福岡市内の道路で目につく赤いポール。あちらこちらに乱立している。なぜこんなに設置する必要があるのだろうか。そして、その効果は?

30kmの速度制限に加え、ポールで道幅を狭める

福岡市中央区の高宮小学校周辺の通学路。2022年3月に「ゾーン30」に指定され、時速30kmの速度制限がかけられている。

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それに加えて、道路わきにはポール。交差点にもポール。車道を狭めるように配置されたポールまである。

日赤通りや百年橋通りなど、車の通りの多い道路に囲まれたこのエリア。約400mの直線道路に設置されたポールは33本にものぼる。

なぜそこまでポールが必要なのか?

通学の様子を見てみると、ポールがあるため車はスムーズにすれ違いができない。速度を極端に落とすか、どちらかの車両が停止して譲り合うしかないのだ。

警察や行政にこの区域を「ゾーン30」に指定するよう要望してきた、高宮校区自治協議会の西村光正さん。この道は隣接する幹線道路の抜け道に使われ、朝夕を中心にスピードを出す車も多く、非常に危険だったと話す。

高宮校区自治協議会・西村光正会長:
とても事故が多かったんですね。昨年、子どもがここで車と接触してけがをしたというのがありました

子どもたちの通学に使われるなど、地域住民の生活道路になっているこの道。30kmの速度制限だけでなく、ポールを設置して物理的にスピードを落とさせる形にし、あえて「通りにくい道」にしたのだ。

高宮校区自治協議会・西村光正会長:
わざと作った通りにくい道。ポールを増やして道幅を狭くして。渋滞するかもしれないけど、スピードを緩めるひとつの手だと思うんです

運転しづらい…効果と弊害を見極め

子どもを持つ地元の人はどう思っているのか。

ベビーカーを押す女性:
春から娘が幼稚園に通い出したんですけど、下の子を連れてベビーカーで歩くときにすごく安心して歩けるようになので、良かったなと思っています

児童が事故に遭った小学校の校長も、「ゾーン30」とポールの設置を歓迎している。

福岡市立高宮小学校・鶴田千詠子校長:
子どもたちが、ゆとりを持って歩けるようになったなというのは感じています。安心して学校に通える、学校から帰れる状況を作っていただいたのは、本当にありがたいことだなと思っております

一方で、多くのポール設置による運転のしづらさについて、地元からは懸念の声も上がっている。

地元の男性:
車は狭くなったから離合は大変。急いでいる人は大変でしょうけどね

福岡市は通り抜ける車を減らし、スピードを抑制させる効果はあったとした上で、地元からの懸念についても受け止めている。

中央区役所 地域整備課・安海健太郎課長:
今回のポールを立てたことを変化だと考えた中で、通りにくくなったというのは、地元の方も含めてあり得る話だと思います。効果とその影響という部分もきちんと見極めていく。まだ途中の段階なのかなと思っています

「ゾーン30」に33本のポールが設置されて2カ月余り。その効果と弊害について、住民と行政がともに見極めていくことになる。

(テレビ西日本)

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