この記事の画像(5枚)

米トランプ政権が先月、打ち出したNPR=核兵器態勢見直し(参照:上写真)報告は、米国の戦略核兵器態勢が「主として1980年代かそれ以前に配備された」ものとして、事実上、米国の戦略核兵器が時代遅れになったと認めたもの。

さらに、NPRは、5大国以外の核兵器保有やSSC-8巡航ミサイル保有による、ロシアのINF条約違反疑惑等、様々な事案にも対処するため、小型核兵器の開発に乗り出す構想を打ち出したものだった。

戦略核兵器攻撃以外の事態にも、核兵器で抑止するというものであるため、議論を呼んだ。

プーチン大統領が1日の演説で打ち出した各種新兵器の構想は、予測はされてはいたものの、CGアニメなどを駆使して、大統領自らが公に説明するという点が注目される。

これまで、静かに進めてきた構想をNPRに対する回答として、一気に吐き出したとも見える。

読者は、石切り(水切り)という遊びをされたことはあるだろうか。平べったい石を川面や池に投げて、一度潜った石が再び、空中に飛び出て、水に潜り、再び水の上を跳ねていき、それを繰り返すというもの。

それを応用したのがロシアの新型ICBM、RS-28の極超音速滑空弾頭構想だ。従来のICBMの弾頭は、大気圏を飛び出た後、放物線を描いて、標的を目指すが、極超音速滑空弾頭は、大気圏を飛び出た後、大気圏と宇宙の間を跳ねるようにして目標を目指す。

その結果、同じ標的に向かっても、従来の放物線軌道より、距離は、はるかに短くなり、時間的にも早くなるのが極超音速滑空弾頭の特徴だ。

プーチン大統領が示したCGアニメでは、極超音速滑空弾頭がコースを変え、巧みに防空網を回避する様も描かれている(参照:下図)。

米国を中心に配備が進められる弾道ミサイル防衛も突破できると言わんばかりである。

さらに驚かされるのが、潜水艦に搭載される、核弾頭搭載大陸間魚雷とでもいうべきもの(参照:下写真)。

1隻の潜水艦の前胴体にたった、1発が収納される。そして、潜水艦から放たれた後、長距離の監視網を掻い潜り、敵の艦船や沿岸を狙うというもの。

西側には、恐らく、これに類する発想の兵器はないし、従来の軍縮交渉・条約に当てはまるカテゴリーがあったかどうかさえ不明だ。この兵器、または兵器構想を、交渉の枠内に入れようとするならば、全く新しい米露交渉が必要となるかもしれない。

ロシアは以前から、米国を中心にすすむ弾道ミサイル防衛に反発しており、交渉の枠組みによっては、日本が北朝鮮の脅威に対して進めてきたミサイル防衛にも影響が出るかもしれない。

他にも、原子炉を使う巡航ミサイルや、MiG-31戦闘機に搭載する高速巡航ミサイル、地上発射型レーザー兵器など、実物の映像や、CGアニメで事細かく説明している。