今月4日、東京・北区のJR駒込駅近くの住宅街では、約150メートルに渡って、まるで川のような状態になってしまった。
この原因は「老朽化した水道管の破裂」で、今、こういったトラブルが全国で続発している。
水道料金が「過去最高」を連続更新
厚生労働省によると、年間で2万件を超える漏水・破損事故が発生しているという。
また、2006年以降、全国の水道料金が年々上がり続け、ここ4年は毎年のように「過去最高」を更新し、2017年の一般家庭の平均月額は3,228円(水 20立方メートル使用時の月額)に達した。

なぜ、水道料金が過去最高を連続更新しているのか。
老朽化した水道管を取り換える費用のため…
川崎市では現在、耐震化した水道管への交換を進めている。
水道料金の値上げはしないとしているが、今後5年間で交換工事には約325億円かかる見通しだという。
また、ことし、横須賀市で交換された水道管は、約46年もの間、地下に埋まっていたもので表面にはサビが多くみられる。

厚生労働省によると、現在の全国の水道管の総延長は約67万キロメートルで、そのうち、交換の目安とされる40年を超えた古い水道管は約10万キロメートル。
さらに、老朽化した水道管を新しくするには、推計で1キロメートル当たり、約1億5000万円もの費用がかかるといい、莫大な工事費用をまかなうために、水道料金を値上げせざるを得ないという。
東京などの都市部では、交換の際に地震に強い水道管を導入。
古くなった水道管は地震の揺れでつなぎ目が外れ、水が漏れだしてしまうが、地震に強い水道管は、つなぎ目が伸び縮みする仕組みになっているため、地震で大きく揺れても、つなぎ目が抜けないという。
だが、耐震化は全国で38%に留まり、すべての水道管を交換するには130年以上かかると見られている。

そして先月、震度6弱の地震に襲われた大阪府では、府内各所で水道管が破裂し、約10万戸が一時断水を余儀なくされた。
実は、大阪府の水道管の3割は耐用年数を超えており、老朽化率は全国ワースト1。
大阪府の一般家庭の水道料金をみると、月額で全国の平均より約400円ほど安い2,813円(水20立方キロメートル使用時の月額)。
比較的、水道代が安い反面、工事費用が不足し、水道管の交換が思うように進められないという。
「人口の減少」も影響…
さらに、全国で水道料金の値上げがされている理由はもう一つある。
神奈川県・大井町は、2018年4月から19年ぶりに水道料金を約2割引き上げた。
町の一般家庭で、月額573円(水50立方メートル使用時)の値上げとなる計算だが、その理由は日本全体で進行する現象にあった。

大井町生活環境課の香川倫幸さんは「人口減少に転じて、給水量や料金収入もどんどん減ってきたということが、一つ大きな要因」と話した。
水道施設の運営コストなどはほぼ一定だが、利用者の人口が減り続けることで、世帯当たりの負担が増加するという構図があるという。


大井町では今回の値上げで料金収入が月300万~400万円ほど増加したが、香川さんは「正直、これでも足りてないです」と訴えた。
費用が足りないという自治体は多く、全国の約3割の自治体で、水道料金が原価割れを起こしているという。
私たちの生活に欠かすことができない「水道」。
この値上げの必要性について水ジャーナリスト・橋本淳司さんは「水道料金を上げずに修理を先送りにした場合、ある日突然いっぺんに工事ということになると、水道料金もそれに伴って一気に上がるので、その時の将来世代に大きなツケを残すことになります。少しずつ、値上げをしていく必要があるということです」と話した。
(「めざましテレビ」7月13日放送分より)