ダイキン工業が「上手な換気の方法」をサイトに公開

新型コロナ感染拡大を受け、「密閉、密集、密接」の“3密”を避けて過ごすことが要請されている現在。

厚労省が「新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために」とした資料の中で、「換気が悪く」「人が密に集まって過ごすような空間」「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」を避けるように呼びかけたこともあり、換気の重要性は多くの人が知るところとなっているだろう。

(参考記事:スポーツジムやビュッフェも今は避けて…厚労省が新型コロナの「集団感染防止策」を新たに公開

そのような状況の中、ダイキン工業株式会社は4月10日、公式サイトで「上手な換気の方法」を公開した。

(ダイキン工業HPより)
(ダイキン工業HPより)
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窓は「対角線上に開けて!」 正しい換気方法を解説

「上手な換気の方法」では、「換気の基礎知識」と「換気の知恵」に分けて紹介。基礎知識として、換気の必要性などを説明した上で、家での換気のポイントを解説している。

まず、ダイキン工業が推奨しているのは、

(1)24時間換気システムをきちんと使うこと
(2)窓を開けて空気の通り道を作ること
(3)台所の換気扇を活用すること


の3つのポイント。

サイトには効率的な窓の開け方や、窓のない部屋での扇風機の活用法などを掲載。部屋の中にどうやって「空気の流れ」を作るかについてなどが図解付きで紹介されている。


そして、最初のポイントは「24時間換気システムをきちんと使うこと」だ。

部屋の壁や天井には「換気口」がついており、この換気口から部屋の中の汚れた空気が建物の外に出され(排気)、同時に建物の外から新しい空気を取り込む(給気)よう設計されている。

家やマンションの換気ではこの換気システムが一般的で、2時間で室内の空気をまるまる一回入れ替えることができるが、外から空気が入ってきて寒い・暑いなどの理由で換気口を閉じたり、システムのスイッチをオフにしたりしてしまうと、知らず知らずのうちに空気の汚れがたまってしまうのだという。

まずは基本となる備え付けのシステムをストップさせずに「正しく」使用することが肝心だ。


続いてのポイントは「窓を開けて空気の通り道を作ること」

窓を開けて換気するときの時間と回数の目安は、1時間に5~10分程度。なお、できるだけ回数を多く換気するのが効果的だということで、2時間に1回10分の換気をするよりも、1時間に5分の換気を2回する方がいいのだという。

そして窓を開けて換気をする時は、1か所の窓だけでなく、2か所の窓を開けることで空気の通り道ができ、さらに2つの窓が対角線上にある場合、さらに効率的に換気することができるという。

左のような形で窓を開けるとより効果的(ダイキン工業HPより)
左のような形で窓を開けるとより効果的(ダイキン工業HPより)

部屋に窓が1つしかない場合は、部屋のドアを開けて、扇風機などを窓の外に向けて回し、部屋の中の空気を外に流すのが効果的。部屋の中に外の空気を送ろうとして扇風機を反対に向けてしまうと、汚れた部屋の空気が外に出ずにとどまってしまうことがあるため、NGだ。

また、窓自体がない部屋の場合は、部屋のドアを開け、扇風機などを部屋の外に向けて回した上で、浴室や洗面室・トイレなどに設置されている換気扇を回すことで汚れた空気を外に出すことができる。

(ダイキン工業HPより)
(ダイキン工業HPより)

最後のポイントは「台所の換気扇を活用すること」

台所の換気扇は住宅の換気扇の中でも排気量が特に大きいため、効果的に換気することができるのだという。台所に近い窓を開けると部屋全体の空気が換気されにくいため、台所からできるだけ離れた窓を開けるのが良い。すでに窓を2つ開けて十分に風の通り道を作っている場合でも、換気扇を併用することで、換気をアシストすることができることからおすすめだという。

「普段から換気には十分気をつかっている!」という人も、もしかしたら間違っていたかもしれない「正しい換気の方法」。

この特設サイトを公開した背景には、やはり新型コロナウイルスの感染予防の意識の高まりが関係あるのだろうか。ダイキン工業株式会社の担当者にお話を聞いてみた。

問い合わせは1.5倍に…高まる換気への関心

――「上手な換気の方法」を公開したきっかけを教えて

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、企業は在宅勤務を推奨し、学校は休校になるなど、多くの人が外出を控えて家の中で過ごしています。また、政府が感染予防策として換気の悪い密閉空間を避けるように要請するなど、換気に対する関心が高まっています。

空調メーカーである当社にも、換気に関する数多くの問い合わせが来ており、「空気で答えを出す会社」を掲げる企業として、少しでも生活の役に立つ情報や、困りごとの解決につながる情報を発信したいとの思いから、「上手な換気の方法」のページを制作しました。


――ウイルスと換気についての問い合わせ数はどのくらい増えた?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、新型コロナウイルスと弊社商品に関連するお客様からのお問い合わせは増加傾向にあります。厚生労働省が「3つの密を避けましょう」を公表した3月末頃と比べると、ダイキンコンタクトセンターへのお問い合わせは、4月2週目の時点で約150%に増加しています。


ダイキンによると、やはり新型コロナウイルス関連の問い合わせが増えているそう。この特設ページを見たSNSユーザーからは「実践的でわかりやすい」「我が家は換気口を閉じたままにしていた…すぐに直そう」などの声が寄せられている。

エアコンで「換気」はできない?

一方、疑問に思うかもしれないのが「エアコン」について。「部屋の中に新しい空気を取り入れられる」「エアコンを運転すれば換気ができる」というイメージもあるが…

――エアコンで換気はできるの?

エアコンは「部屋の中の空気を吸い込んで」、その空気を冷たくしたり温かくしたりした後に「部屋の中に戻す」ことで、快適な環境をつくるものです。部屋の中の空気と外の空気を入れ換えてはいません。そのため、ほとんどのエアコンでは換気ができません


実際に、SNSには「エアコンつけたけど、これで換気できてるんだよね?」という投稿も見られたが、エアコンは部屋の中の空気を循環させる仕組みのため、一部の換気機能付きエアコンを除いて「空気の入れ替え」はできないというのだ。そのため、窓や換気扇を使い、空気そのものを取り換えることが肝心なのだという。

今後はオフィス用の情報も発信

――今後はどんな情報を発信していく予定?

今後は、住宅に加えてオフィスビルの換気にまつわる情報など、コンテンツの拡充を予定しています。


――ちなみに、その他に注意点はある?

窓開け換気のときに花粉が気になる場合は、窓の近くに空気清浄機を置くことで、花粉の侵入をある程度抑制することができます。また、窓を開けたことでの温度や湿度の変化が気になる場合はエアコンを上手に使ってコントロールしてください。

なお、空気清浄機やエアコンをお使いいただく際、ぜひお手入れについても気にかけていただければと思います。エアコンにも空気清浄機にも、ホコリをキャッチするためのフィルターが内蔵されています。ここにホコリが積もり過ぎていると、機内に吸い込める空気の量が減ってしまい、効率が下がってしまいます。

お手入れ方法はYouTubeでも分かりやすくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

花粉症の人も窓を閉め切らず、空気清浄機を併用して
花粉症の人も窓を閉め切らず、空気清浄機を併用して

なお、注意したい点として、窓や部屋の大きさ、室内に浮遊している汚染物質の種類によって空気が外に出るスピードは異なるため、どの程度の換気であれば確実に感染症リスクが抑えられるのか、ということについては一概には言えないという。

今は、家でじっとしている時間が増え、ドアや窓を閉めっぱなしにしていることも多いかもしれない。もしかしたら、家の中は普段よりもずっとウイルスや汚れがたまりやすい環境となっている可能性もある。気分転換もかねて、「正しい換気」を実践してみてはいかがだろうか。

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

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