2022年もクマの目撃が相次いでいる。北海道札幌市では2021年、住宅地で男女4人がクマに襲われた。

これまでは考えられなかった大都市の住宅街でのクマによる被害。今も後遺症に苦しむ男性が、恐怖の一部始終を語った。

出勤途中の住宅街で「気が付いたら嚙まれていた」

安藤伸一郎さん:
ここが現場。最初後ろからドンッとやられたときは、人間か何かにやられたのかと。文句言ってやろうと思って、気が付いたら噛まれていた。守った時にこっち(腕)とか噛まれて…

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札幌市東区の干物加工販売会社に勤める安藤伸一郎さん。2021年6月18日朝、出勤途中の住宅街で突然、背後から近づいて来たクマに襲われた。

安藤伸一郎さん:
時間的には30秒、体感的には1分ぐらいやられていた。何回も噛まれているので、実際死んじゃうのかなって

 

最初の一撃で肋骨が折れ、その後もクマはうつ伏せになった安藤さんに覆いかぶさり、腕や太ももに噛みついたのだ。

 

安藤伸一郎さん:
あばら骨が6本折れて、肺気胸になった。噛み傷と切り傷で100針以上ぬった

 

市街地になぜ? 侵入経路は川や水路か

札幌市によると、このクマは推定5歳ぐらいのオス。メスを求め、当別町方向から石狩川を泳いで渡り、札幌市北区の茨戸川緑地へ。

 

その後、茨戸川に沿って移動し、東区に侵入する際に使ったとみられるのが茨戸川の支流・伏籠川と、住宅街などに整備された水路だ。草が生い茂り、身を隠しやすかったと考えられている。

 

水上孝一郎 記者:
去年、クマの通り道になった可能性が高いというこの水路ですが、札幌市は今後草刈りをして侵入を防止しようとしています

 

見通しを良くすることで、警戒心の強いクマが通りづらくなるよう、札幌市は水路や川の周辺で草刈りを実施。

さらに、茨戸川緑地に監視カメラを設置してクマの動きを警戒するなど、市街地への侵入対策の強化に乗り出した。

 

今もどこに出るか分からない…徹底的な対策を

入院とリハビリで半年以上休職していた安藤さん。2022年1月、ようやく仕事に復帰できた。催事で干物の販売などを担当しているが、後遺症に悩んでいた。

安藤伸一郎さん:
重いものがあまり持てなかったり、立ってる時、つらい

右手にしびれが残り、痛み止めは欠かせない生活だ。安藤さんを襲ったクマはすでに駆除されているが、市街地に再びクマが現れないよう対策の継続を求めている。

右手にしびれが残り、痛み止めは欠かせない
右手にしびれが残り、痛み止めは欠かせない
 

安藤伸一郎さん:
やるんだったら徹底的に毎年やってもらわないと、第二・第三の被害者が出てしまう。自分もクマにやられて、今でもどこに出るかわからない状態なので

クマの活動が活発になるこれからの季節。安藤さんの体験を他人事とせず、クマ対策を考える必要がありそうだ。

(北海道文化放送)

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