ネットを通じて購入した“やせるゼリー”を食べた直後、体調を崩したと訴える女性。猛烈な吐き気や頭痛などに襲われ、その症状は3週間に渡って続いたといいます。

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厚労省・自治体が注意喚起

今回、問題となっているのは「ダイエット用食品」。ダイエットへの関心について、街の人は…

20代女性:
(関心は)結構ありますね。ネットで調べたり

30代女性:
どちらかというと部分痩せっていうのは見たりしますね。サプリは(買ったことが)あります

20代女性:
めちゃめちゃ(関心)あります。(サプリを)頼んだことあります。飲んだら1カ月で痩せますよみたいな、よくYouTubeとかでありますよね。それにつられて1回頼んだことはあります

若い世代を中心に関心が高い、ダイエット食品。6月7日、厚生労働省や自治体が注意を呼びかけました。

千葉市役所HP:
インターネットを通じてダイエット用食品を購入した市民1名から体調不良の相談があった

兵庫・西宮市役所HP:
SNSを通じて購入したダイエット用健康食品を摂取した市民から健康被害の届出があった

“やせるゼリー”に禁止成分「シブトラミン」

健康被害の届け出があった商品の画像を見ると箱には、“ゼリー”と記載されています。ネット上では、「やせるゼリー」として販売されていました。

めざまし8は、問題となっている商品を入手しました。箱の中には、小分けされた細長いゼリーが入っています。

ディレクター:
茶色のパッケージが「ブラックカカオ、蜂蜜風味」そして緑のパッケージには「セロリと海藻の風味」と書かれています。触ってみると、感触としては固いのですが、この中にゼリーらしい弾力も感じられます

パッケージの見た目でだけではわかりませんが、国立医薬品食品衛生研究所が中身の成分を調べた結果、ゼリーの中には「シブトラミン」という成分が入っていることが分かりました。

「シブラトミン」は、脳に作用して食欲を抑える効果があるとされていますが、医薬品として承認されておらず、国内での製造や販売は禁じられています。

この商品について、街の人たちの印象は…

30代女性:
海外のものだとちょっと怖いですよね。私だったらあまり買いたいと思わないかな。インフルエンサーの人が言ってたらよく見えるのかもしれないですね

20代女性:
怪しいとは思わないです

「頭痛、胸の苦しみ、吐き気が止まらなくなり…」

では、健康被害にあったと訴える女性は、どのような経緯でこの商品を購入したのでしょうか。めざまし8は、本人に話を聞きました。

被害にあった女性:
YouTubeを見まして、絶対に痩せる、痩せてない人はいないっていう言葉があって、それで、やっぱり女性ってダイエットしたいと思うんですよ。痩せたいとか。なので私も購入しようと思って、フリマサイトの方で購入しました

購入した画面の商品説明には、「約3~15kg(体重が)減る可能性があります」と書いてあります。

被害にあった女性:
食べたのが4月28日の夜7時ごろ。3時間後に、頭痛、胸の苦しみ、吐き気が止まらなくなり、まず24時間ドクターコールに電話しました

女性は「やせるゼリー」を食べて、3時間後に体調が悪化。症状は3週間にわたって続いたといいます。

被害にあった女性:
4月30日、内科を受診しました。吐き気が止まらない、頭痛やめまいみたいなものも起こっていることを伝えて、血液検査と点滴をしました。それでも良くならず、5月2日、もう一度病院に行きました。海外製の商品に手を出したのは軽率だったなと思います

ずさんな包装や成分表示

苦しい日々を振り返り、ゼリーを食べたことを後悔している女性ですが、実は商品を開けた瞬間にある違和感を覚えたといいます。

被害にあった女性:
(箱を)開けてみたらゼリーが漏れてたんです。で、こういった状況で、なんか白いつぶつぶが見えるんですね

包装が十分にされていなかったという商品。さらに、商品成分の表示にも…

被害にあった女性:
上も下もカカオが入ってることになっているんです。結構乱暴なやっつけ感のある会社ですね

本来、風味が違うはずですが、成分表示を確認すると、いずれも「カカオ」が使われていると書かれています。

ずさんに見えるこの商品は、どこで作られた物なのでしょうか。商品のパッケージには…

ディレクター:
ここに会社名書いていますね。所在地を見ると、ベトナムのハノイと書いてますね

販売会社を名乗るSNSには、この商品を食べて痩せたとする女性の画像が多く確認されました。実は、ベトナム国内でも「シブトラミン」を使った商品の製造販売は禁止されています。しかし、調べてみるとベトナムの販売サイトに同じとみられる商品を次々と発見しました。そこには、10日で5キロ、15日で7キロ、28日で10キロ痩せるとうたわれています。
販売サイトの担当者を取材すると…

担当者:
商品は調べますが、製造販売してはいけない成分が含まれているかまでは管理できません

さらに、製造元とみられる会社に問い合わせましたが、何度電話してもつながらず、どのような経緯で「シブトラミン」を使ったのか、確認することはできませんでした。

「シブトラミン」副作用や死亡例も

「やせる」とうたい、日本国内で販売されていたダイエット用食品。どうすれば、被害を防ぐことができるのでしょうか。

“やせるゼリー”とうたった「デトキシレットゼリー」。1箱15本入りで約3000円~5000円で、通販サイトや個人輸入で購入することができました。パッケージの成分表を見ても「シブトラミン」の成分の表記はなかったといいます。

「シブトラミン」という成分は、食欲を抑制し、肥満症治療に使用されたものです。日本では承認されていないため、処方もされていません。

「シブトラミン」は、1997年にアメリカで肥満治療薬として承認された後、中国・アメリカで”やせ薬”としてブームになりました。そして、2007年には日本企業が肥満治療薬として厚生労働省に承認を申請。しかし2010年には副作用を理由に欧米での販売が停止になり、日本企業も申請を取り下げ、開発中止となりました。

副作用としては、心拍数の増加、頭痛、鼻炎、血圧上昇などが報告され、過去にアメリカでは急性心不全などで7年で54件の死亡例もあったということです。

含有量がバラバラ…「適当に製造されているのでは」

シブトラミンが入った”やせるゼリー”について、金沢大学の吉田直子助教は、少しおかしな点が見られたといいます。それは、シブトラミンの含有量という部分です。

千葉市と兵庫・西宮市の発表によると、「セロリと海藻の風味」「ブラックカカオ蜂蜜風味」の2種類を見てみると、千葉市では「セロリと海藻の風味」が38.3mgの含有量。「ブラックカカオ蜂蜜風味」が22.8mgだったのですが、兵庫・西宮市では「セロリと海藻の風味」が21.9mg、「ブラックカカオ蜂蜜風味」が23.7mgと、含有量がバラバラだったということで、吉田直子助教は「適当に製造されているのでは。シブトラミンの量が多くなるにつれ、副作用が重くなる可能性もある」と指摘しています。

死亡例もあるということですが、シブトラミンはどれくらい危険なものなのでしょうか。

金沢大学・吉田直子助教:
副作用というのは、出る方も出ない方もいらっしゃいます。今回このゼリーを食べた方で、頭痛、吐き気、胸の苦しみといった症状が見られているということなんですけれども、シブトラミンでは血圧上昇によって死亡例も報告されているような、起こりうる副作用が致死的です。なので、食欲抑制を期待するにはやはりリスクが高すぎるということで、こうした事例からも危ないということはご理解いただけるのではないかと思います

では、問題はどこにあるのでしょうか。若狭勝弁護士によると、食べた人に関して、食べる分には法的には問題ないということです。ただ、製造したメーカーはシブトラミンを含む商品を製造・販売すること自体が問題です。流通させた側は、シブトラミンの含有を知っていた人は罪に問われる可能性が高いということなのですが、シブトラミンの含有を知らなかったという人も、知る機会があったと判断されれば、罪に問われる可能性があるといいます。

金沢大学・吉田直子助教:
口にするもの、体の中に入れるものというのは健康被害に直結します。なので、こういうケースというのは身近に迫っているということを、他人事ではないという意識をそれぞれの方に持っていただくことが非常に重要だと考えています。そういう意識を持って注意していただくことが、被害の回避に繋がると思っています。

偽造品で健康被害も「大げさな宣伝などには注意」

吉田助教は偽造品のケースというのも指摘しています。「需要のある商品をまねた偽物に、未承認の医薬品が含有されており、それを摂取することで健康被害が出てしまうケースもある」ということです。

見分けるのが難しい部分もありますが、吉田助教によると「10年以上前から食品などにシブトラミンが含まれたりしているが、健康被害が起き報告されない限り実態はわからない」といいます。

健康被害を防ぐには、「食品を食べて劇的に痩せることは考えにくく、何らかの医薬品がはいっていると考えるべき。大げさな宣伝などには注意するべき」ということです。

(「めざまし8」6月9日放送)