全員に22万円配れと書いたが

ひと月前に「1人22万円配れ」とコラムで書いた手前、僕は安倍首相の10万円を「バラマキ」と批判できない。

【関連記事:コロナショックから日本経済を救うのは利下げではなく「安心」 その後1人22万円のバラマキ

言い訳をすると、当時は消費減税を主張する人が多く、僕の趣旨は税率を下げると元に戻すのが大変だから、その分を現金で配った方がいい、ただし現金だと貯金に回ってしまうので、期限付き商品券にしたらどうか、というもの。

国民全員に現金を配るというのは消費拡大効果があるのか。エコノミストによると、12兆円使って消費に回るのはせいぜい3兆円らしい。ということは残りの9兆円は「安心料」ということになる。随分高いけど。

公明党がここまでキレたのは初めて

安倍さんは当初「減収世帯だけの30万円給付」を決めたが、これに公明党が強く反発し「一律10万円」を主張した。自公が連立して21年目だが、公明党がここまでキレたのを初めて見た。

自公連立21年目 公明党がここまでキレたのは珍しい

減収世帯に先にお金をあげる方が政策として理にかなっている。だが公明党は「たとえ収入は減らなくても年金生活者や低所得者の不安が高まっている」ことに強い危機感を持ち、「連立離脱も辞さず」という強い行動に出た。

公明党は「平和」と「弱者救済」を訴える党だが、「減収世帯への30万はやめて一律10万」というのは弱者救済なのだろうか。「安心料」と言えば聞こえはいいが人気取り=ポピュリズムではないか。

米国では国民全員に13万円が配られるが、年収800万円以上はもらえない。これに比べて年収1000万円でも1億円でももらえる日本は弱者救済とは言えない。つまり一律10万円は困ってる人を助ける「社会政策」としても、消費を拡大させる「経済政策」としても中途半端なのだ。

【関連記事:アメリカではすでに給付スタート 大人13万円 子供5万5000円“コロナ対策”巨額の救済予算の中身

ただ国民には大変評判がいい。「もっとくれ」という人も含め、7割から8割の国民が支持している。そりゃあそうだろう。減収世帯だけだと全体の2割しかもらえなかったのが、全員もらえるようになったんだから。お金もらって怒る人はいない。

「安心料」を使う日が早く来い

正体の見えない敵との闘いが続く

我々は生まれて初めての危機を経験中だ。戦争に比べれば大したことないとお叱りを受けるかもしれないが、それでもこれだけ自由を奪われた生活をするのは初めてだ。職種や家庭環境によっては耐えられないくらいのストレスを感じている人もいるだろう。

外出自粛要請を受け人出が激減した渋谷の街

はっきり言って国民全員に10万円を配るというのは邪道だ。だが危機にあっては邪道であっても国民を安心させることが必要。

安倍首相の危機対応に国民は不満を持っているらしい。小池都知事のロックダウン発言に引っ張られ、今回は公明党のバラマキに引っ張られ、政権は対応をコロコロ変えている。これはある程度やむを得ないのではないか。

10万円に言いたい事は色々あるだろうが、ここは黙ってもらっておいて、連休が終わるまで家でおとなしくしていよう。コロナが落ち着いて少しずつ制限が緩和されて、貯めといた「安心料」を国民がパーッと使えば経済の回復につながります。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】