山口・阿武町で起きた、給付金4,630万円を誤って1世帯に振り込んでしまった問題。
12日、町は新たな動きに出た。
返金に応じない世帯主に給付金の返還を求める訴訟を起こすことを議会で決め、その後提訴したのだ。
町が訴えたその相手は、24歳の男性。
請求金額は、誤って振り込んだ給付金全額と弁護士費用などをあわせた、5,115万9,939円だ。
ことの発端は4月8日。
コロナ禍で苦しむ家庭を支援する「臨時特別給付金」が、1世帯につき10万円、町から振り込まれた。
ところが、それとは別に463世帯分の4,630万円という大金が、1世帯に誤送金されてしまったのだ。
町は返金を求め、何度も男性に謝罪。
しかし、男性は「お金は戻せない」「犯罪になることはわかっている」「罪は償う」などと話し、返金を拒否した。
4,630万円が振り込まれた男性の口座からは、ここ2週間の間に、ほとんど全額が別の口座に移されていたことが新たにわかった。
返金に応じることなく提訴された男性は、どんな人物なのだろうか。
取材班が自宅に訪ねたが、人が住んでいる気配はなかった。
男性は勤め先をすでに退職。
現在連絡が取れない状態だという。
実は、男性が阿武町に住み始めたのはわずか1年半前のこと。
町がYouTubeでもPRする「空き家バンク制度」を利用して引っ越してきたという。
空き家を活用して若者たちを呼び寄せ、地域の活性化を図るというこの制度。
取材班は、24歳の男性に家を貸しているという家主に話を聞くことができた。
男性が住む家の家主「いい子よ。若いし男前」
ーー家の契約は解除していない?
男性が住む家の家主「5月分(家賃)はもらってます」
ーー6月以降は?
男性が住む家の家主「それはわかりません。向こうが振り込むかわからない」
誤って入金された多額のお金を返さないことについて、町の人たちはどう思うのか。
阿武町民「わたしだったら口座に入ってたらびっくりして、すぐ役場の方に言いますけどね」
阿武町民「若い人が来るのは町民としてはありがたいですけど、良かれとして受け入れたのがこんなことになってしまって。こっちも迷惑ですよね。正直言って、全国に恥さらしたみたいなもんでしょう」
阿部町の人口は約3,000人で、標準財政規模は20億円。
約50分の1にあたる4,630万円がいわば“持ち逃げ”されたことについて、町長は憤りをあらわにしている。
阿武町 花田憲彦町長「当初は申し訳なかったけれども、もう完全に私は犯罪者だというふうに思います。これは大切な町民の公金であるので、ぜひ今からでもよろしいので返してもらいたいということを呼びかけたい」
町には多くの苦情が寄せられており、今後の対応について、引き続き、弁護士と相談していくとしている。