KMEPは「主要な」米韓演習?

ウルチ・フリーダム・ガーディアン演習(2014年)
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6月22日、アメリカのマティス国防長官はポンペオ国務長官、ダンフォード統合参謀本部議長、ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官と協議し、シンガポールでの米朝首脳会談の結果を履行するため、シミュレーション中心のウルチ・フリーダム・ガーディアン演習だけでなく、今後3ヵ月間に予定されている2つの「KMEP訓練演習」も中止すると発表した。

KMEPは、内容、規模、期間も様々

「KMEP」演習とは、何か。訳せば「韓国における海兵隊の交換プログラム」演習ということになるだろうか。韓国海兵隊と沖縄の米海兵隊第Ⅲ海兵遠征群の恒例の共同演習・訓練である。
2015年3月から4月に実施されたKMEP15では、約4500人の韓国海兵隊員と韓国海軍軍人、約2200人の米海兵隊員と約2000人の米海軍軍人が参加した。

KMEP15

米韓合わせて、30万人規模となった2017年のフォールイーグルや2万人規模のキーリゾルブに比べれば小規模。KMEP15では、韓国の揚陸艦に、米海兵隊のMV-22Bオスプレイ輸送機が初めて着艦している。

KMEP15-8

同年6月27日から7月11日まで、実施されたKMEP15-8という演習では、水陸両用装甲車AAV-7を投入し、模擬上陸作戦を実施。韓国海兵隊員に、米海兵隊の機関銃操作を教授したり、ロープを使った岸壁のぼりをしている。

KMEP15-13

規模や期間は、柔軟に設定されるようで、KMEP15-13は、2015年9月9日から11日までの3日間だった。この時は、艦船や航空機を繰り出すような大掛かりなものではなく、スナイパーの交流が主体だったようだ。

KMEP15-12
KMEP15-12

KMEP15-12は、2015年9月に実施されたが、9月11日には米海兵隊員と韓国海兵隊員を組み合わせた4組のチームで、岩登りや縄のぼりを含めた過酷な障害物競走を実施したというもの。さらに、敵が生物・化学兵器を使った場合に備えるガスマスクを使用する訓練も9月17日に実施された。

2017年7月に行われたKMEP17-7では、プラスチックの盾やバトンを使った暴徒鎮圧訓練も行われている。

KMEP17-7

演習中止は、北朝鮮に口実を与えないため?米軍単独演習は

上記の例で分かるように、知られている限り、KMEPは、トランプ大統領が中止を考慮すると言っていた「主要な」大規模米韓演習とは言えないかもしれない。しかし、米韓の海兵隊が交流する多様な訓練・演習であり、米海兵隊の第3海兵遠征群にとっては、毎年のように新兵や一部幹部の交代がある中、韓国の地勢に部隊を慣らせるよい機会であっただろう。

それでもアメリカ側が、7月から3ヵ月の間に行われるKMEPを中止するのは、北朝鮮側に核廃棄をしないための口実を与えないためかもしれない。トランプ政権は、米朝交渉が行き詰まれば、米韓演習は再開する意向を以前から示しているが、今回の決定で米韓側は、その米朝交渉の進捗状況を見直す期間を取りあえず3ヵ月とし、その都度、北朝鮮側の対応を見直すということかもしれない。

来年春には米韓合同の野外機動演習「フォールイーグル」と指揮所演習「キーリゾルブ」が控えている。

トランプ大統領は、米韓演習の中止を考慮する理由に「コスト」をあげていたが、朝鮮半島、または、朝鮮半島周辺での米軍単独、または他の同盟国との演習は、コストが掛かるとしても、米韓演習とは言えないため、トランプ政権として、次にどのようなカードを切ってくるのか、興味深いことである。