政府は次期日銀総裁に、4月8日に任期満了を迎える黒田東彦総裁を続投させる方針だ。

黒田総裁は2013年3月に就任し、2%の物価上昇を目標にかかげ、大規模な金融緩和を実行したが、未だにその目標には到達していない。

2期目の黒田総裁の方向性について、ジャーナリストの須田慎一郎に聞いた。

(聞き手:ニッポン放送『あさラジ!』高嶋ひでたけ)

自分のお尻は自分で拭けということ

高嶋:
4月8日に任期満了になると言われていた日銀の黒田東彦総裁がどうやら続投するということです。

アメリカはイエレンさんからパウエルさんになって、日本も代わるのかというような観測もあったようですが、これが意味することは、ズバリ言うと何ですか?

須田:
それはですね、引き受け手がいなかった。

加えて、物価上昇率2%。思う存分、金融緩和をやったわけですから、その出口戦略に向かうときって相当な問題が起こってくるはずなんです。

それで、結果的に2019年度中に出口に向かうはずだと、物価上昇率が達成できるはずだと黒田さんは言い始めた。

そうすると、辞めたあとにその大変な状況がもしかするとやってこなければならないという状況で、まあ言ってみれば、自分のお尻は自分で拭けというようなことじゃないかなと思いますけどね。

物価2%上昇が達成できない理由

高嶋:
黒田さんは2013年3月に就任しました。

2年で2%の物価上昇を目標にかかげ、それをやるのに異次元の金融緩和というのをかかげて、実際にそれを実行した。

僕ら素人ではわかりませんけども、2%なんて、まあ言っちゃなんだけど、ほんの一跨ぎみたいな印象があるじゃないですか。

これがなぜできないんですか? 未だに。

須田:
ひとつ大きな理由としてあげられるのは、個人消費が、冷え込んだままなんです。

高嶋:
けっこう皆、買ってますが…。

須田:
トータルで見ると少ないんでしょうね。物価上昇につながっていかないんだろうと思います。

ではなぜ買わないのか、消費が拡大していかないのかって言うと、やっぱり賃金が、実質賃金が上がっていかない。

所得が、収入が増えなければ、物を買いたくたって買えないじゃないですか。

黒田総裁は辞めたかった

高嶋:
安倍首相にとっても、ここまで手こずるということは計算外だし、これでもし黒田さんを代えるとなると、ほら失敗したじゃないか、みたいなことを言われかねないということですか?

須田:
いや違いますね。通常だったら、1期5年で2%を達成すべきだったのに、だからそういった意味で言うと、代わってもいいんですよ。

次の人が黒田路線を引き継いで、スムーズに出口に向かう。つまり金融縮小と言ったらいいんですかね、金融引き締めに向かうことができるんだったらいいんだけども、難しい。

そんなの無理ですよ。ということで、私の知り合いも断ったという人もいますから。

高嶋:
ということは、黒田さんは首を洗って待っていた。それで、代える気はもちろんあった。安倍首相に実際に声を掛けた。

ところが、こんな異常な状況で、日銀総裁の大役なんか引き受けられないって皆が断った。

須田:
普通だったら、中央銀行の総裁ですから、通常のスケジュール観から言えば、昨年中に、つまり昨年の12月末までに人事を決めてなければいけなかったんですよ。

それが2月までにずれ込んだわけですから、やっぱりそういった点で遅れたっていうのが、その理由の背景にあると思いますよ。

高嶋:
黒田さんも本当のこと言うと辞めたかったんですかね?

須田:
まあ辞めたかったと思いますよ。

高嶋:
もし辞めたかったんだったら、皆に断られて、自分ひとりが死刑台のエレベーターに乗ったっていうことですよね。そうしたら、これからどうなるんですか?

須田:
いや全くまだ見通しがついてないという状況です。

本当に物価上昇率2%をまだまだこだわって目指していくのか、それとも、実体経済がよくなったとして、スムーズに出口戦略に向かっていくのか。

今、その岐路に立たされているんじゃないかなと思いますね。

黒田総裁の2期目の役割は?

高嶋:
株価がちょっとおかしなことになってます。1週間で1900円近くも下げたし、NYダウなんかも乱高下で、値幅が1000ドルを超えたというような大きな乱高下をしてるわけなんですけど、これからどういうことになっていくんですか?

須田:
金融緩和というのは、国債をがぶ飲みしてじゃんじゃん買うのと一緒で、ETF買いと言って、株式も相当数買ってるんですよ。

ですから、出口に向かうということは、「もう株も買いませんよ。国債も買いませんよ」と。

その結果、何が起こるかというと、株価下落と債券価格の上昇、長期金利の上昇と、債券価格の下落と長期金利の上昇ということが起こるということがもう間違いないんですね。

高嶋:
ということはアベノミクスも終焉ということですか?

須田:
いや、ですから違った方法で、違ったやり方で、景気回復を目指していくということになると思いますね。

高嶋:
そんな方法はあるんですか?

須田:
いろいろとあると思いますよ。

ある意味で、もう3年くらいやった時点で限界を迎えたということで、少しずつ少しずつ政策転換しているんですよ。

高嶋:
そうなんですか。ということはそんなに心配する必要はないんですか?

須田:
いや、金融マーケットに大きな影響を与えると思います。

それをどうソフトランディングしていくのかっていうのが、2期目の黒田さんの役割だと思いますね。


(2/12(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』より)
 http://www.1242.com/lf/articles/program/asa/