大きな被害をもたらした「会津地震」

1611年に起きた「会津地震」。
この地震を引き起こしたとされるのが、「会津盆地西縁断層帯」。
福島・会津美里町から喜多方市に南北に延びる長さ約34kmの断層帯が、地震で動いたと考えられている。

阪神淡路大震災と同規模のマグニチュード7前後の大きな地震で、死者は3,700人にのぼると伝えられている。
地震は福島・会津地方に大きな被害をもたらしたが…現代にもつながる「文化」を作った側面もある。

その1つが「赤べこ」。
ゆらゆら揺れる首が愛らしい郷土玩具で、福島・会津地方の民芸品。

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その赤べこが現代へ伝えるメッセージとは…。
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家、「防災マイスター」の松尾一郎さんが地震との関係に迫った。

「会津地震」と「赤べこ」の関係とは…

会津若松市の郷土史研究家・石田明夫さんに案内してもらい、松尾さんが向かったのは柳津町の只見川。

郷土史研究家・石田明夫さん:
そこの御堂のところにあった岩が崩れて、こちらの川の中に落ちた

防災マイスター・松尾一郎さん:
頭を出している3つがそうですか?

郷土史研究家・石田明夫さん:
今のところは3つなんですが、もっとある

柳津町の福満虚空藏菩薩圓藏寺近くの只見川には、1611年の地震の爪痕が残されている。

郷土史研究家・石田明夫さん:
古い写真を見ていただくと、直立しています。その向こう側に平らなこの石。水没している

毎年1月7日に圓藏寺で行われる「七日堂裸まいり」。
下帯姿の男たちが石段を駆け上がり、堂内の麻縄をよじ登る伝統行事。
会津地震では、崖が崩れるなどの甚大な被害を受け、存続の危機に直面した。

その時に、圓藏寺の再建に力を尽くしたと伝えられているのが…

郷土史研究家・石田明夫さん:
只見川から材木を上に上げるのを手伝ってくれたのが、この赤牛。赤牛のことを『赤べこ』と、方言で言うんですね

福島を代表する民芸品「赤べこ」のルーツが柳津にあるといわれるゆえん。

「赤べこ」の黒いマークは“ウイルス除け”

さらに、「赤べこ」に描かれた黒いマークは、かつて会津で大流行した「天然痘」とのつながりがあった。

郷土史研究家・石田明夫さん:
たまたま、この赤べこを持っていた人が、子どもが自分に(天然痘が)にかからないように、赤べこに、こういうマークを入れたらかからなかった。だからウイルス除けに御利益がある

そこには新型コロナウイルスの感染拡大が続く現代にも通じるようなエピソードが秘められていた。

防災マイスター・松尾一郎さん:
災害を地域の方が知るというのが、とても重要。福島に何があったのだろうと。会津地震に加えて文化、例えば赤べこを含めて、歴史・文化がどう関わってくるのか。(赤べこは)子どもたちも含めて、災害を知る入り口になると私は思っている

郷土史研究家・石田明夫さん:
(会津地震を)忘れないようにしていただきたいと、その時にこれ(赤べこ)は単なる土産物ではない。地震とも関係があることを知ってもらえればよいですね

(福島テレビ)

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