酒や料理に、睡眠作用がある薬物を飲ませて、意識を失わせて、性的暴行やわいせつ行為に及ぶ事件が後を絶たない。今回、逮捕されたのは、薬剤師の男だった。

缶酎ハイを飲みながら帰宅途中に

神奈川県警伊勢原署の調べによると、薬剤師の海藤智仁容疑者(31)は、去年7月13日夕方ごろから、24歳の知人女性と、食事をしていた。女性は、海藤容疑者が働いている薬局の別の系列店で、事務職をしていたという。

送検される海藤智仁容疑者(31)(15日 伊勢原署)
送検される海藤智仁容疑者(31)(15日 伊勢原署)
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海藤が、各店舗を巡回する機会があり、その際、女性と知り合ったとのこと。5回ほど一緒に仕事をするうちに、女性が海藤容疑者に仕事の相談などを持ちかけるようになったそうだ。2人は、食事を終え、飲食店を後にした。

その後も、飲み足りなかったのか、コンビニエンスストアで缶酎ハイを購入し、飲みながら、歩いて帰途に就いたという。すると、女性が「トイレに行きたい」と訴えたそうだ。海藤容疑者は、自宅マンションのトイレを使うよう促したとのこと。

目覚めた女性は裸だった

女性が、用を足している間、海藤容疑者は、自宅にはあがらなかった。女性の飲みかけの缶酎ハイを手に、マンションの外で待っていたそうだ。女性が戻ってくるまでに、”その中”に睡眠薬を入れるには、十分な時間があった。

伊勢原署は、事件翌日、容疑者宅を家宅捜索。睡眠薬およそ400錠を押収した。
伊勢原署は、事件翌日、容疑者宅を家宅捜索。睡眠薬およそ400錠を押収した。

そして、2人は、神奈川県・伊勢原市の女性宅に向かうことに。この辺から、女性は、記憶が曖昧になったという。時刻は、すでに午後11時ごろになっていたようだ。翌朝、目覚めた女性は、自分が裸で寝ていたことに気づく。室内には海藤容疑者もいたという。

海藤容疑者に対して、自宅から出て行くよう伝えた女性は、その場で、110番通報をしたという。県警の動きは速かった。翌日には、海藤容疑者宅の家宅捜索に乗り出した。室内からは、数種類の睡眠薬がおよそ400錠発見された。いずれも処方箋が必要な薬だった。

400錠の睡眠薬 入手経路不明

それから裏付け捜査を重ねた県警は、事件から1年後の今年7月14日、海藤容疑者を逮捕した。容疑は準強制わいせつ。睡眠作用のある薬物を女性に飲ませて、抵抗不能の状態にさせて、女性宅にあがりこみ、衣服を脱がせた上で、わいせつな行為をしたとされる。

自宅からは400錠の睡眠薬。入手経路は分かっていない。
自宅からは400錠の睡眠薬。入手経路は分かっていない。

現在、事件当時とは別の薬局で、薬剤師として働いている海藤容疑者。大量の睡眠薬の入手経路は分かっていない。勤務先から持ち出したものなのかも不明だ。調べに対して「間違いありません」と容疑を認めているという。

狙われる「トイレの隙」

当サイトでも、度々、取り上げているが、睡眠作用のある薬物を飲ませて、女性の意識を失わせた上で、性的暴行・わいせつ行為に及ぶ事件が後を絶たない。性暴力目的に使われる薬物は「デート・レイプ・ドラッグ」とも呼ばれている。

美容クリニック院長・た竹沢章一容疑者(42)は、準強制性交などの疑いで逮捕された。
美容クリニック院長・た竹沢章一容疑者(42)は、準強制性交などの疑いで逮捕された。

睡眠薬を使った性犯罪は、おととし、全国で60件摘発された。およそ10年で4倍に増えたとされる。今月、東京・中央区の美容クリニックの院長の男が、部下の女性に対する、準強制性交の疑いで逮捕された。

レストランで、一緒に食事をしている際に、お酒か料理に、薬物を混入させたという。女性が、トイレに行こうと離席した隙を狙われたとみられている。今回の事件でも、用を足している間に、缶酎ハイに睡眠薬が混入されている。「トイレの隙」を狙った、卑劣な手口と言える。