2月16日の閣議で新たな高齢社会対策大綱が決定した。
公的年金の受給開始を70歳以上でも選択できる方針を盛り込み、高齢者の就労を促すというものだ。

この大綱から予測される今後について、ジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。
(聞き手:ニッポン放送『あさラジ!』高嶋ひでたけ)

新たな「高齢社会対策大網」が閣議決定

高嶋:
先週の閣議で、新たな高齢社会対策大綱が決定されたそうです。
65歳以上を一律に高齢者と見なすのを改めようと。
やはり「元気だから戦力として使わざるを得ない」という部分もあるんですよね?

須田:
ええ。その一方でいろいろな意味合いを含んでいて。
1つは、「年金の支給年齢を上げていこう」です。65歳~70歳の間で選択制という形が取られていますよね。
大綱によれば、「70歳以上の選択制」という形です。つまり「年金受給可能なのは70歳以上から」という状況になってきました。

もう1つは、なかなかマスコミはあまり大きく取り上げないのですが「高齢者の就労を促していこう」と。
要するに、現在60~64歳の就業率は63.6%ですが、東京オリンピックのある2020年には67%まで引き上げていこうと計画を出していたのです。
3人に2人は働くような時代にしていこうと。

高嶋:
当然、そうなるでしょうね。

須田:
それに合わせ、今回決まったことではないですが、女性の就労化を北欧レベルまで引き上げていこうとしている。80%を超え、90に近い就労率を目指しているんですよ。
つまり「シルバー層も女性もみんな働け!」というのが背景にあるんです。

理由は、これまでフルタイムで働いてきた、我々現役世代の給料が上がっていかないからです。「女性やシルバー層にも働いてもらい、一家の世帯収入を引き上げていく。そうしなければ景気は回復しない!」という思惑が背景にあるのだと思います。

もはや未来に「悠々自適の隠居生活」は無い?

高嶋:
元気な人が多いし、女性も意欲に満ちた方が昔に比べると増えましたからね。
家に主婦としているよりも、社会に繋がりを持ちたい、働きたい人が圧倒的に多くなりました。

須田:
前向きに考えるとそうなのですが、「一家の中で働ける人は働かないと、経済的に豊かにならない」時代がやってきたんです。

高嶋:
それもそうかもしれない。介護が付き物ですしね。

須田:
その点で言うと、非常に厳しい世の中になってきたのではないかな、と思います。「専業主婦なんて贅沢だ!」という時代になるかもしれない。

高嶋:
つまり、勤労意欲というか「生活が豊かだから、自分も社会性を持とうとして働く」というより「自分が夫と一緒に働かないと生活が立ち行かない」と。こういう方が、本音としてある。

須田:
そうですね。高齢者についても同じです。
年金支給年齢は上がる。定年は公務員では一律65歳以上に延長。それを喜んでばかりもいられない。
要するに、かつてはリタイアして悠々自適の老後を過ごせましたが、もう「悠々自適の老後」なんて無いかもしれないですからね。


(2/19(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』より)
 http://www.1242.com/lf/articles/program/asa/