山口県阿武町で、誤送金された給付金4630万円の返金を男性が拒んでいる問題で、その後男性と連絡がとれなくなっていることが分かりました。「めざまし8」では男性と直接交渉をしてきた副町長を独自取材すると男性はあることで激怒していたことも明らかに。返金交渉の詳細に迫ります。

誤送金の波紋 4630万円返さず男性は行方不明

山口県阿武町が、給付金4630万円を、誤って1世帯に振り込んでしまった問題。事の発端は、4月8日、町内の463世帯にコロナ禍で苦しむ家庭を支援する臨時特別給付金が1世帯につき10万円振り込まれました。
ところが、それとは別に、給付対象である463世帯への総給付額となる4630万円という大金が、24歳の男性に“誤送金”されてしまったのです。

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人口およそ3000人の阿武町。1年半前、24歳の男性は、この町内の空き家に住むことで支援を受けられる“空き家バンク”制度を利用し、移住してきたといいます。

男性がひょう変…説得した副町長が語る

田中良幸キャスター:
植物を育てるようなネットが張られていて、奥の方はいろんなものが散乱してる形ですね。鉢植えなどもありますけれども、家の真ん中に倒れたような状況になっています

男性に家を貸した家主:
この、プランターとかなんか持って行って、いろいろ植えてましたね。去年はトマトなんかも作っていました

庭先の家庭菜園で、野菜を育てていたという男性。“誤送金”が発覚した当日、町はすぐに電話で連絡したものの、電話はつながらず、職員が自宅を訪問しました。めざまし8は、一連の経緯について、副町長から話を聞くことができました。

副町長:
自宅に行くと、ちょうどお休みの日で自宅におられたので、事情を説明して…

職員は事情を説明し、謝罪。すると、24歳の男性は…

「お風呂に入るから1時間くれ」と言ったといいます。

副町長:
なんか寝て起きてられたみたいな状況で、ちょっと風呂に入りたいということで、一時間程度時間をいただきたいということで、風呂に入られて

その後ふたりは一緒に、車で2時間をかけ男性の口座がある銀行へ。しかし、男性は下車するなり、突然、態度を変えたというのです。

「どうして欲しいか説明の文書をくれ。きょうは手続きをしない」

職員が返金するよう説得を続けるも、その日の銀行窓口の営業は終了。

副町長:
ちょっと手続きをしていただければ、それで終わったはずなんですよ。そこで

男性は職員とともに再び車に乗り、帰路につきますが…

副町長:
8日の日はですね。途中で降ろして欲しいと言われたので、途中で降ろした。

一人で車を降りたという男性。その後、男性は誤って振り込まれた口座から、約60万円を別の口座に移していたといいます。

4630万円返金せず「お金はすでに動かした」「僕は悪くない」

そして、“誤送金“発覚から2日後の4月10日。男性から町の役場に「知り合いの弁護士に相談する」との連絡が入ります。
それを受け、町は県内在住の母親にも説得を依頼。14日、副町長と職員は母親と男性の勤務先を訪問、返金を求めました。しかし・・・

副町長:
もう極端に言ったら、もう本当クビに鎖つけてでも引っ張っていきたいぐらいの思いで、行きました。でお願いをしました。
「なんで、そうやって役場は、僕が悪くないのに、そうやってこう押し付けてくるんだって、ここまで追いかけてくるんだ」みたいな感じのことは、言われました。

「弁護士に相談する」との一点張り。さらに、萩市内で勤務していた男性は騒動後に会社を辞めたといいます。

その後、男性の弁護士から町側の弁護士に「近いうちに銀行手続きを行う」との連絡が。しかし、返金はされず、提訴に踏み切りました。

山口・阿武町 花田憲彦町長:
スタートラインは本当に申し訳なかったけど、でも、だから公金を自分の物にしていいということは別問題だと思いますから。
今はまさに、恨みがあるわけではないですが、そういった 平たく言えば悪い人だな、という気持ちしかもうありません。

「真面目に見えた…」24歳男性はどんな人?

誤送金された4630万円の返還に応じない24歳の男性。一体、どんな人物なのか?家主によると…

男性に家を貸した家主:
やっぱ若い人ですから、Tシャツとかそういう感じ。車で通りかかって、だから、反対車線ですから、ちょっとドア開けて

Q:わざわざ、こう乗り出して、窓も、しっかり開けて、挨拶してくる?
ドアを開けてね。結構真面目に見えましたからね。見た目

男性の勤務先を訪れた日から1週間後の4月21日。職員が男性の自宅を訪問し、面会。返金を求め、何度も謝罪したものの…

「お金はすでに動かした。もう戻せない。犯罪になることはわかっている。罪は償う」

副町長:
職員がその時に気になって、借金にあてたんですか、って言った。借金ではないというふうな話だったように聞いています

さらに、問題発覚から2週間の間にほぼ全額が口座から引き出されていたことが分かったのです。

副町長:
22日以降からもう音信不通連絡がつきません。もし、会っていただけるなら、どこの口座に振り込んで今、どうなっているか、っていうのを、もっと詳しく教えて、私たちもそれをもとに追っかけていきたい

副町長によると、町は今後の対応について引き続き、弁護士と相談しつつ、警察に被害届けを出す方針です。しかし、専門家は、仮に刑事事件となっても、法律の目をかいくぐる“意外な落とし穴”があるというのです。

誤送金4630万円取り戻せる? 今後の対応は?

では、4630万円は男性の行方がわからない中、どうやって回収するのか、いま、町がとっている手段というのが、裁判です。

これは、民事裁判になりますが、阿武町は男性を提訴しました。本人は行方がわからいということなので、若狭勝弁護士によると、「町が勝訴する可能性は高い」といいます。
町が勝訴した場合には、どうやってお金を回収するかというと、男性がお金を持っていました、あるいは、男性がそのお金で車を買いました、お金で不動産を買いました、という場合は、その資産を差し押さえて、町が回収することができますけれども、ただ当然回収できない場合というのがあり、若狭勝弁護士によると、既に資産がない、使い切ってしまった、という場合、あるいは、口座がわからない場合「回収は不可能」。こういったパターンがあるといいます。

男性の行方がわからないという中で、町としては行方を捜すのも大変だと思います。刑事事件になれば、警察が捜してくれるということなので、刑事事件にすることができる可能性があるのか、若狭勝弁護士に話を聞いたところ4つの可能性があるといいます。

行方不明の男性 罪に問える可能性は?

まずは、「詐欺罪」です。窓口で誤入金のお金を引き出した場合、「自分のお金ではない」と銀行に告げる義務があるといい、これをしなかった場合詐欺とみられる可能性があります。
そして、「窃盗罪」。誤入金のお金をATMで引き出す、自分のものではないとわかっていても引き出すと窃盗にあたる可能性があります。
さらに、「電子計算機使用詐欺」。誤入金のお金をネットバンクで送金した場合、こういったことも罪になる可能性があります。さらには、「単純横領罪」。誤入金があった口座から別の口座に移動させること。この4つの可能性があるということで、若狭勝弁護士の見解としては、警察も逮捕を考えているのではないかということです。

罪の重さとしてはどうなるのか、返還が一切されない場合は、「懲役3年前後の実刑」の可能性。半分ほどの返還で、「懲役2年ほどの実刑」の可能性ということで、罪の重さは返還の金額により、変わってくる可能性があるという見解です。

橋下徹氏 罪が成立しない可能性も指摘

一方で、橋下氏は罪が成立しない可能性もあると指摘をしています。

橋下徹氏:
これは、いろいろな意見がわかれます。罪に問われる可能性のところの「罪」の部分も、窃盗罪と単純横領罪は成立しないんじゃないかというのが僕の考えです。
これは、遺失物横領という、落とし物の横領となるだけで、単純横領罪にはならない。というのは、誤振り込みというのがあったとしても、その人の預金としては有効だというような判決もあるんですよ。民事上、そういった判決もあるので、窃盗とか、単純横領罪にもならないという考え方もあります。それから、罪の方も半分程度の返還で被害弁償を半分やれば、弁護士の立場だと、執行猶予を取りに行く案件になるのではないかと、半分の弁償でですよ。
であればですね、彼は4630万円を移してしまって、で、半分返せば、もし仮に執行猶予となれば、半分手元に置けるわけですよね。
ということも、いま、実はネットの情報の中では山ほどそういった話が出てくるんですよ。
執行猶予になるのは、確実ではないですが、今までだと弁護士に相談して何時間も話を聞いて、だいたいこういう風になるのかなって見通し立てるところを、いまは、ネット時代でいろいろな情報が入ってくるので、もしかすると彼は、いろいろな情報の中でこういった道を考えたのかもしれないですね。
絶対に返さなければいけないですが、民事でお金を返さないっていう人は世の中にたくさんいて、全員が全員罪になるわけではないので、でも僕は詐欺罪にはなると思っています。

(めざまし・5月16日放送)

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