安倍政権の掲げる「人づくり改革」。その柱の一つが幼児教育無償化である。

待機児童問題を解決するには、予算を掛けて保育園を増やせばいいと考えがちだが、実際には予算以外に2つの大きな問題点があるという。ジャーナリストの須田慎一郎氏に聞いた。
(聞き手:ニッポン放送『あさラジ!』高嶋ひでたけ)

保育料が安い「認可保育園」と高額な「認可外保育園」

高嶋:
今日は安倍政権の目玉政策、「待機児童問題」と「幼児教育無償化」についてです。横浜市などのように待機児童が「ゼロになった」と言う市町村がありますが、実際に保育園が必要な人に聞くと「全然なっていない」とか、いろいろなことを言います。
実態はどうなのですか?

須田:
保育園には「認可保育園」と「認可“外”保育園」があります。
認可保育園は公的な扶助や補助を受けていますので、保育料が安いのです。大体、月額5万円以内に収まるとされています。
認可外の場合は、高額なのです。すると「認可外にしか預けられないから、とりあえず子供は手元で育てよう。認可保育園が空いたら、申し込もう」という潜在的な需要者がいるのです。

無償化よりも待機児童問題に予算を

高嶋:
とてもよく分かりますが、政府がその認可保育園の無償化を検討しています。
結論は今年の6月頃だそうですが、認可外保育園を利用している人には、これは頭に来るでしょうね。認可されているところに行けないから、認可外に行っているのでしょう。

須田:
認可保育園の順番待ちをしている認可外の利用者に加え、仕方がなく認可外に預けている人もいるわけです。それが潜在的に待機児童問題を抱えているとされているのですが、認可保育園が空いてくると「じゃあ私も」と来るものですから、横浜市のように、待機児童ゼロに持っていったと思っても保育園に行けない人が出てきてしまうのは、そこに理由があるのです。

今回のケースで言うと、待機児童対策で3,000億円が予算計上されています。それ以外に幼児教育の無償化に8,000億円の予算が計上されている。
だとしたら、待機児童問題は深刻化しているのだから「無償化はあとにして、待機児童の問題にもっとお金を使って、ゼロに持って行けばいいじゃないか」というのが、いま言われているポイントなのです。

認可保育園を増設できない二つの理由

須田:
ところが、認可保育園というのは、どんどん予算を掛ければ作ることができるのかというと、できない。そこに大きな問題があるのです。

高嶋:
なぜできないんですか?

須田:
2つポイントがあります。
1つは、保育者の数が圧倒的に足りないんです。
建物は完成していても、月給が安く、働く人がいないのです。大卒の初年度で、月額約12万弱。ベテランになっても15万を切るのです。これじゃあ、なり手がいない。だからといって「来月、来年から倍にしますよ」とは、すぐにはいけませんからね。

もう1つは、あまり言いたくないけど「住民エゴ」の問題があります。
東京で1番待機児童を抱えていたのは世田谷区でした。世田谷区は自治体が中心になって認可保育園を作ろうと思っていたのですが、住民から「家の近所に作られたらうるさいから、他所で作れ!」と言われ、住民の理解が得られず作れなかった。

この2つの問題で、予算を付けたからといって、すぐには作れないんです。

高嶋:
悲しいですね。日本だって将来少子化で。子供の数が減っていて、それで国の将来が先細っているわけですから。
そういう点から言うと、この「認可保育園問題」は、真っ先に、完璧に解決しなければいけない話なのですよね。どうして、こんなに尾を引いているのだろう。

須田:
この記事をご覧の皆様にも、優しい気持ちになって貰いたいなと本当に思いますよ。


(1/29 FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』より)
 http://www.1242.com/lf/articles/program/asa/