国会関係者の感染拡大で議員の感染も秒読み?

「国会議員が感染するのも時間の問題だ」

ある国会関係者は、こんな危機感をもらした。13日夕方、東京・赤坂の衆院議員宿舎に入居者の感染を知らせる緊急放送が流れた。エレベーターやエントランスなどは、すぐに消毒が施されたが、入居者たちはこの異例のアナウンスに一時、戦々恐々としたという。

感染が確認されたのは自民党の船橋利実議員の家族で、すでに入院しているが軽症だという。このほかにも、自民党・鳩山二郎議員の秘書、国民民主党・牧義夫議員の公用車の運転手の感染も相次いで判明した。

「なんで国会議員はかからないんだ?」政府関係者は冗談交じりでこう漏らしたが、それも時間の問題なのではないだろうか。首相官邸のエントランスに10日に設置されたサーモグラフィーでは、すでに数人の発熱者がチェックにかかり、入館拒否の措置をとったという。

本会議も対策、自民幹部は「国会の3密」に言及

一方、衆議院では14日から開催する委員会の数を絞り込むことで、国会に来る議員らの数を7割から8割程度減らす取り組みが始まった。本会議では議員同士の接触を避けるために、各党それぞれが出席議員を半分程度に減らし、欠席した議員はテレビなどで会議を視聴した。

この記事の画像(6枚)

自民党幹部は今月初め、「コロナの中をかいくぐってやるのが国会議員だ。休みたい人は休めばいい」と話していたが、政府から国民に対し8割削減を求めている以上、国会も対応すべきだという考えに転じた形だ。

本会議での議員数削減を行ってみて、自民党の森山国対委員長は「本会議場は1時間に5回換気している。“密室”ではない。かなり狭い椅子に並んで座っているので“密接”ではある可能性があると思う、その観点では今日は1つずつ開いていたのでよかった。“密談”しないようにしないといけない」と述べ、本来の「密閉・密集・密接」と微妙に異なる国会の3密「密室・密接・密談」回避に言及した。

国会では、14日に年金制度改革法案が審議入りしたほか、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急対策を盛り込んだ補正予算案の審議も控えていて、国民生活に関わる重要な役割を果たすべき局面が続いている。

ただ、政府の専門家会議が「10人以上の集まりを避けて」と要請しているにも関わらず、人数が半分に減ったとはいえ200人以上が本会議に出席しているだけに、「休会すべきではないか」と危機感を表す国会議員もいる。ウイルスとの戦いの長期化が見込まれる中、国会議員の活動や法案審議のあり方にも変革が求められている。

まさか…緊事態宣言の中、野党議員が性風俗店に

こうした中、危機感の薄い国会議員による、耳を疑うような行動が明らかとなった。新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言が出された後の9日夜、野党・立憲民主党の高井崇志衆院議員が東京・歌舞伎町の「セクシーキャバクラ」と呼ばれる飲食店を訪れていたというのだ。

緊急事態宣言により、キャバクラなど接客を伴う飲食店への出入りを控えるように求められていた最中だ。立憲民主党の福山幹事長は15日、党の執行役員会後、記者団に対し、高井氏が事実関係を認め離党届を提出したことを明らかにした上で陳謝した。

立憲民主党・福山幹事長

さらに、枝野代表は自身のツイッターに投稿している動画「#えだのんボイス」で、「事柄の重大性に鑑み除籍処分にした。皆さんの信頼を損ない、おわび申し上げる」と頭を下げて謝罪。その上で、「国会議員の自覚を欠き、議員辞職に値する無責任な行動だ」と激怒した。

議員の給与である歳費削減で合意

一方、与野党の国対委員長は14日、国民生活や経済への深刻な影響を踏まえ、国会議員の給料にあたる「歳費」を今後1年間、2割削減することで一致した。国会議員の歳費は月129万円4000円だ。「2割カットする」ということは25万8800円が削減されることとなる。過去には東日本大震災の際、当時の民主党政権下で、復興財源確保を目的とした特例措置として、初めは13%、後に20%歳費を削減した実績があり、今回もそれを踏襲した形だ。

与野党の国対委員長の会談

ただ、国会議員にはこのほかに、「文書通信交通滞在費」として月100万円が支給され、会派には「立法調査費」としては議員1人あたり月65万円が支給されているが、これらは対象外となる見通しだ。

維新やれいわからは「小手先」「やってる感」などと苦言も

こうした中、日本維新の会の遠藤国対委員長は14日、衆院議院運営委員会の理事会に出席し、臨時措置ではなく恒久的な措置として歳費の2割削減を議論すべきだと警鐘を鳴らした。遠藤氏は、与野党の歳費をめぐる対応について「法案を提出した際には無視を決め込まれていたが、自分たちの批判があるとなれば慌ててやるという、小手先の政治判断」と述べ、遅すぎると批判した。

身を切る改革を掲げる日本維新の会は、これまで4年4ヶ月の間、所属議員の歳費を自主的に2割カットして党に寄付させ、その金額分を東日本大震災はじめ各地の地震や豪雨災害の被災地などに寄付している。また、今年1月には参議院で歳費2割カットのための法案を提出している。

また、れいわ新選組の山本代表もツイッターを更新し、「やってる感出してるだけ。金ならある、作ればいい」と批判。山本氏は歳費削減の前に、大規模な財政支出で中小零細企業や個人事業主などの暮らしを救うために「さっさと金を刷れ、皆に配れ」と訴えた。

国会の開催方法も、歳費削減も、3月から指摘されていたことを、今実行した形だ。国難とも言われるこの局面において、本来、社会を率先すべき国会議員の行動が、逆に後手後手に感じられて仕方がない。有権者から国政を託された国会議員たちは、国民の命を守るために最善かつ最先端の策を、より一層率先して行う必要があるのではないだろうか。

(フジテレビ政治部 大築紅葉)