知事から賛成相次ぐも反対の声も

安倍首相:
9月新学期の動きについて、慎重にという意見もある事は十分承知しているが、 これくらい大きな変化がある中において、 前広に、様々な選択肢を検討していきたいと考えている。

臨時休校が長期化する中で浮上した学校の“9月入学”案について、安倍首相は29日「前広に様々な選択肢を検討したい」と表明した。

この記事の画像(6枚)

“9月入学”の実現には、自治体の協力が不可欠だ。
全国知事会の緊急テレビ会議では、 導入に前向きな意見が相次いだ。

東京都 小池知事:
私は、長年、9月論者の一人。こうした機会を捉えて、教育システム、すなわち、それは社会全体のシステム、これを変えていくきっかけにしていく。これを来年にしますでは、モメンタム(勢い)はなくす。

大阪府 吉村知事:
学力格差を解消するという、コロナとの関係では、 こういうのは、非常に有効な手段だと思う。日本の未来、若者の将来というのを考えたときにも、 やはり9月入学は、僕は実現するべきだと思う。

全国知事会は、政府に対し、“9月入学”の検討を含めた国としての方針を示すよう求めていく考えだ。

一方、否定的な意見も…愛媛県の中村時広知事は、「議論を進める事に異論はないが、性急な導入には反対する」と、表明した。

導入には課題・問題が山積

“9月入学”の導入は、簡単ではない。

春に新入社員を採用している企業側の対応、4月からを新年度としている国や自治体の予算の扱い。さらに、それら制度変更に伴う膨大なコストなど、解決すべき大きな問題があるのだ。

文部科学省の幹部は…

文科省幹部:
現実的ではない。8月にコロナが終息するなら話は別だが、そうとは限らない。

また、別の幹部も…

別の文科省幹部:
9月にずれたから就職できないのかとか、会計年度の問題もある。実際やるとなると、自治体に大きな負担がかかることになるが、自治体側はそれを承知して言っているのかは、分からない。

などと、実現は難しいとの見方を示している。 

9月入学以前に対話型オンライン授業の拡充を

三田友梨佳キャスター:
9月入学をめぐりさまざまな議論がありますが、いかがですか。

IoT・AIの専門メディア「IoTNEWS」代表 小泉耕二氏:
9月に入学時期をずらしたところでウイルスが収束しているかは誰にもわからないですよね。それに、世界的なスタンダードが9月入学ですとか、留学しやすくなるとか様々なメリットをいう人がいるのですが、それ以前に、私は対話型のオンライン授業拡充、これができればいいと思います。

一部やっている学校はあるのですが、これまでの授業は教師がワンウェイで授業をしていって、それを書き写すという感じのものが多かったと思うんですね。今回、オンラインになったということで、教室の空気感に左右されずに、自分の意見も言いやすくなりますし、あるいは先生も誰かに当てて話しているのをみんなが聞いて、それに対してみんなどう思う、とそういう会話もみなやりやすくなるんじゃないかと思います。

三田友梨佳キャスター:
そういった取り組みによって教育の形も大きく変わっていくかもしれませんね。

IoT・AIの専門メディア「IoTNEWS」代表 小泉耕二氏:
そうですね。しかし、体育や音楽であったり、理科の実験だったり、リアルな体験を大事にする授業もありますので、オンラインでやること、オフラインでやることをきちんと分けて、リアル体験も含めた授業のあり方をブラッシュアップしていくことが大事だと思います。

三田友梨佳キャスター:
9月入学に関しては、私自身、留学の際に欧米との入学時期に悩んだこともありました。しかし、いまは自宅で過ごす一人でも多くの子供たちに学びの機会を提供できるように、オンラインで学習できる環境をしっかり整えることを優先して考えるべきだと思います。

(「Live News α」4月29日放送分)