太平洋を北上した台風12号は、通常とは真逆の東から列島に近づいた。

台風の接近に伴って、7月28日の夕方には静岡県・熱海市で波が高くなり、午後7時15分ごろには、高波に襲われた道路が川のようになっていた。

「想定外」の出来事に現場はパニック

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また、海沿いのホテルでは午後7時30分ごろに、窓の外に高波が押し寄せた。

異変を感じたスタッフは、窓際の客を内側の席に誘導させたが、その直後に高さ6メートル、幅20メートルの窓ガラスが粉々となった。

現場はパニック状態となり、水浸しのフロアから人々は逃げ出そうとしていた。

足元には、食器などが散らばっていたため、子どもを含む宿泊客4人と従業員1人が足を切るなどのけがを負った。

ホテルニューアカオの統括支配人は「ほぼほぼ例のないことだったので、想定外だった」と話した。

翌日29日の穏やかな海面を見ると、いかに高い波がホテルを襲ってきたかが分かる。

また、同じ熱海市の別のホテルでは、駐車場が冠水。

宿泊客の車が塀に乗り上げるほどの高波がきた。海の近くにあった小屋は1メートル以上ある塀を乗り越えた先まで流されたという。

復旧は困難…海の家も被害

この海岸線を北上した先にあるのが、神奈川県・湯河原町。

海水浴場もある海の家も高波に襲われて、見るも無残な姿となり、鉄筋に張り付けられたメニューだけが残されていた。

湯河原の海岸では14軒の海の家が被害に遭い、復旧が困難な状況に。

さらに、湯河原の北に位置する小田原では、救急車が大破し、海岸線の道路が高波にのまれ、パトカーを含む15台が立ち往生。

乗っていた少なくとも21人は高台に避難して無事だった。

高波被害拡大の背景に4つの理由

なぜ、この一帯の海岸線に高波の被害が集中したのか。

海岸工学に詳しい早稲田大学の柴山知也教授は「相模湾で風が東から西に吹きわたり、今までと違ったコースで日本列島に近づいてきた」と分析した。

柴山教授は被害拡大の背景には4つの理由があると指摘。

1つ目は、午後6時ごろに満潮で潮位が高く、2つ目は台風の低気圧により海面が上昇していたこと。

3つ目は、台風が沖合いで作った波の到達時間が台風本体の接近時間と重なってしまい、4つ目は、相模湾の地形で、波や風が集中しやすい構造だったからだという。

柴山教授は「今回は、たまたま4つの条件がこの場所で重なってしまった」と話す。

台風12号は、九州地方で停滞する見込みで、しばらくは大雨や強風、高波に注意が必要だという。

(「めざましテレビ」7月30日放送分より)