今回の歴史的な南北会談について、フジテレビ報道局の鴨下編集長(元ソウル支局長)に聞いた。


ーー南北境界線を越える場面、およそ20秒にわたって握手をし、手をつないで北朝鮮に入るなど、かなり親密さをアピールしましたね?

鴨下ひろみ
そうですね、やはり北朝鮮の指導者が分断後、韓国に入るというのは、歴史上初めてのことですので、両首脳とも、これが非常に歴史的な瞬間であるということを強く意識していて、それを世界にアピールするという思惑があったというふうに見られます。


鴨下ひろみ

しかも、単に金委員長が韓国側に来ただけではなくて、そのあと、文大統領の手を取って、金委員長が誘うような形で北朝鮮側にも足を踏み入れた。

そういう形で南北が相互に行ったり来たりできるような新しい関係になるんだということを、世界に向けてアピールする、非常に象徴的なシーン、今回のその南北首脳会談の最大のハイライトの一つの場面だったといえると思います。


ーー首脳会談の冒頭の様子はどう見ましたか?


鴨下ひろみ
金委員長が、新しい歴史の出発点であるということを強調しながら、自分がどういう思いでこの南北の境界線を越えたかということを、率直に語っていました。

そういった率直な姿を見せることで、自分のこれまで持たれてきた独裁者的なイメージ、そういったものを払拭したいという思いもあったでしょうし、また、金委員長がこういった会談の場で、みずからの肉声を公開するということは非常に異例のことです。

ほとんど初めてと言っていいかもしれません。そういう意味でも非常に注目されるシーンだったと思います。


ーーその中で、金委員長がこんなことを言ったんですね。
平壌冷麺を遠くから持ってきた。あっ、遠くからと言っちゃだめですよね」などと、文大統領にジョークのように投げかけたとも受け取れるんですけれども?


鴨下ひろみ
金委員長は、こうしたジョークを韓国の特使が訪問したときも、しばしばジョークを飛ばしたというふうに言われていますし、今回は居並ぶ記者に向かっても声をかけたりしていて、やはりそこでも自分の親しみやすさ、度量の大きさということを韓国に向けてアピールしたかったんじゃないかなと。

ーー北朝鮮は2000年の初めての首脳会談以降も、核実験を行ったり、2007年の2回目の首脳会談の2010年には韓国軍の哨戒艦を攻撃して沈没させたり、同じ年には民間人が住むヨンピョン島を突然砲撃したりと、韓国側への攻撃を繰り返してきました。今回の首脳会談で平和を前面に打ち出すこの金委員長の発言をどこまで本気と捉えていいんでしょうか?


鴨下ひろみ
金委員長は、やはりこうした批判が韓国の中にあると、また世界からも北朝鮮は約束しても裏切るじゃないかという批判をされているということを、実はよく分かってるんですね。

だから今回、この冒頭の会談の中でも、宣言を、どんなにいい合意をしたり、どんなにいい宣言を作ったとしても、履行しなければ意味がないということを言いました。

これは本気というふうに、自分もやるよというふうに、本気だというふうに取ることもできますし、裏返すと、これは韓国側も約束を守らなければだめだという意味で、見返りを求めているというふうに捉えることもできなくはないと思います。