高齢化の波が今、飲食業界にも押し寄せている。
地元の人に愛される飲食店が後継者不在のため、各地で消滅の危機に立たされているという。

後継者不足に悩む高崎のイタリアンレストラン
群馬県・高崎駅近くのイタリアンレストラン「デルムンド」。
お昼時、店内は満席で、足しげく通う常連客でにぎわっている。

夫婦2人3脚で40年にわたり、地元の人たちの胃袋を満たし続けたこのお店の愛されグルメが、7種類から選べるパスタとオムライスのセット。

名物料理は、手作りのハンバーグをパスタに乗せ、豪快にミートソースをかけた「ハンブルジョア」だ。

地元に愛されるこのお店が抱えているのが後継者問題。
夫婦は今年67歳。後継者がおらず、このままでは店を閉めるしかないのだという。

実は高崎市には「デルムンド」と同様、後継者不足に悩む飲食店が年々、増加している。
そこで高崎市が始めたのが、後継者不足のお店を紹介し、将来の後継者を募集するという取り組み。

この取り組みが「デルムンド」を救う希望の光となるのだろうか。
閉店を決めた原宿の小料理店
地元に愛されながら、やむなく閉店を決めたお店もある。東京・原宿の裏通りに55年前から店を構える小料理店「秋芳」。

こちらの名物は、朝、築地で仕入れた「焼サバ定食」や、ぶ厚い豚ロースを使った「生姜焼き定食」などのおふくろの味。
一番人気は、土鍋で煮込んだ「肉じゃが」だ。

近くで働く若者も来店するなど、幅広い世代に愛されているこのお店を切り盛りするのが、今年86歳になる秋芳光子さん。
たった一人で半世紀以上、店を切り盛りしてきたのだという。
しかし、後継者がいないため、55年愛されたこのお店は、今年いっぱいでの閉店が決まっている。
常連客が後継者として名乗り出た稀有な例
後継者不在により閉店を決めるお店がある一方、常連客が後継者として名乗り出るという稀有な例もある。
13年前に開店した、奈良県の山奥にある人気ラーメン店「ラーメン河」。

遠方からも訪れる人が絶えないというこの店の名物が、透き通るスープが美しい1日50食限定の「塩ラーメン」。

旨味が詰まったスープが評判の知る人ぞ知る名店で、「ミシュランガイド」でも紹介されている。
店主は77歳の長田亜起男さん。
店を手伝っていた妻が去年、病気になり、一人で店を切り盛りすることになったのだが、体力的に厳しい状況で、後継者もいない苦しい状況だった。
そんな中、お店を手伝いに来るようになったのが、店の常連客である丸本洋平さん(36歳)。
丸本さんは地元・京都の飲食店で働きながら、週末になると、泊まり込みでお店の手伝いをしに来るようになったのだという。
愛され続ける塩ラーメンが受け継がれる日は、そう遠くないのかもしれない。
常連客の力で復活したお店も
実際に、常連の力で復活したお店もある。
大阪府・浪速区にある1948年創業のミックスジュース店「千成屋珈琲」。
ミックスジュース発祥の店と言われている老舗喫茶店だったが、去年、店主の高齢化、後継者不足を理由に一度閉店。
常連客が先代の家族を説得し、今年5月に再オープン。
他の常連との試飲を繰り返し、懐かしの味を再現するだけでなく、味を進化させたメニューも提供している。
常連として通っていたお店が閉店するのは寂しいものだ。
コメンテーターの新妻聖子さんも、かつて寂しい思いをしたことがあるのだという。
新妻:
恵比寿にあったお団子屋さん。すっごくみたらし団子が美味しかったんですけど、高齢のおじいちゃん、おばあちゃんがやってらっしゃって。
ある日、店の前を通ったらシャッターがおりていて、「はー」って残念に思いました。
(『とくダネ!』【のぞき見!リアル とくキュウ】10月11日放送分より)