2020年7月に創業し、「酒粕ジェラート」やスキンケアブランド「INAHOSakeLees」など、酒粕を使ったサスティナブルな商品を作っている合同会社YOU。酒粕以外の原材料も自然由来のものを使用した地球環境にやさしい商品です。代表を務める松村裕子と夫の裕基は、もともとジムや整体院業を生業としていました。このストーリーでは、なぜ2人がYOUを創業し、酒粕を使った商品作りに取り組むことになったのか、代表夫妻が語ります。

◆中身もパッケージも、環境にやさしいものにこだわりを


――合同会社YOUの事業概要、特徴について教えてください。


裕子:酒粕を使ったスイーツ「酒粕ジェラート」から始まり、2022年1月からは同じく酒粕を使ったエシカルなスキンケアブランド「INAHOSakeLees」の販売も開始しました。両方とも、自然由来の原材料で作っていることが1番のこだわりであり特徴で、製造過程でもできるだけ自然に寄り添って作ることを心がけています。ジェラートはコクがあるけれど後味さっぱりなのが特徴です。「INAHOSakeLees」の化粧水や美容液は、肌にしっとりと染み込む高い保湿力を感じられます。パッケージは環境への優しさにこだわっていて、サトウキビを絞った後の廃棄となるカスを使用した紙を採用しています。


裕基:「酒粕ジェラート」も「INAHOSakeLees」も、ふるさと納税の返礼品に登録しています。酒粕ジェラートは会社のある大阪の一部コンビニエンスストアのほか、僕の地元であり原材料の酒粕を提供してもらっている石川県のスーパーでも販売されています。

◆創業のきっかけは「日本酒を造りたい」想い

――合同会社YOUを創業したきっかけについて教えてください。


裕基:きっかけは僕が日本酒を造りたいと言い出したことです。もともと日本酒が好きでして、まずは日本酒の作り方を知ろうと思いました。縁あって、同級生が7代目社長を務める石川県の銘酒「手取川」の醸造元「吉田酒造」の酒造見学をさせてもらうことに。そこで、日本酒もやはり素晴らしいけれども、同じく素晴らしい価値があるにも関わらず、いまいち日の目を見ていない酒粕の存在に気づいたんです。


裕子:吉田酒造さんは、持続可能な酒造りを目指されている酒造です。私は、社長さんから「自然は、壊すと元には戻らないんですよ」という話を聞いて心を揺さぶられました。例えば、建物を建てるために地下を掘り起こし、岩を動かすと、山からの水の流れが変わってしまう。そして、1度変わった流れは2度と戻らないのだそうです。昔は人が自然に寄り添って生活していたけれど、今は自然を寄り添わせている。だから自然が壊れていっているんだと聞き、なるほどな…と思いました。今、世界的にSDGsが注目されていますが、昔ながらの自然に寄り添った製法を選べば、おのずと自然にやさしい作り方ができると言われ、自分でも考えてみるようになりました。


裕基:日本酒造りは挑戦するハードルが思っていた以上に高かったこと、無駄にされてしまっている酒粕の存在を知ったことで、「酒粕に価値を付けて世に送り出すこと」を目標にしました。各酒造さんも工夫を凝らして再利用しているのですが、大量に出るものなので、どうしても廃棄が出てしまうのが現状です。それを何とかしたいと思い、会社を立ち上げました。


◆「酒粕ジェラート」ができるまで

――最初の商品「酒粕ジェラート」ができるまでのエピソードを教えてください。


裕基:酒粕を使って何ができるのかを考えたとき、最初に思い浮かんだのが食品でした。でも、そこから「これだ」という案が出てこない。何が作れるんだろうと考えながら歩いていたとき、偶然知り合いのシェフにばったり出くわしたんです。近況報告の流れで、シェフに相談したら「ジェラートがいいんじゃないか」と案をもらいました。酒粕に新たな価値を付けたいという僕らの想いに共感してくれたシェフは、試作品作りにも協力してくれ、完成にこぎ着けられました。


――ドラマのような展開ですね。完成までに苦労はありましたか?


裕基:配合する酒粕の量を決めるのが難しかったです。少なすぎたら酒粕ジェラートの意味がありません。でも、多すぎたら美味しくなくなってしまいます。また、酒粕は発酵し続けていますから、冷凍品であっても時と共に風味が変わってしまうんです。そのことも加味したベストな配分を検討し、ミルクなど、ほかの原材料を入れる工夫も凝らしました。


あとは、販路開拓も大変でしたね。食品流通の知識なんて持ち合わせていませんでしたから、とにかく当たって砕けろ精神で大手スーパーから個人商店、道の駅、高速道路のPAやSAなど、思いつくところに営業に生きまくりました。流通の専門用語も知らない人間の営業ですから、ほとんどが門前払いに終わりましたね。その中で、「じゃあバイヤーを繋げます」「1回入れてみましょう」と言ってくれるところが出てきてくれたおかげで、徐々に売り先が広がっていきました。


◆もっと酒粕を使いたい。「INAHOSakeLees」ができるまで

――その後、2022年1月に「INAHOSakeLees」を立ち上げました。化粧品に目を向けたのはなぜですか?


裕子:ジェラートを含む食べものは酒粕の消費量が少なく、数グラム程度しか使えないんです。創業の原点は「酒粕の廃棄を何とかしたい」想いでしたから、この規模だと難しいなと。そこで、ほかに何か活用できないかと調べていったところ、酒粕には美容成分がたくさん含まれていると知り、「これだ」と思いました。


裕基:酒粕は何トン単位で出てくるので、数グラムレベルだと廃棄をなくすにはあまりにも程遠い。酒粕をエキスにしてコスメに変えれば、より多くの酒粕を新たな形に変えられると思いました。


――化粧品作りも知識や経験がない中でのスタートとなったかと思います。どのように実現に至ったのでしょうか。

裕子:これもご縁ですね。自然派コスメに詳しい方に製造元となる鹿児島県大隈半島にある工場と繋いでいただきました。


裕基:僕は「何かやりたい」と思ったら、あちこちでいろんな人にその話をするんです。それが結果的に縁を呼んできてくれる。自分でも奇跡だなと思っています。その工場は小学校の廃校を利用していまして、すべて自然由来のもので製造されています。すべて自然由来のものを使ってOEMで作ってくれと言うと、対応してもらえる工場がかなり限られてくるので、このご縁をいただけたことは非常にありがたかったですね。



――こだわった点、苦労した点を教えてください。


裕基:サスティナブルを謳っているのに添加物や香料を入れてしまうと、地球や人にやさしくなくなってしまうので、できるだけやさしいものを作ろうと心がけました。完成まで7~8ヵ月後くらいですかね。また、パッケージにもこだわっています。容器は、コストを考えるとプラスチック製品が安いのですが、サスティナブルな視点で考えてガラス容器を採用しました。ガラス容器なら化粧箱が必要となります。でもそこで紙をいっぱい使ったら環境にやさしくないよねと……。この課題も、知人に紹介してもらった、サトウキビを絞ったあとの廃棄物となるカスを使ってパルプを作っている製紙メーカーに化粧箱を製造してもらうことでクリアしました。パッケージも含め、なるべく循環しているものを選びたかったんです。


裕子:中身もパッケージも苦労しましたね。何回もテスターを重ね、ようやく肌に染み込む使い心地を出すことができました。


裕基:完成させられたのは、本当に「たまたま」が重なってくれたからだと思っています。あらためて、人とのつながりの大切さを実感しました。


◆「酒粕×価値があるのに捨てられているもの」で、新たな商品作りに挑戦したい

――創業時を振り返ってみた今伝えたいメッセージと、今後への想いを聞かせてください。


裕子:2年前に酒造見学に行ったときに「自然は1回壊すと、根本を戻せない限りは壊れ続けてしまう」と聞いて、さみしさや悲しみを覚え、自分に何ができるだろうと考えるようになりました。私たちがやっていることはほんの小さなことかもしれませんが、いいものを無駄にせず、人と人とのつながりも大切にしながら、自然とのつながりを大事にしていきたいなと思っています。


裕基:事業化させたことで、あらためて人は1人では生きていけないこと、人とのつながり、自然とのつながりを大切に、寄り添って生きていくことの大切さを感じました。酒粕以外にも、価値があるのに捨てられているものはあります。酒粕をベースにしながら、まずは地元・石川で廃棄せざるを得なくなっているものを掛け合わせる取り組みをしていきたいですね。








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