遭難した知床遊覧船の社長の会見は2時間半に及びました。荒天のなか、なぜ出航したのかをめぐって会見から見えてきたのは、知床遊覧船のずさんな管理体制でした。

めざまし8では、社長の「天気図」を軽視する発言をめぐって、天達気象予報士がその危うさを指摘しました。

「荒れたら帰ってこい」 条件付き運航はなぜ行われた?

4月27日の会見は、家族に向けた説明会の後に行われ、社長は初めて公の場に姿を現しました。

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記者から質問が集中したのが、「なぜ、当日出航という判断に至ったのか」という点です。社長によると、知床遊覧船には「欠航基準」というものがあるといいます。

その基準とは
「波の高さが1m以上」、「風速8m以上」、「視界は300m以下」。このような場合は欠航するといいます。
一方、23日の事故当日はどのような状況だったのかというと、「波の高さが約3m」、「最大瞬間風速8.2m」、「強風波浪注意報が出ていた」といい、欠航基準を超えていました。
ですが、この計測が行われたのは午後1時頃でした。実際に出航の判断をしたのは、午前中です。

出航の判断をした午前中は、まだ波もそれほど高くありませんでした。それに伴い、出航を決めたと社長は話します。また、この判断について社長はこうもコメントしています。

「豊田船長から、『午後、天候が荒れる可能性があるが午前10時からの出港は可能』との報告を受けた。そして、当時風と波も強くなかったので、海があれれば引き返す、『条件付き運行』で出港を決定した」と説明しました。

国交相“条件付き運航などない” 社長の会見内容を否定

当時、強風波浪注意報が出ていたことも把握していたという社長。この会見を受けて、斉藤鉄夫国土 交通相は次のように語っています。

斉藤鉄夫 国交相:
桂田社長が乗船者のご家族に対し、謝罪と事故経緯の説明を行っておりますが、その内容は到底ご家族のご納得を得られるものではなかったと報告を受けております

国交相は社長が会見で説明した「条件付き運行」に対し、「条件付き運行という考え方はない」というふうに明確に否定しています。

では、「条件付き運行」とは、現場ではよく行われているものなのでしょうか。

水難学会 斎藤秀俊会長
水難学会 斎藤秀俊会長

水難学会 斎藤秀俊会長:
これは、あり得ない話です。だいたいどこの会社も安全管理規定というものには、天候急変の恐れがあったらば、中止すると、つまり予測というものを求められています。
ですから、この時点で天候が急変しそうだという認識があったならば、直ちに中止にするべきだったのではないかと思います

「予測できたはず」「責任者が何もわかっていない」ずさんな管理体制

天達武史 気象防災キャスター:
まず、これは本当に残念な発言で、自然現象には色々なことがあるので、予測が難しいというのはありますが、それを少しでも可能性として、色々なことが考えられるよということを教えてくれるのが天気図です。
ですので、今回の場合、そんなに難しかったかというと、寒冷前線がかなり明確に通過した後で、海の天気図にも海上の暴風警報がでていたり、気象予報士でなくても、少し知識のある人がみたら、これはまずいなという状況だったはずです。
それを、この社長はちょっと海をみて大丈夫そうだと、荒れてきたら帰ろう、など帰る時間などわかって言っているのかなと思いました。
一番、ダメだと思ったのが、少なくともたくさんの乗客、一般の人を乗せる船の一番の責任者の方がなにもわかっていないと。はっきり言って100年前の話をしているので、これだけ情報がたくさんある中で、当たり外れじゃないんですよね。それを全く、くみ取っていないというところが本当に残念でなりません

出航の判断に関して、社長は、最終的な判断は「自分」としながらも、出航を決めるのは船長だと説明しました。気象状況を正確に理解していたのか、疑問が浮かぶ状況になっています。

(めざまし8 4月28日放送)