安倍首相がPCR検査の実施を2万件にすると発表

安倍首相は4月6日新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査の1日の実施可能数を現在の2倍の1日2万件にすると発表した。

PCR検査について日本は現在1日どれぐらい実施することが可能かというと、地方衛生研保健所約4900件・民間検査会社約3600件・検疫所約1800件など合わせて約1万2800件となっている。

株式会社イー・ウーマン代表取締役社長・佐々木かをりさん:
まずは2万件という数字を発表し、目標を設定するということはいいことだと思います。可能、不可能も含めて課題が見えてくると思います。初期にはクラスターを発見するということだったので、検査のリミットを持っていたと思いますが、そのクラスターを潰していくというステージ初期の段階を過ぎてしまって、これだけ蔓延して、その感染経路がわからない人達が増えてきている。これを増やして誰でも希望している人たちが検査できるという体制にしていくのが絶対必要だと思うのです。当然ただ行くというのではなくて必要な人がということは前提です。

人も機材も足りていない…厳しい現実

4月10日にさいたま市にある保健所の西田道弘所長がPCR検査が2カ月で171件にとどまったことについて「病院が溢れるのが嫌で厳しめにやっていた」とコメントした。それについて清水勇人市長が「誤解を招く表現だった」と釈明して謝罪した。現状として、さいたま市には検査の機器が3台しかなく、そのうち新型コロナウイルス専用の機器は1台しかなかった。

加藤綾子キャスター:
風間さん、厳しめにと言われると、あえて検査を少なくしていたという印象を抱かれても仕方ないのではと思うのですがどうでしょうか。

風間晋解説委員:
正直に言っちゃったのかな。というのも発言内容自体に驚きはないんですよ。というのも東京都が軽症や無症状の患者を病院の外に移すことに汲々としている現実をみんな知ってるわけじゃないですか。その発言に驚きはない。病院のベッド数を確保するためには病院に軽症や無症状の人たちを入れないということは大事だとみんな分かってしまっているからだと思います。

加藤綾子キャスター:
保健所の現状というのは本当に厳しいということですよね。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
ちょうど市町村合併があったりして、保健所の数はどんどん減っているんですよね。ですから当然守備範囲が非常に広がって、業務も大変増えてその中であまり人員が増えていないという現状もありますので、大変なご苦労されていることも事実だと思います。

加藤綾子キャスター:
ですから保健所の方はオーバーワークになっていて、さらにPCR検査をするにも人手が足りないということですね。負担軽減というのはどうにかできないのですか。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
人員を増やしていただくこと、予算を増やしていただくこと。聞いてみると例えば、IT機器もずいぶん古くて能率が悪いそうです。ですからこういうことがあった時にすぐに即応できるように保健所の仕事っていうのはいろんなことをしていますので、余力を持たように市区町村がそれなりに配慮していただくということが非常に重要だと思います。

PCR検査を受けやすくする措置が必要

検査を受けるまでの流れはまず、37.5度以上の熱が4日以上続き、強いだるさ、息苦しさなどの症状があった場合には、帰国者・接触者相談センターに連絡をする。その後に帰国者・接触者外来を紹介されて、そこで医師が検査の必要性を判断する。必要があると思ったら検査という流れになる。

加藤綾子キャスター:
そもそも、帰国者・接触者相談センターに繋がらない、なかなかPCR検査受けさせてもらえないというような声を聞きますよね。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
これは要するに初期の武漢あるいは中国の人からの感染というところに絞り込んでそういう基準を作っていた。それで、やっていたのでその頃はそんなに数が多くなかった。ご存じのように今は味覚が変わるとか、あるいは熱のない人とかいっぱいいるんですよ。ですから今のうち新しく分かってきたことに合わせて検査を受けられるような体制に変えなきゃいけない。

加藤綾子キャスター:
なぜ早くから簡単に検査を受けやすいような措置を取ってこなかったのでしょうかね。

風間晋解説委員:
日本は諸外国とは違うところがあります。もともと日本政府は諸外国に先んじて国民の自粛と行動抑制を要請し始めました。それによって感染のピークを低くして、遅らせる戦略。経済社会への影響も抑える。その戦略自体を変更する必要は今はまだ感じていないように思えるんです。だからPCR検査についても急いで変えなくてもいいと考えているんじゃないかと思います。

加藤綾子キャスター:
現状維持バイアスでいいのかということですよね。

風間晋解説委員:
現状維持バイアスというのはもちろんあると思うんですけれども、ワーストシナリオへの備えという意味において大丈夫なのかというというのもちょっとそうですね。

PCR検査2万件実施には人員と機材の両方が不可欠


加藤綾子キャスター:
保健所もギリギリの状況でそれでも検査を2万件に増やすという政府。これは実現できると思いますか。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
機械とか試薬を用意することは可能だと思うのですが、実際にはそれを動かす人を増やしていかないと。いくら機械があっても車があっても運転者がいないということと一緒ですので、そういう人たちの整備って言いましょうかね。人手をどんどん増やしていくということを、同時に考えないと。保健所はもう手一杯ですから。

加藤綾子キャスター:
本当はこの2カ月の間に進めなきゃいけないことでもあったわけですね。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
ですからちょっと後手に回っていますけれども、やはり少しPCRの検査の数を増やしていかないと。さっきお話があったように最初のフェーズはいいんですけど、今もフェーズが変わってきましたので考え方を変えなきゃいけません。


加藤綾子キャスター:
ドライブスルー方式のPCR検査も島根県とかで始まっていますが、それはどうでしょう。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
これは韓国のように数をいっぱいやるということではなくて、そういう方がどんどん病院の中に入ってきて、感染を広げない。それからやっぱりいろんな能率よく検査をするためには有益です。例えば防護具も足りませんよね。そういうものを効率よく使うという意味には有益ですけれども、韓国やそれ以外の国のように1日何万件もやるという形にはならないと思います。

加藤綾子キャスター:
院内感染対策にもつながってくるところもあるんです。PCR検査で早期発見して重症化を防ぐことが何より大事になってきます。1日も早い検査の拡充。それから同時に保健所の負担軽減をお願いしたいと思います。

(「Live News it!」4月14日放送)