【※編集部注:「めざましテレビ」12月21日放送分に、情報を一部更新し追記しました。】
日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者について、東京地検特捜部は21日、会社法の特別背任の疑いで再逮捕した。
私的な株などの投資による損失18億円以上を日産側に移転させる契約で、会社に負担を負わせるなどした疑いがもたれている。
ゴーン容疑者は直近3年間の報酬を、有価証券報告書におよそ42億円少なく記載していた疑いで、東京地検特捜部に再逮捕されていたが、東京地裁は20日、勾留延長を認めない決定を下していた。
しかし、今日の再逮捕を受け、ゴーン容疑者の身柄は今後も拘束される可能性が高い見通しとなった。
そもそも、なぜゴーン容疑者の勾留延長は認められなかったのだろうか。
勾留延長が認められないのは「異例」

日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者と、前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者について20日、東京地裁は勾留延長を認めない決定を下した。
2015年3月期までの5年間に約50億円の報酬を過少記載した疑いで、先月19日に逮捕されたゴーン容疑者。東京地検特捜部は10日間の勾留に加えて、10日間の勾留延長で捜査を進め、12月10日に起訴した。

その同じ日、ゴーン容疑者は、今度は2018年3月期までの3年間に約40億円の報酬を過少記載した疑いで再逮捕され、合わせて90億円の過少記載については「退任後の報酬額は確定しておらず、記載義務はない」と否認した。
そこで東京地検特捜部は、10日間の勾留を迎えた20日、さらに10日間の勾留延長を申し立てたが、東京地裁は認めなかった。

元東京地検特捜部検事・中村国際刑事法律事務所の中村勉弁護士は「異例だと思います。特捜事件で認められないというのは、聞いたことがないですね」としつつ、「逮捕勾留がなされて、それについては既に起訴されたので、その後、再逮捕されたわけですが期間が異なるというだけであって、もうすでに起訴している事件と同じ事件なんです。証拠も共通していて、身柄拘束を継続してまで捜査を継続する必要性はないと判断したんだと思います」と話した。
検察内部には「裁判所は世論に流された」との声もあるというが、勾留延長が認められなかったことに、東京地検の久木元次席検事は「請求が認められなかったので、今後の影響はあると思うが最善を尽くしたい」と発言した。
その後、特捜部は決定を不服として準抗告を申し立てたが、東京地検はこれを棄却。関係者によると、ゴーン容疑者は特に驚いた様子はなく、「名誉を回復したい」「このままでは絶対に納得できない」という趣旨の発言をしていたという。
また、ケリー容疑者の妻、ドナ・ケリーさんは「夫は西川社長が率いる日産幹部の権力争いに巻き込まれ、不当に疑われたのです」と訴えた。
ゴーン容疑者は日産に“逆襲しない逆襲”も?

事件の今後の展開は、日産やルノーの経営、そして「3社連合」の関係にどんな影響を及ぼすのだろうか。
ゴーン容疑者を20年近く取材してきた、経済ジャーナリストの井上久男さんは「自分を解任した日産に対してなんらかの圧力をかけていく可能性はあります。日産の会長を解任されたことを、無効だと民事の裁判を起こす可能性もある」としつつ、「私は、“逆襲しない逆襲”もあると思っています。いま日産内部に、かなり不満がたまっていて、黙っていても日産が衰退していく、自滅していくというストーリーもあるんじゃないかと。ゴーンは、すごく賢い人なので、そういった選択肢を選ぶ可能性もありますよね」と明かした。
また、「3社連合」への影響を「ルノーは日産と別れたくない、日産もルノーと別れたくない。でも、ゴーンがこのままルノーのCEOに留まれば、日産はルノーと別れる決意をすると思います」と指摘した。
(※「めざましテレビ」12月21日放送分に最新情報を追記)