減収世帯のみ30万円は撤回…全員10万円給付へ
安倍首相は4月16日夜、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策として、すべての国民1人あたり現金10万円を給付する方針を表明した。所得制限は設けない見通し。
安倍晋三首相:
全国すべての国民の皆様を対象に、一律1人あたり10万円の給付を行う方向で、与党において再度検討を行っていただく
安倍首相は、すでに決まっていた減収世帯のみ30万円の給付を撤回し、代わりにすべての国民に10万円を給付する方針を表明した。これにより20日に国会に提出する予定だった2020年度の補正予算案を組み替える。
今回の措置は、公明党の山口那津男代表の強い要請を受けたもので、安倍首相は山口代表に電話し、所得制限を設けない意向を伝えた。
今後、政府与党で調整するが、国民全員に10万円給付するための予算措置は、単純計算で12兆円を超え、減収世帯のみ30万円給付の約4兆円を大きく上回る見込みだ。
働く人のホンネは?
当初の減収世帯へ30万円から全国民に1人あたり10万円の給付へ。
この政府の方針転換を街の人はどう受け止めたのか?
医療関係(20代):
早急に給付金が必要。職を失って早急に必要な人もいる中、30万円で申請を出してもすごく時間がかかると思うので、一律は素早くできる対応だと思うので良い。家族でもその人数分だけ10万円が入ってくるので、ひとまずはしのげる金額なのかな…
製造業(50代):
一律にする必要はないと思う。一律10万円配るんだったら、困っている人に30万円配った方がいい。そうでない人たちは渡す必要はないと思う
食品メーカー(20代):
一律で公平にやってもらった方がありがたい。マスクや除菌のものを今回多く買うようになったので。旅行とかも予定していたが、それもキャンセル料とかを3万円くらい取られたりして…
通信関係(40代):
時間は変えられないから、とりあえず配って、高所得者であれば、年末調整や課税・非課税という形で精算とか調整すればいい
転職活動中(20代):
現金で10万円だと、貯蓄に回してしまう人が多いと思う。そういう人もいるから、スーパーで買い物ができる無料券じゃないですけど、券とかそういう方が賢いと思う。
今は喜んで自粛したくなるような制度が大事
Live News αのスタジオではエコノミストの崔真淑さんに中継で話を聞いた。
内田 嶺衣奈キャスター:
街の声は様々でしたが、一律10万円での給付を崔さんはどうご覧になりますか?
エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
意見は分かれると思いますが、私としてはすごく良かったと思っています。理由は「経済対策より自粛対策」。今大事なのは経済対策よりもみんなが喜んで自粛したくなるような制度です
エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
どんどんお金を使いましょうという政策ではなく、無理にお店を開けなくてもいい、無理に出社しなくてもいい、今はまず皆が一丸となって自粛をしよう。そういった意味では安心して自粛をする制度として10万円、しかも一律にすることで事務コストがかなり下げられるという意味では非常に良かったと思います
内田 嶺衣奈キャスター:
自粛を促すという意味では良かったということですが、課題はどんなことになりますか?
エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
課題はゼロではありません。今回の給付が一回で終わるのかと言えば、自粛の動きがかなり長期間になって2回目、3回目の給付となると財源の心配が出てきます。
エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
財源に負担をかけないように自ら自粛をするためにも無利子無担保の融資制度をセットにするとか、そういった議論も必要になってくると思います。そうでないと、将来の増税を見越して皆さんの心、私の心も落ちてしまう懸念が出てきます。
内田 嶺衣奈キャスター:
そうですね。財源をどこからというのも非常に気になるところです。今回の政府の方針転換は少し混乱を招いてしまうのではという懸念もありますが、スピード感という意味では今すぐに必要な方達にようやく届くのだというほっとした気持ちもあります。まずは自粛につなげ、そして一日も早い感染拡大の終息につながることを切に願います。
(「Live News α」4月16日放送分)