2億円規模の詐欺グループメンバーの裁判

2020年夏、新型コロナの影響で収入が減ったと嘘の申請をし、国の持続化給付金合計700万円を騙し取った詐欺の罪に問われている東京国税局元職員の中村上総被告(24)と大和証券元社員の中峯竜晟被告(27)の第2回公判が6月29日、東京地方裁判所で行われた。

中峯竜晟被告(27・左)と中村上総被告(24・右)
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この2人は、持続化給付金の不正受給を2億円規模で行った詐欺グループに所属しており、一連の詐欺事件をめぐっては、主犯格とされドバイに逃亡していた松江大樹容疑者(31)や東京国税局職員の塚本晃平(24)容疑者ら合わせて8人が逮捕されている。

ウェーブのかかった長髪に黒縁めがね姿の中村被告と黒スーツに白シャツ、丸刈り頭で出廷した中峯被告は、裁判官から起訴事実に間違いがないか問われると「間違いありません」とよどみなく答えた。

長髪の中村被告と、頭を丸刈りにした中峯被告(イラスト:石井克昌)

確定申告書作成は中村被告の担当

中村被告は国税職員時代から投資に興味があり、2人は中峯被告の投資オンラインサロンを通じて知り合い、仲を深めていった。そして、中峯被告に誘われる形で不正受給詐欺に手を染めていった。

国税職員だった中村被告は、”確定申告書類の作成“を担当したという。

中村被告は、詐欺グループの中で、”確定申告書類の作成“を担当。主犯格の松江容疑者から国税職員としての知識や能力を買われていた中村被告は、200人にも及ぶ不正受給者の書類作成に関与していくこととなる。その中には未成年や大学生も含まれており、被告人質問では次のように話している。

弁護人:受給者には大学生も含まれていましたよね?
中村被告:最初はマイニングエクスプレス(※松江容疑者の投資グループ)の売り上げがあった人の不正受給の申告書作成を頼まれたが、途中から大学生が入ってきてた。話が違うと思ったが、不正受給はバレにくいと言われ、承諾しました。手数料が目的でした。

不正受給を指南した”手数料”として、詐欺グループは、給付金100万円のうち20万円を受け取っていた。この20万円を松江容疑者と指示役の共犯者・濱口正太被告、中峯被告、中村被告の4人で5万円ずつ山分けしていたという。

法廷で、中村被告は「国税職員を経験していたのに悪いことに使ってしまった」と懺悔した。

中村被告は、未成年者や大学生で、前年に売り上げのない人たちの不正受給を手引きしていることに”危険”を感じていたが、手数料に目がくらみ、そのままズルズルと続けていったという。そして、中村被告の手数料は合計1000万円にまで膨れ上がっていた。被告人質問の最後に、下記のようなやり取りが見られた。

裁判官:国税職員として裏側や制度を理解していたのに詐欺に関わりました。それについてはどう思いますか?
中村被告:せっかく貴重な国税職員を経験していたのに悪いことに使ってしまった。浅はかで愚かなことをしたと反省しています。

法廷では、国税職員と元証券マンが、給付金詐欺にのめり込んでいく様子が語られた(29日 東京地裁)

給付金申請は中峯被告の担当

中峯被告は大和証券から独立し金融ビジネスを始めようとした時、主犯格の松江容疑者を知人から紹介されたという。当時、松江容疑者はレストラン3店舗を経営するなど実業家として活躍していて、松江容疑者を通じて多くの人を紹介してもらったという。

元証券マンの中峯被告は、給付金申請を担当していたという。
ドバイから帰国した松江大樹容疑者(31)

そして2020年6月頃、松江容疑者から電話で「マイニングエクスプレスの会員の持続化給付金を申請しよう」と持ちかけられ、オンラインサロンの教え子・中村被告を誘い、犯行に及ぶことになる。裁判で松江容疑者・中村被告との関係について下記のやりとりをしている。

検察官:松江さんはどんな印象でしたか
中峯被告:すごく論理的で、ザ・経営者という印象でした
検察官:(給付金申請について)だれから指示を受けていましたか
中峯被告:すべて松江さんに指示を仰いでいました
検察官:なぜ松江さんが中峯さんを誘ったか知っていますか
中峯被告:松江さんは、「証券会社に務めていた」と、(マイニングエクスプレスで)僕をブランディングしていたので、金融にかかわっていたから白羽の矢がたったと思います
検察官:中村被告との関係は?
中峯被告:中村さんは僕の金融の教え子でした
検察官:なぜ中村被告を選んだんですか
中峯被告:個人の確定申告は自分でも(指南)できるが、専門的なものは中村さんに頼もうと思いました。あと、仲が良かったからです

法廷で、中峯被告は「目先のお金に目がくらんでしまった」と懺悔した。

被告人質問の最後に裁判官から犯行の動機について聞かれ、以下のように言葉を絞り出した

中峯被告:目先のお金に目がくらんでしまいました。僕のやったことは許されない行為です。一生許されないかもしれませんが、社会で働きながら償っていきたいです。

裁判の焦点は詐欺グループ主犯格、松江容疑者へ

今後の審理については、6月13日にドバイから帰国後に逮捕された主犯格の松江容疑者の捜査状況と、不正受給した給付金の弁済状況が大きく関わってくるとみられる。次回公判は8月16日。国税職員も関与した詐欺グループによる一連の持続化給付金詐欺事件はどのような展開をみせるのか、その行方を注視したい。

2億円”給付金詐欺”事件の主な登場人物

(フジテレビ社会部・司法クラブ 森将貴)

記事 959 社会部

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記事 6 森将貴

フジテレビ社会部 司法クラブ検察担当 岐阜県出身、大学時代は応援部主将