院内感染防ぐため「発熱外来」を開設

看護師:
きょうは熱が?

患者:
37度2分ぐらい。咳と倦怠感と…

看護師:
1カ月以内に海外に行かれたりとか?

患者:
ないです

看護師:
人が集まるところは?

患者:
ないですね

看護師:
発熱外来お願いします

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訪ねたのは福岡県の郡部にある病院。この病院では3月、新たに「発熱外来」を開設した。初めに問診を行い発熱した患者とそうでない患者を振り分ける。高齢の入院患者も多い中、新型ウイルスの院内感染を防ぐのが狙いだ。

最初の聞き取りで発熱が確認された患者は、正面玄関から入るのではなく、向かって右側の救急の入口を案内される。

院内の赤く示した3カ所に仕切りを設けた。そうすることで正面玄関から入ってきた患者と救急の入口からきた患者の接触を絶ったのだ。

看護部長:
(発熱外来の)患者さん同士は、みな隔離で。一部屋に一人しか入れない。部屋が足りなければ致し方なく本人さんの車で待って頂く

これまでに発熱外来で診た患者は約120人(4月10日現在)。通常の診療も行いながらの対応で職員の体制に余裕はない。

病院職員:
このように終わった後は開放して空気の入れ替えを行っています

診察が終わる度細かな除染作業も不可欠だ。よく見ると身に着けているのは、レインコート。病院によると、防護服の在庫が底を付きそうになったため代わりに使用しているのだという。

看護部長:
現状ギリギリのところ。本来だったら患者さんの処置をする時、看護師はグローブとかマスクとか一人の患者さん使ったら交換するが、そこもままならない状況になってきている。長引くときつい。色々そういう資材が入ってくれば問題はないが、いつそれが入るのかが分からない状況なので

いまだ見えてこない「終息」の2文字。

小川洋福岡県知事:
合計で250床を確保するメドが今付いているところ

感染疑い「濃厚」の患者を看護師らが車で移送

増え続ける感染者に対し病床をいかに確保していくか。だが、問題はそれだけではなかった。発熱外来で診た人の中にはレントゲンなどの結果感染の疑いが「濃厚」となった患者もいた。

しかし、この病院ではPCR検査は実施できない。現状、その権限が与えられているのは「帰国者・接触者外来」と呼ばれる専門の医療機関だけだ。そのため、その医療機関へ速やかに患者を引き渡そうと考えたのだが、いつ容体が急変するか分からない本人や家族に車を運転させる訳にはいかなかった。

病院長:
じゃあ、救急隊にお願いしようかな、ということで救急隊に電話をしました。そしたらコロナの感染症の疑いの方は運べないことになっているので、ということだったんですよね

実は、消防の定めでは感染が疑われる患者について救急搬送の要請があった場合は、隊員への感染リスクを鑑み「直ちに保健所に対応を引き継ぐ」こととなっていたのだ。ただこの時、保健所にも余裕はなかった。最終的に院長は看護師らに車で移送させることを決断。充分とは言えない防護体制の中で1時間の道のりだった。

病院長:
こんな感染力の強い物を相手にするということを想定していなかったから。そういう感染対策をするための器具というのは充実していない。陽性だったらどうしようか。うちの職員に感染させたんじゃないか。運ばせたということを気持ちにはかなり重く負担があった

医療従事者の安全を守りながらどう医療体制を維持していくか。現場の苦悩が続いている。

(テレビ西日本)

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