大阪・堺市で、2019年、当時中学2年生の女子生徒が飛び降り自殺した。
堺市は3月、記者会見でいじめの調査報告書を公開したが、ほとんどが黒塗りで詳細がわからず、批判が相次いだ。
こうした対応は、いじめの再発防止につながるのか。

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中2の女子生徒が飛び降り自殺 同級生から「死ね」「うざい」

2019年、当時中学2年生の女子生徒が自宅近くのマンションから飛び降り、自殺した。
生徒は部活動で同級生から「死ね」「うざい」と言われるなどのいじめにあっていて、不登校になっていた。

女子生徒の筆箱の中からは、いじめとされる手紙が出てきた。

女子生徒の母親:
ずっと机の下の奧に筆箱を置いていて、(娘に)「あの筆箱使わないの?」と聞いたら『あれは嫌。使いたくない』。(相手は)部活の子だなって。受け取って2度と触りたくも見たくもなかったのかなって

全部たらいまわし 母親が指摘する学校対応の問題

生徒の自殺を防ぐことはできなかったのか。
母親は学校の対応の問題を指摘する。

女子生徒の母親:
都度、学校の先生に『こんなことあったけど本当ですか?』と確認で、すぐ電話するんです。当時の教頭は『担任に言っておきます』、担任に話すと『顧問と話しておきます』、顧問に話したら『担任と話しておきます』。全部たらい回しなんですね。
隠そう隠そうとする体制。問題ないでしょと。『子供同士の喧嘩もめごとでしょ?どうして親がでてくるの?』という対応だったし

聞き取りもせず、アンケートもせず…ずさんな対応

関西テレビは、いじめに関する第三者委員会の調査報告書を独自に入手した。

その内容は「不登校に陥った時期と自殺した時期に1年以上の時間的乖離がある」などとして、いじめと自殺の因果関係は認めないものだった。

一方で、学校側のずさんな対応も明らかになった。
女子生徒は中学1年の頃から不登校の状態が続いていたが、中学2年の担任は女子生徒とほとんど顔を合わせず、聞き取りをしていなかった。

さらに、国が義務付けているいじめを調査するアンケートを、女子生徒に対して行っていなかったというのだ。

当時の教頭は関西テレビの取材に答え、「現場任せにしていた」と話した。

当時の教頭:
(いじめの)認知はできていたと思います。ただ、対応がまずかった。
(Q.生徒の困りごとなど聞き取りはした?)
学校としてはできていません。その辺も管理職としては把握をせずに、時間ばかりがたってしまった

報告書のほとんどが黒塗り 遺族「何も伝わらない」

3月17日、堺市教育委員会は調査報告書を公開し、会見を開いたが、報告書のほとんどの内容はいわゆる”黒塗り”だった。

「被害者と加害者の個人情報の保護」を理由として、女子生徒が受けたいじめの内容や、マンションから転落死したことなど、基本的な事実について書かれた部分も、黒塗りにされていた。

記者団からは「事案の詳細がわからない」と批判が相次いだ。
批判を受けて、堺市は23日に改めて会見を開いたが、「自殺した女子生徒の母親の了承を得ている」として、黒塗り部分については内容を明らかにしなかった。

堺市教育委員会・学校教育部担当者:
具体的な内容については、当該生徒や関係生徒の特定される恐れがあるため、非公開とさせていただいております

一方、女子生徒の母親は、「プライバシーの保護は求めたが、黒塗りについては了承したつもりはない。ほとんどが黒塗りでは何も伝わらない」と話す。

意見が食い違ったままで、いじめの調査報告書を再発防止につなげることはできるのか。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年3月23日放送)

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