩書で行けば、公務だからと言って会いやすくなる」

これは岸田氏の弱点と言われ続ける“知名度不足”を念頭に置いての話である。さらに、岸田氏は12月12日夜には、安倍総理の出身派閥にして党内最大派閥である細田派の幹部らとの会食を行った。

細田派幹部との会合に向かう岸田政調会長(12月12日)

出席した岸田派の幹部は「ある意味今日は記念すべき日になる。細田派とやったことが肝心なんだ」と、細田派=安倍首相との良好な関係をアピールできたことを満足げに語った。

もちろんアピールした先は世間ではなくて永田町だ。党員からの人気面で石破氏に後れを取る岸田氏としては、次の総裁選で勝利するためには、細田派からの支持は何としても得たいところだ。

岸田氏は、次の総裁選こそは出馬して勝利を掴むための道のりを再確認するかのように周囲にこう語る。
何をやったって文句を言うやつはいるんだ。今はやるべきことをやるだけだ

野田前総務相・3度目の正直、女性初の総理へ

【総裁選出馬断念・・・そこには“派閥”の壁】
野田氏が総裁選に出馬するための最大の障壁となったのは、“派閥”の壁”だ。野田氏は派閥に属さない無派閥議員であり、出馬に必要な20人の推薦人を集めるには、各派閥に所属する議員からの協力を得ることが不可欠だった。

野田前総務相

しかし今回の総裁選では、「安倍一強」の党内の状況を反映して、各派閥が、われ先にと「安倍支持」を表明した。安倍三選は既定路線という中で、各派閥にとって「ここで戦うのは得策ではない(岸田派議員)」という心理が働くのは自然だった。また、その後の論功行賞を考えれば、否が応でも各派の所属議員に対する引き締めは激しく、野田陣営による派閥の切り崩しは至難の業となり、出馬を断念せざるをえなくなった。

【カギは“国会議員”の仲間作り】
それでも野田氏は決して悲願の“女性初の総理”をあきらめてはいない。12月17日に開かれた自身のパーティーでの挨拶では、「前回(総裁選)の反省はもっと国会の仲間と話さないといけないことだ」と述べた。

自身の政治資金パーティーであいさつする野田前総務相(12月17日)

そこで野田陣営が、総裁選後に行っているのが、野田氏と国会議員との会食を増やすことだ。多くの自民党議員に、野田氏本人の総理としての“器”や“力量”を直接知ってもらう必要がある、それこそが野田氏の次の総裁選に向けた戦略の肝なのだ。

実際、野田氏は、総裁選で石破氏を支援した竹下派の吉田参院幹事長や、安倍首相側近の萩生田幹事長代行と会食するなど精力的に活動を続けている。

 また、10月1日の夜には、野田氏の盟友の浜田元防衛相・小此木国家公安委員長(当時)や地元・岐阜県選出の渡辺猛之参院議員ら総裁選で野田氏の擁立を目指した議員らが一堂に会した

それまで、ほかの陣営からの切り崩しを恐れ、陣営の議員同士が集まることは少なかったからか、参加議員からは「この人もそう(野田陣営)だったんだ!」などという声が上がったという。

“女性初の総理”を目指す野田氏が総裁選に出馬し、勝ち抜くためには“国会議員の仲間づくり”が最大のカギであることは間違いない。

「ポスト安倍」を射止めるのはだれか?

安倍首相

自民党総裁の任期は3期9年までと党則で決まっているため、今回の総裁選で安倍三選が決まったのと同時に、ポスト安倍の次期総裁選はスタートしているといえる。石破・岸田・野田の3氏にとってそれぞれ総裁選に向けた課題は違うが、総理の座をつかむには、党内の圧倒的な支持と人気を得る必要がある。

6年前の総裁選で安倍首相は、所属していた町村派(現細田派)ではなく、派閥横断的な“勝手連”の支援を受け総裁の座を射止めた。しかし、石破・岸田・野田の3氏は、残念ながらまだ自派や周辺以外から確かな支持を得られてはいない。

今後は、加藤総務会長(竹下派)や河野外相(麻生派)といった次世代の総裁候補も出馬に色気を見せてくることは間違いないだろう。今後、「ポスト安倍」に向け、3氏が自分らしい“旗印”を掲げ党内の支持をどのように広げていくのか今後の活動が注目される。

(フジテレビ政治部 福井慶仁 森本涼 門脇功樹)


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記事 1182 政治部

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