まだオーバーシュートはしていない

会見で緊急事態を宣言した根拠を説明する安倍首相(4月7日)

安倍首相が緊急事態宣言を発令した。昨日の時点で近所のレストランやお店が何軒も閉まっていて、「一か月間休業」の張り紙がしてあったので、これから街はひっそりするだろう。

確かに東京の感染は拡大しているもののまだ爆発すなわち「オーバーシュート」していない段階で安倍さんはなぜ宣言を出したのか。

首相は昨夜の会見で「まだ急速な蔓延には至っていないとしても、医療体制がひっ迫している地域が生じているので時間の猶予はない」と、宣言を出した理由を説明した。まずこれが一つ。

記者会見では記者たちもソーシャル・ディスタンスを取って臨んだ

医療崩壊を防ぎ不心得者を脅す

特措法が定める数少ない強制措置として「病院開設のための土地収用」というのがあり、今後知事の判断で五輪施設やホテルなどを強制的に軽症者の滞在施設に使えることになる。今、特に都内の病院の感染症用のベッドのほとんどが、感染したが症状の出ない人達でうまっているので、この問題が解消できれば医療崩壊は止められるのではないか。

もう一つはやはり言うことを聞かずに、今まで通り外出して遊んで、お酒を飲んで騒いでいる人があまりにも多いということだろう。慶応大学病院で集団で会食していた研修医18人が感染したとか、京大でも研修医57人が飲酒会食して自宅待機になっているというニュースを聞くと、ぞっとする。宣言はこうした不心得者に対する「おどし」の意味がある。

慶応病院の研修医18人が感染

本音を言えばいらないと思うが

緊急事態宣言への批判は大きく3つある。

立憲民主の枝野代表らが言う「遅きに失した」と、海外メディアが言う「強制が弱すぎる」については、オーバーシュートに至っていない段階で医療崩壊を防ぎ、かつ不心得者へのおどしなので、このタイミング、これくらいの強制力でちょうどいいのではないか。

もう一つ、これは少ないが、「宣言は出すべきではない」という論だ。経済だけでなく社会の活動がストップしてしまうのは困るので、日本の医療体制と「自粛文化」で十分乗り切れる、というもので、僕も実は本音はこれなのだが、医療崩壊と不心得者のことを考えると、一か月位はしょうがないのかな、とも思う。

安倍首相は「人との接触を8割減らせば、2週間後にはピークアウトする」と言っているので、今回の措置でコロナ終息への筋道は見えてきた。

昨日同時に決定された緊急経済対策で、仕事が減って困っている人たちへの金銭的な支援は示された。次は、終息が見えて来た時点で、今度は「困ってない人たち」に社会復帰、消費回復へのインセンティブを与えるためのバラマキも必要だと思う。

緊急事態宣言に対しても、経済対策に対しても、与野党、メディア、専門家らがグチグチと文句を言っているが、もう結構!みんなしばらくはおとなしく家にいなさい!

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】