産後うつ、乳児虐待、夫婦不和は「産後が起点」

この記事の画像(6枚)

全国に60ヵ所、年間1万人のお母さんがレッスンを受けている産後ケア教室がある。

運営しているのは、出産した女性の心と体のサポート運動を展開する認定NPO法人「マドレボニータ」。代表理事の吉岡マコさん(45)が20年前、出産して半年後に産後ケア教室を開いたのが始まりだ。

「出産してみて、もう心身ともにギリギリな状態だった」と当時の自分自身を振り返る吉岡さん。その体験から、産後うつや乳児虐待、夫婦不和などの社会問題はすべて産後が起点となっていて、「産後ケアが社会復帰の重要なカギ」という思いに至ったという。

確かに、国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(夫婦調査)」(平成22年)によると、出産前に就業していた女性の約6割が出産後に離職している。また、厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」(平成23年)によると、結婚前に仕事をしていた女性(農林漁業を除く)の36.0%が、第1子の出産を機に離職。第1子の出産後に就業を継続していた女性でも、第2子、第3子の出産をすると、離職の割合は高くなっていく。

政府は「人口減少と少子高齢化の下にある我が国が、国、地域、企業、世帯等あらゆるレベルで再び力強い成長の歩みを取り戻すためには、女性の活躍こそ原動力であり、成長戦略の中核となる」としているが、その実態とはかけ離れた状態であることは明らかだ。

マドレボニータも「すべての母が自らの力を発揮できる社会へ」という理念を掲げ、産前産後の女性の心と体のためのエクササイズやセルフケアの教室を中心として活動を行なっている。

「ママではなく、ひとりの女性に戻る時間」

産後ケア教室は、産後2ヶ月以降で外出が可能になった女性が対象で、生後210日までの赤ちゃんと一緒でも1人でも参加可能。1週間に1度、1ヵ月で完結するプログラムとなっている。

1度のレッスンは120分で、まずはみっちり1時間、体力と筋力を取り戻す運動からスタートする。赤ちゃんの世話で疲れているママたちだが、体を動かせば不思議とみんな笑顔になるという。

教室で重視されているのが、「ママではなく、ひとりの女性に戻る時間」。

産後の生活で失われがちな“大人のコミュニケーション”を取り戻すためのワークショップで、自分のこれからの人生や仕事などについて、一人が思いを語り、もう一人がそれを図にしてまとめる。

人生、仕事、パートナーシップをテーマとして日々の気になっていることや悩んでいることを分かち合い、ママトークではなく、ひとりの女性として、自分のことを話せる時間を持つことが母となった女性が自分の力を発揮しながら心も体も元気になっていくために大切だという。

吉岡さんは活動を通してやりたい目標について、こんな風に語った。
 
「男女関係なく、ひとりひとりが自分らしく自分の力を発揮して生きていけるということが、目指すところなのかな」

マドレボニータでは、産後の活動だけでなく、妊娠の段階から女性をケアするため、「夫婦で使えるスマホアプリ」を開発した。

出産準備や母になる女性の心や身体の変化についての知識を家族の間で共有できるほか、日々刻々と変化する妊産婦の体調と気分をホーム画面でいつでも確認できる。出産・育児を母親任せにせず、周囲の理解と協調を促すのを目的だという。

誰もが自分らしく生きる社会のために、吉岡さんはきょうも走り続ける。

SDGs

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」。2030年を年限とした17の国際目標がある。その中には、「3.全ての人に健康と福祉を」「5.ジェンダー平等を実現しよう」という目標が掲げられている。

SDGsをテーマとした日本初のレギュラー番組「フューチャーランナーズ~17の未来~ 」は毎週日曜17:25~17:30にフジテレビで放送中。それぞれのゴールとその先の未来に向かって、情熱を持って走り続けている人を取り上げている。

吉岡さんの取り組みなど、過去のオンエア動画はこちら
http://www.fujitv.co.jp/futurerunners/archive.html