「選挙は民主主義の根幹」と首相 「緊急事態宣言」下でも選挙は執行

新型コロナウイルスの感染が首都圏を中心に急増していることを受けて、安倍首相は7日、国内で史上初となる「緊急事態宣言」を7都府県(東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡)を対象に発令した。期間は5月6日までの約1ヶ月間だ。

首相は、国民に向けた記者会見で「全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と訴えた。この「緊急事態宣言」によって、各自治体は、不要不急の外出や特定の店舗の営業自粛などを法に基づいて要請することが可能となる。“感染拡大防止の重大局面”として経済活動は抑制されることになる見通しだ。

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そうした中、新型コロナウイルスの感染拡大後、初の国政選挙となる「衆院静岡4区補欠選挙」が4月14日に告示され、26日に投開票を迎える。

静岡県は今回の「緊急事態宣言」の対象外だが、緊急事態宣言下での選挙については様々な意見があり、7日の参院議院運営委員会で日本維新の会の東徹総務会長は「緊急事態宣言の対象地域での選挙の延期をしていくべきだ」と訴えた。

これに対し安倍首相は、「選挙は住民の代表を決める民主主義の根幹」だと強調し、「不要不急の外出には当たらない」と述べて緊急事態宣言時でも選挙は執行可能との認識を示した。また、首相は「新型コロナウイルス感染症の動向に注意しつつ各地で執行される選挙が滞りなく執行できるように努めたい」と答弁した。

新型コロナ感染拡大後初の国政選挙「静岡4区補選」は与野党共に手探りの選挙戦

では、予定通り実施される「衆院静岡4区補欠選挙」は、ウイルスの感染拡大が続き、隣県には緊急事態が宣言される中でどんな選挙戦になるのか。与野党は、ともに試行錯誤の選挙戦となることが予想される。

この補選は、2019年12月に自民党の現職だった望月義夫元環境相が亡くなったことを受けて行われるもので、自民党は後継に地元県議の深沢陽一氏を擁立。一方、野党側は統一候補として無所属新人の元都議・田中健氏を擁立した。またNHKから国民を守る党は、野党統一候補と同姓同名の田中健氏を擁立する方針を示している。

自民党の下村選対委員長は4日に静岡での選挙対策会議に出席。その後、取材に応じ今回の選挙戦略について「期日前投票の呼びかけ」と「SNS対策・電話作戦」等を徹底することを明らかにした。ただ、下村氏は「(候補者自身が)有権者に直接触れたり、握手したり、演説で訴えると言うことができないのでどれくらい評価されるか肌感覚や皮膚感覚はつかみにくい。まさに暗中模索の選挙だ」として、危機感をにじませた。

実際自民党は、衆院議員を8期務めた望月氏の「弔い選挙」として望月氏の地元・静岡市清水区内の学校で集会を行うなどの戦略を立てていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、集会を中止せざるを得なくなった。

一方の野党側では、立憲民主党の枝野代表が3日の記者会見で、この補選について「(応援に)行きたい思いは大変強く持っている」としながらも「直接現地に入るというのは、今のコロナの状況からするとなかなか難しいのではないか」と述べ、現地での自身の応援演説は難しいとの認識を示した。

また、国民民主党の玉木代表も8日の会見で「街宣車でも(有権者に)接触せずに音だけで活動するとか十分な工夫をしたいし、野党党首横並びのようなことはやめたい」と述べ、ウイルスの感染拡大を招きかねない、野党幹部が前面に立ったような応援活動は控える方針だ。

今回の補選は、政府与党の新型コロナウイルスへの対応の評価にも直結することから、与野党ともに関心が高い。一方で、感染拡大を防止する観点から「密閉」「密集」「密接」のいわゆる「3密」を避けるため、集会の実施や、有権者との握手など通常の選挙活動が難しい。どの陣営も、議席確保に向けて、対立候補だけでなく、新型コロナウイルスという見えない敵とも戦いながら、手探りの選挙戦を展開することになる。

(フジテレビ政治部・門脇功樹)