北海道・知床半島沖で起きた観光船遭難事故。漁船さえ出ていない状況で、なぜ観光船は出航したのでしょうか。観光船「KAZU I(カズワン)」の豊田徳幸船長は、54歳で埼玉県の出身。めざまし8は、豊田船長を知る、埼玉時代の知人を取材しました。

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「仕事に関してすごく真面目」免許取得が“趣味”

豊田船長の知人:
配達員で、50ccの原付バイクで配達するっていう業務内容だった。10年前くらいですね。

およそ10年前、飲食店でデリバリーの仕事をしていたという豊田船長。

豊田船長の知人:
仕事に関してはすごく真面目でしたね。業務は会社の方針に従うというか。会社の方針に対して、こう苦言をしてくるっていう方ではなかったですね。ルールに100%従うみたいな感じで。

会社のルールを守り、真面目に働く人物だったといいます。

豊田船長の知人:
免許を取るのが趣味みたいな感じで、その免許の項目って色々あるじゃないですか原付とか中型とか大型とかいう、あの項目のところを片っ端から全部埋めていくのが趣味だって言っていましたね。働いている時に(船の免許を)取ったような感じですかね。

デリバリーの仕事をしていたのはおよそ2年間。船の免許を取って転職したといいます。

「ブラック企業で右往左往」

関係者などによると、豊田船長が 船長候補として「知床遊覧船」に入社したのは2020年8月ごろ。

一緒に働いていたという元同僚はその印象についてこう話します。

――船長さんとはお知合いですよね?どういった方ですか?
知床遊覧船の元従業員:
いい人だよ、テキパキしてるし。

――操縦の方は?
知床遊覧船の元従業員:
操縦も上手いよ。

――じゃあ、海に精通している?
知床遊覧船の元従業員:
海は精通してないな。この海には。(1年しかやってないから)普通の人でしたらこの海じゃ大変だから、経験あるって言っても、これいきなりじゃ乗れないっていう。波もすぐ出るし、あとボートもたくさんあるから。

目まぐるしく天候が変わる知床の海には対応できていなかった可能性があるといいます。

豊田船長は、勤務する「知床遊覧船」についてと思われる書き込みをフェイスブックにこう綴っていました。

「ブラック企業で右往左往です。」

観光船の運営会社は、「ブラック企業」だ。そう綴っていたとみられる豊田船長。実際、どのような会社だったのでしょうか。めざまし8は関係者を取材しました。

――社長がそういう(悪天候)時にも出せっていうタイプなんですか?
元従業員:
分からないから、出せとは言うんだよね。

こう語るのは、知床遊覧船の元従業員です。

――従業員の方からの反発とかはなかったんですか。
元従業員:
いや、やめさせた後、いっぺんに3人いなくなったから。最初2人居なくなって、やめて。

知床遊覧船では、ここ数年で、ベテランの社員が次々と辞めていると話します。

「やっぱりやったか…」難しい地形、悪天候時の判断も困難

さらに、知床遊覧船で働いていたという元船長に話しを聞くと――。

知床遊覧船の元船長:
あぁ、やっぱりやったかという感じ。もう一言いうと「去年あれだけの事故でよく済んだな」と。僕から言わせると。

今回事故を起こしたKAZUⅠの豊田船長は、2021年6月にも座礁事故を起こし、業務上過失往来危険の容疑で書類送検されていました。

知床遊覧船の元船長:
海岸線をはしるので、ところどころ狭いところや岩や定置網を抜けるところはある。何年経験があっても慣れない。行って帰ってきたら腕がパンパン。

さらに、難しいのが悪天候時の判断。

知床遊覧船の元船長:
出回っている当日の映像を見る限り、出ていくには出ていける雰囲気はあった。その部分は船長を非難しない。

知床遊覧船の元船長:
(運行するかは)最後は船長の判断。厳しいからやめる判断をしたことも多々ある。港の周りは風向きにもよるけれど波が穏やかで、沖に出るとどんどん波が高くなる。10分ほど走ったところで、波の高さや船の揺れ具合を確認するなどして判断していた。

当日の波の状況などを見極める経験と冷静な判断が必要だといいます。

海上保安庁は今回の事故について原因を調べるとともに、「業務上過失往来危険」と「業務上過失致死」での立件を視野に捜査を進めています。

(「めざまし8」4月26日放送)