日本を代表する有名画家などのニセ版画が大量に流通していた事件で、著作権法違反の罪に問われている、大阪府の元画商・加藤雄三被告(53)の初公判が、12日午後、東京地裁で開かれた。加藤被告は、罪状認否で「間違いありません」と起訴内容を認めた。

著作権法違反の罪に問われている加藤雄三被告(53)(2021年9月 大阪府)
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起訴状などによると、加藤被告は、2017年から2018年にかけて、著作権者である遺族の許諾なく、画家の東山魁夷の「白馬の森」など5作品の版画7点を複製したとされる。また、2018年と2020年に、東京・銀座で開かれたオークションで、東山魁夷の「草青む」と「風吹く浜」のニセ版画を出品し、それぞれ33万円と40万円で販売したとされる。

ニセ版画は、加藤被告の依頼で、奈良県の工房経営者・北畑雅史被告(67)が作成していた。一般に流通している作品をスキャンして、画像編集ソフトを使用。さらに、学術書の詳細な情報を参考にして、実際に使われる版画作成法を用いて、ニセ版画を作っていたされる。

押収されたニセ版画(2021年9月 築地署)

業界団体の調査などで、有名画家のニセ版画が大量に流通していることが判明し、警視庁が捜査に着手。家宅捜索では、平山郁夫やピカソなどの作品のニセ版画およそ80点が押収されていた。

また関係先の家宅捜索では、現金2億5000万円が見つかっていて、その際、加藤被告は「一部はニセ版画の売り上げだ」などと説明していたという。加藤被告は、北畑被告とともに、長年、ニセ版画を作成し、販売していたとみられている。

加藤被告の依頼でニセ版画を作成していた北畑雅史被告(67)(2021年2月 奈良県)

初公判で起訴内容を認めた加藤被告だが、被告人質問では、ニセ版画を作成した動機について「なぜやったのか分からない」などの説明を繰り返した。一方で、「お金中心の物事、価値観での判断がいけなかった」などと述べた。

また最終意見陳述では「著作権者、美術界の方々、作品を購入された方、私の家族にも多大な迷惑をかけてしまった。このようなことになると想像できなかったのは、不徳の致すところです」と反省の弁を述べた。

検察側は「前代未聞の商業的、常習的犯行」などと指摘し、懲役3年・罰金200万円を求刑。弁護側は、執行猶予付きの判決を求めた。裁判は12日で結審し、判決は3月9日に言い渡される。

加藤被告に対して、検察側は懲役3年などを求刑した。判決は3月9日に言い渡される。