世界最高峰のエベレスト登頂に挑戦していた登山家の栗城史多さんが、遺体で発見された。
21日の公式ブログに、「このようなお知らせになり大変申し訳ございませんが、エベレストで下山途中の栗城が遺体となり発見されました。
下山を始めた栗城が無線連絡に全く反応しなくなり、暗い中で下から見て栗城のヘッドランプも見当たらないことから撮影隊が栗城のルートを登って捜索し、先ほど低体温で息絶えた栗城を発見いたしました」と発表された。

視聴者との『冒険の共有』にこだわり
栗城さんは酸素ボンベを使わない『無酸素』、ベースキャンプからは1人で登る『単独登山』でのエベレスト登頂に挑戦中だった。
死亡する3日前に撮影された動画では、「これからエベレストに向かっていきます」と意気込みを語っている。

1982年に北海道で生まれた栗城さん。
これまで8000メートルを超える4つの山を無酸素・単独で登頂してきた。
中でも話題となったのは、2009年から開始した登山の様子をインターネットで生中継する活動。
2009年にダウラギリや2014年にブロードピークの頂上にたどり着いた時など、視聴者と『冒険の共有』をすることにこだわり続けていた。
メディア各局も栗城さんのドキュメンタリー番組を放送したり、著名人との対談やバラエティ番組にも出演するなど活躍の場を広げていた。

今回もエベレストの挑戦について、「最近はね、なかなか上にあがれていないということもあって、ちゃんとした冒険の共有はできてなかったんですけど、今年はちゃんと皆さんと頂を共有できたらと思います」と意気込みを自らの配信動画の中で語っていた。
これまでエベレストに7度挑戦するも登頂には至らず、2012年には重度の凍傷で両手の指9本を失った。
「苦しみも困難も感じ、感謝しながら登っています。」
8度目となった今回も、登頂の瞬間を生放送すべく途中経過をブログで発信。
亡くなる約2週間前には、山の神々に祈りをささげる姿が配信されていた。

さらに5月20日にアップされたブログには、「みなさん、ナマステ。今、7400mのところに来ています。今はとにかくこのエベレストを、苦しみも困難も感じ、感謝しながら登っています。」と更新されている。

この時の栗城さんの『自撮り』はなく『音声』のみで、息をきらし、苦しそうに話しているようにも聞こえる。
そして、翌日の21日に「下山します」というタイトルで、「栗城は体調が悪く、7400メートル地点から下山することになりました」と栗城さんのスタッフにより更新されたブログ。
事務所などによれば21日、体調が悪化した栗城さんは登頂を断念し7400メートル地点から下山を開始したという。
栗城さんの父親は「本人はおそらく山に登って好きなエベレストで命を落としたというのは、逆に交通事故よりは息子にとって幸せかなと思っています」といつかこのような日が来ることを覚悟していたと胸の内を明かした。
栗城さんの遺体は、エベレストのベースキャンプからネパールの首都・カトマンズに搬送されたという。
(「めざましテレビ」5月22日放送分より)