米朝対話の実現と米韓軍事演習に向けて

26日に防衛省で、アジア・太平洋地域の安全保障問題を担当するシュライバー米国務次官補(タイトル写真左)と小野寺防衛相(タイトル写真右)が会談した。
北朝鮮の金英哲(キムヨンチョル)統一戦線部長が25日に、文在寅(ムンジェイン)大統領との会談で、「アメリカと対話する十分な用意はある」などと述べ、米朝対話の意思を表明した翌日の、日米それぞれの安全保障担当の閣僚と高官の会談である。

小野寺防衛相とシュライバー国務次官補は、北朝鮮の核・ミサイル開発が、これまでになく重大かつ差し迫った脅威となっていることを踏まえ、北朝鮮に対する圧力を最大限まで高め、北朝鮮が政策を変えるような状況を作るために、日米・日米韓が連携して対応していくことを改めて確認した。
小野寺大臣は現状を「対話のための対話では意味がないというところで日米は一致」と説明。
そして、シュライバー国務次官補からは、パラリンピック後に焦点の米韓軍事演習を実施する旨の言及があったという。

平昌パラリンピックは3月9日~18日の日程で開催されるが、その期間中は米朝ともに緊張状態には入らないということかもしれない。
だが、米韓演習に入れば、米軍がかなりの戦闘能力を半島及び周辺に展開する状況を意味する。
アメリカは米韓演習の実施や再度の延期を、交渉のテコにするつもりがあるかないかは不明だが、北朝鮮は、米韓演習が実施されるなら、それを口実に核実験やミサイル発射等の挑発的行為に入るかもしれない。

2月8日、平昌オリンピックの開会式の前日に行った軍のパレードで見せつけた<新型短距離弾道ミサイル>の発射試験をすでに実施したかどうかは不明だが、少なくともその発射試験の映像を北朝鮮が公開したことはない。

北朝鮮の弾道ミサイルは、米朝対話の足枷か


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また、「火星15型」大陸間弾道ミサイル=ICBM(参照:上写真)の弾頭の大気圏再突入等、昨年、失敗したので、再試験が必要とみられる装備もある。

北朝鮮が弾頭の大気圏再突入に成功するまでは、北朝鮮のICBMは米国にとって、言うならば<不完全な脅威>だ。
「開発のための発射試験」と「訓練のための発射」は別だが、火星15型の弾頭の大気圏再突入試験に北朝鮮が再び挑むなら、米国を刺激するのは間違いない。
成功であれ失敗であれ、試験の実施そのものが、米国が何らかの行動を起こす口実として使われるなら、金正恩委員長にとって考え物だろう。

北朝鮮は昨年、「火星12型」中距離弾道ミサイル(参照:上写真)の日本上空を通過してのグアム近海への発射を宣言した。
今後、北朝鮮がこれを強行するなら、米国のみならず日本にとっても重大な脅威となる。
こうした状況を見据えてなのか、注目される発言をしたのは、アメリカのトランプ大統領本人だ。

26日、「北朝鮮は対話をしたがっている。我々も対話をしたいが、適切な条件の下でだ。でなければ対話しない」として、トランプ大統領は「適切な条件」を強調し、北朝鮮側の対応を見守る考えを示した。
トランプ大統領が提示した「適切な条件」とは何なのか。
朝鮮半島の「非核化」は最終目標なのか、それとも、対話に入る条件そのものになるのか。

成功したビジネスマンとして、数々の交渉を乗り越えてきたトランプ大統領の、手札の切り方が気に掛かる。