発生数多く、勢力強く、上陸多かった「台風」

2018年の台風は記録にも記憶にも残るものだった。

気象庁のまとめによると、2018年の台風の発生数は29個で平年値の25.6個を上回った。日本へ接近したのは15個で、そのうち12号、15号、20号、21号、24号の5個が上陸した。
8月には9個が発生し、1951年の統計開始以降8月の発生数としては1960年と1966年の10個に次ぐ3位タイの多さだった。

台風21号の被害
台風21号の被害
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勢力が強い台風の多さも特徴的だった。

最大風速54m/s以上の「猛烈な強さ」まで発達した台風は7個で、データのある1977年以降で、これまで最多だった1983年の6個を上回った。

甚大な被害をもたらす記録的な台風が多い1年だったと言える。

発生した29個の台風のうち日本へ接近した台風は平年値の11.4個を上回る15個で、そのうち日本へ上陸した台風の5個という数字は平年の2.7個の約2倍の多さだ。

気象庁HPより
気象庁HPより

各地で甚大被害…史上初の“変則的カーブ”も…

9月4日に徳島県南部に上陸した台風21号は、1993年の台風13号以来25年ぶりに「非常に強い勢力」で上陸。
この台風では四国や近畿地方を中心に暴風や高潮による被害をもたらした。関西国際空港が浸水し利用客が取り残され、漂流した大型船が連絡橋に衝突した衝撃的な映像は記憶に新しい。

台風21号の被害
台風21号の被害
台風21号の被害
台風21号の被害

また7月29日に三重県に上陸した台風12号は西日本を東から西に横断する史上初の変則的なカーブを描いて列島を駆け抜けた。こんな台風があるんだということに驚いた。

西日本を東から西に横断した台風12号
西日本を東から西に横断した台風12号

かわいい?台風の名前まで注目に…

台風の名前まで注目されたのも興味深い現象だった。

台風防災に関する日本を含め14か国の政府間組織である「台風委員会」が名付けた140個の名前を順番につけていくのだが、今年はラオスが名付けた高原の名前の「ボラヴェン」から始まり、北朝鮮がつけた12号の「ひばり」を意味する「ジョンダリ」あたりからだったかネットでざわつき始めたのを覚えている。
14号は日本が名付け親の山羊座の「ヤギ」、非常に強い勢力で上陸した21号が韓国で「つばめ」を意味する「チェービー」だったり、最後に日本へ上陸した24号がベトナムの花の名前の「チャーミー」と意外とかわいい名前だと話題になっていた。

気象庁HPより
気象庁HPより

記録にも記憶にも残る台風が多く駆け抜けた1年だったが、来年も想像を上回るような台風が発生しないとも限らない。自然現象の激甚化に歯止めがかかる日は果たして来るのだろうか。

(執筆:フジテレビ社会部防災担当 長坂哲夫)

長坂哲夫
長坂哲夫

フジテレビ社会部 気象庁担当