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3月5日、韓国政府は1泊2日の日程で、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室室長(参照:上写真左)や、国家情報院の徐薫(ソ・フン)院長(参照:上写真右)ら特使5人を北朝鮮に派遣した。北朝鮮も5日付けの労働新聞で「国家安保室室長を特使とする韓国大統領の特使代表団がまもなく平壌を訪問することになる」と事前に報じた。

特使と金正恩委員長との会談が実現すれば、韓国側は非核化に向けた米朝対話の仲介を試みるとみられる。

しかし北朝鮮側は、平昌パラリンピック後に予定されている米韓合同軍事演習の中止を要求してくるとみられ、事態の打開は難しい状況。

その米韓合同軍事演習を睨んだものなのかどうかは不明だが、米海軍は佐世保に拠点を置いている強襲揚陸艦WASP(参照:上写真)を使って、新たな部隊編成を行うことになった。米海軍は、作戦に応じて、280隻余りの主要戦闘艦を組み合わせる。

空母を中心にイージス巡洋艦、駆逐艦等を組み合わせるのが「空母打撃群」、強襲揚陸艦やドック型揚陸艦を中心に構成するのが「遠征打撃群」だ。

従来の「遠征打撃群」の場合、AV-8BハリアーⅡ攻撃機6機が強襲揚陸艦に搭載され、米海兵隊の上陸地点近辺の敵を空から叩いて上陸作戦を支援。だが、叩くことが出来るのは、パイロットが照準できる相手に限られていた。

ところが昨年来、米海軍太平洋艦隊は、新コンセプト「強化型遠征打撃群(=Upgunned ESG)」を打ち出し、初の「強化型遠征打撃群」を構成する軍艦として、WASP、そして、イージス駆逐艦デューイ(参照:下写真左)、同ステレット(参照:下写真右)を指名。デューイとステレットは、2月初めに母港サンディエゴを後にした。

1月に佐世保に到着したWASP、そして、デューイも2月末に佐世保に到着した。2月28日、WASPは、本格的な展開前の洋上確認のため、佐世保を出港している。

強化型遠征打撃群について、米海軍は「F-35Bステルス戦闘機の運用がカギとなる要素」「デューイやステレットのような水上艦は、海中、海上/陸上、空中の脅威を識別するセンサーや制圧する兵器を装備している」としている。

F-35B(参照:下写真)が、ステルス性能を優先して、機内の爆弾倉のみを使用するなら投下する爆弾や、発射できる地上攻撃ミサイルの数は限定される。

一方、F-35Bのセンサー、EO-DASは、開発段階で、1300km離れた弾道ミサイルの飛翔が捕捉でき、開発したメーカーは、その模様のビデオも公開している。従って、F-35Bは、作戦行動の行き帰りに、敵情を広範囲に把握するかもしれない。

爆弾投下やミサイル発射を行使できない状態で敵情を掌握したら、F-35Bは、どうすることになるだろうか。断言はできないが、イージス艦や他のF-35にデータを送付し、叩くという戦術をとるのかもしれない。

F-35Bのセンサー能力をイージス艦の打撃力、防御力の”眼”として使うことが「強化型遠征打撃群」の眼目だとすれば、平昌パラリンピックの閉会後と言われる米韓合同演習に米海軍初の強化型遠征打撃群が参加するかどうか。

パラリンピックの閉会式は3月18日。それまでに、米海軍初の試み、強化型遠征打撃群が一体となって活動できるようになっているのかどうか。時間が北朝鮮と米国のどちらに味方するのかは見過ごせないことかもしれない。