<原発避難者訴訟 国の責任を認めないとした今回の最高裁判決 内容を整理>
最高裁が【国の責任】について統一の判断を下した集団訴訟は、全国最大規模。福島のほか千葉・群馬・愛媛の4件。

《千葉訴訟》一審で国の責任が認められなかったものの、2審で逆転。
《群馬訴訟》一審で認められた判決が、二審で覆っていた。

判断が分かれていたこの4件の集団訴訟で、争点となったのが2つ。
1.津波を予測することができたのか。
2.東京電力に対して対策を取らせていれば事故は防げたのか。

最高裁判所の判決が…
◆津波の予測については触れず、「押し寄せた津波が想定より規模が大きかった」
◆「仮に事故を防ぐための対策を取らせても事故が発生する可能性はあった」

津波予測についてポイントとなったのが【長期評価】
2002年に出されていた地震の長期評価で、可能性があるとされた規模はマグニチュード8.2前後。一方、実際に発生したのはマグニチュード9.1。
また、原発の主要建屋付近を襲う津波の深さについて、長期評価をもとにした試算では約2.6mまたはそれ以下だった。一方で、東日本大震災は最大5.5m。

最高裁は「長期評価をもとに国が東京電力に対策をとらせていたとしても、事故が発生していた可能性が相当にある」とした。

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<最高裁判決のポイントは?取材を担当した福島テレビ阿部加奈子記者の解説>
ポイントは【仮定に仮定を重ねた判決】です。
最高裁の判決文を読むと『事故以前の知見では、仮に防潮堤を作ったとしても事故は防げなかった。仮に国が規制権限を行使して東京電力に対策を取らせていても事故は防げなかった』
このように【仮に】という言葉が並んだ上で、国の責任は認められないという判決内容でした。

争点となっていた【津波を予測できたのか】これの基となる『長期評価』の信頼性については触れられず、原告側が求めていた『前提』については示されなかった。

福島・生業訴訟の弁護団の馬奈木弁護士は「原発事故の責任を誰もとらないということになる。あの深刻な被害を与えた原発事故からの教訓は何だったのか。
到底受け入れられる判決ではない」と憤りを露わにしました。

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<最高裁の判決を、原告はどう受け止めているのか?>
報告集会の会場には、福島・千葉・群馬・愛媛の集団訴訟の原告や支援者など約300人が集まり、国の責任を認めなかった最高裁の判決の内容について説明を聞いた。

参加した原告からは…
◆「高裁の判決が覆ると思わなかった。この判決を聞き、怒りでいてもたってもいられず会場に来た」
◆「血も涙もない判決」
◆「被災した当初だけでなく、裁判でもこんな仕打ちを受けるのか」
◆「なぜこのような判決になったのか理解したくて足を運んだ。弁護士の解説を聞いても、きっと理解できず、怒りが募るだけだと思う」
◆「何が何でも国に責任を認めさせたい。裁判以外でほかに方法がないかを知りたくて訪れた」

溜息や涙をこらえる声も聞こえてくる集会は、午後7時半まで行われた。

福島テレビ
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