知床沖で遊覧船が消息を絶ってから4日。4月26日、めざまし8のカメラが捉えたのは運航会社の安全管理体制の不備をうかがわせる光景。

壊れた無線アンテナ…ずさんな安全管理か

田中良幸リポーター:
関係者によりますと事故当日、こちらの会社と「KAZUⅠ」との間で無線がうまくできないような状態だったということなんですが、建物自体、上を見てみますと、無線のアンテナのようなものが一部、折れた状態で根元だけが残ってますよね。

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会社側と遊覧船との連絡に欠かせない無線のアンテナ。
以前の写真と比較すると、途中で折れてしまっているのが分かります。
元従業員は、船長に「直した方がいい」と忠告しましたが、そのまま営業していたといいます。

そして事故当時、「KAZUⅠ」の救助要請の無線を受信したのは、別の観光船の会社でした。
もし正常に無線が通じていれば、より迅速な対応が取れた可能性があります。
遭難当時、遊覧船はどのような状態にあったのでしょうか。

遭難時に何が?高波3メートルの危険を検証

当日は、およそ3メートルの高波に加え、正午過ぎには最大瞬間風速7.4メートルの風が吹き、強風・波浪注意報も出されていました。
こうした高波で船はどんな状態になるのか、めざまし8ではその脅威を検証しました。
「水産技術研究所」に用意してもらったのは、全長約2メートルの電動模型。

行方が分からなくなっている観光船の6分の1のスケールです。
そこに“高さ2.4メートル”にあたる40センチの波を発生させ、当時に近い状況を再現するとー

リポート:
船が向かっていきました。波が当たってすごく揺れています。前に進めません。

船は左右に大きく揺れ、次々と水が流れ込んでいきます。
やがて、ほとんど前に進めなくなったうえ、波に対して船体は横向きになってしまい、操縦不能の状態に。

水産研究・教育機構 主幹研究員 松田秋彦氏:
今回はかなり波長が短い波と聞いていますので、すごく船に対して力、影響がある波になりますね。

模型に載せたカメラの映像を見てみても、波をかぶり、激しい衝撃を受けているのが分かります。しかし実験では船はどんなに波を受け、水をかぶっても転覆には至りませんでした。

水産研究・教育機構 主幹研究員 松田秋彦氏:
見ていただいたように非常に厳しい波の中でも転覆することはありません。
なので、沈没してしまったのであれば、穴が空いたとかハッチが開いていたとか。
色々な可能性がありますけど、なんらかの理由で船内に水が入ってしまって、浮力が無くなって沈んだということだと思います。

事故当時「KAZUⅠ」の船体に何か深刻なトラブルが起きていたのでしょうか?
では、船の上での安全を私たちはどう確保すれば良いのでしょうか。

低体温防ぐ“救命いかだ”とは 海の上の安全どう守る?

今回は、めざまし8のスタジオに救命いかだを用意しました。
こちらのいかだは定員が6人のものです。

実際にこの救命いかだの中がどうなっているのか、見ていきます。
まずは、入り口です。高さがあるので、海面から乗り上げようとすると力が必要になることが想定できます。

いかだのなかに入ると、想像以上に狭くはなく6人入っても少しゆとりがあるように感じます。側面をみても、空気が入っているためクッション性がある、さわっても破けにくく、丈夫な素材のように感じます。
遭難事故を起こした船には、 救命いかだの搭載義務はなかったということですが、救命いかだがあれば状況は変わったのかもしれません。

水難学会会長 斎藤 秀俊さん:
分けて考えなければいけないですが、今回は水温が低かったので、果たして救命いかだが役にたったのかは分からないですが、もう少し水温が高ければ、すごく有効です。
というのも、救命いかだは1回海に入ってしまった人が乗るということを想定しています。
なので、濡れるということは想定しなくてはいけないです。
今回は特殊ケースで、かなり水温が低かったので、正直1回海に落ちたらどうしよもないです。ただ、これが浮器や救命いかだが全く効果がないかっていうと、そんなことはなくて、やはり、もう少し水温が高いそういう状態だったら有効に働きます。

冷たい海の危険性。的確に天候や海の状況を判断し、引き返す勇気を持つことが一番の安全策なのかもしれません。

(めざまし8 4月27日放送)