8月3日召集の臨時国会で行われる安倍元首相の追悼演説を自民党・甘利前幹事長が行う方向となったことについて、与野党から様々な声があがっている。
甘利氏は、第一次安倍内閣で経産相を、第二次安倍内閣でも経済再生担当相を務めるなど、安倍元首相の盟友として知られ、安倍元首相、麻生副総裁、甘利氏3人の頭文字をとり「3A」と呼ばれていた。
関係者によると、甘利氏が行う方向となったのは、昭恵夫人の意向だという。
一方で、首相経験者が亡くなった場合、野党第1党の党首や元首相が演説を行うことが国会の慣例となっている。
立憲民主党の西村幹事長は7月26日、「慣例から極めて逸脱する。再考してもらわなければならない」と批判した上で、甘利前幹事長の過去の金銭授受疑惑にも触れ、「(演説者が)政治と金を巡る問題である甘利さんであるとすれば、何重もの意味で故人の弔い方としては良くないことだと思う」と述べた。
別の野党幹部も「喧嘩を売っているとしか思えない。自民党からも反対の声が出るのではないか」と厳しく批判した。
自民党内からは「議会は慣例を大事にしないといけないとは思うが、遺族が仰っているなら、そこまで大騒ぎする必要はないと思う」との声があがる一方で、野党が反対の声をあげることに理解を示す議員もいるなど、自民党内でも温度差があるのが実情のようだ。
ある関係者は、追悼演説は立憲民主党の野田元首相や自民党の菅前首相が行う案もあったと明かす。
追悼演説の人選が思わぬ形で反発を呼ぶ中、政府関係者は「誰がいいか分からないが、安倍元首相を追悼するのにふさわしい人に演説してほしい」と語った。