プロ野球は史上最大の危機に当時の選手会会長の古田敦也は…

今から16年前の2004年。日本のプロ野球は史上最大ともいえる危機にあった。
近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの合併を皮切りに、当時の西武ライオンズのオーナーが「西武、ロッテ、日本ハム、ダイエーの4球団間で新たな合併を模索している」と衝撃発言。また、一部のオーナーが、球団数削減による1リーグ制への移行を目指していることが明らかとなった。

それに反対した選手会は「2リーグ12球団制の維持」を主張。両者の溝は埋まらぬまま、一連の球界再編問題は社会現象にまで発展した。そして、選手会側は、プロ野球史上初となるストライキを決行。各地の球場では選手会が、さまざまなイベントを実施し、福岡ドームではホークス選手のサイン会に2万人を超えるファンがつめかけ、周辺は2キロもの行列がつくられた。

その結果、選手会とファンの結束により球団数削減は回避され、同じ年の11月「東北楽天ゴールデンイーグルス」が誕生。2リーグ12球団制は守られた。

2004年、選手会会長を務めていた古田敦也さんがその当時を振り返る。

古田敦也氏
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古田敦氏:
当時は「次の年から10球団、その先の1リーグを目指し球団数を削減する」ということだった。経営者サイドからするとプロ野球は一定数のファン、マーケットを12球団で割っているから1球団の利益が少ない。分母を12から8にすると1球団ずつが赤字経営しなくて済むので健全なかたちになると言われた。しかし球団数はコンテンツなので、球団数を減らすことによってファンも減る。客が減れば、当然マーケットも小さくなる。そうすると結局、同じことが起きる。野球界が、これから衰退するという印象を持たれることは避けなければならない。いまは逆に間口が広がっている。いいアイデアがあって、ヤル気のある人たちが真剣に関わるのであれば球団数拡張はあり得ると思う

MLBでは1998年にエクスパンションがあり、当時の「タンパベイ・デビルレイズ(現在のレイズ)」、そして「アリゾナ・ダイヤモンドバックス」が誕生し、現在の30球団となっている。

市場規模としては、1995年はMLB、NPBともに約1400億円だったが、2019年にはNPBが約2000億円であるのに対し、MLBは約1兆円に成長している。これはネット配信を含めた放映権料の高騰が最大の要因とされているが、日本にもその現象が起こることが予測される。MLBでは各球団ではなくMLBがお金を一括管轄し、各球団に分配する方式。各球団が自球団だけの利益を求めるのではなく、野球界全体の利益を考えて行動されている。

日本の野球協約第6章で定められている事項を整理すると、参入する球団は下記の要件を具備した法人であることが求められる。

1)日本の法律に基づいて設立された資本金1億円以上の株式会社(第27条)
2)外国人の持ち株比率が49%を超えないこと(第28条2)
3)公式戦を開催するための専用球場を保有すること(第30条)

参入が承認された球団は、承認の翌日から30日以内に下記の金員を納める必要がある。

1)預かり保証金:25億円(第36条の5・第36条の6)
2)野球振興協力金:4億円(第36の7)
3)加入手数料:1億円(第36条の8)

プロ野球に新規参入するには、NPB最高議決機関である「オーナー会議」で4分の3の承認を得る必要がある。12分の9球団だから簡単ではない。

古田敦氏:
取り敢えず2球団。2球団増やすことは、2年後にはチャンスがあると思う。仮に増えなくても、増やすんだというアピールを発信することが必要。12球団が飽和状態であるとは思わない。四国に1チームあってもいいし、北陸や静岡にもあっていい。球団を作ろうとしたら親会社が必要になる。自治体の協力、支援も必要。そして何より選手と球場が必要。すべて揃えるとなると莫大なお金がかかる

古田敦氏:
しかし(例えば)沖縄には、既にセルラースタジアムというプロ野球対応可能な球場がある。沖縄のプロ野球チーム「琉球ブルーオーシャンズ」(2019年7月発足 ※琉球ブルーオーシャンズは独立リーグなどには参加していない)では選手も育てている。そのほか日本国内には独立リーグもたくさんあるので選手も確保できる。親会社と地元の機運さえ高まれば球団拡張は十分あり得る。4球団を一度に、というのは難しい作業なので、まずは2球団

琉球ブルーオーシャンズ

球団増加は実現するのか…

実は、候補地として上がっている静岡市、新潟市、松山市、沖縄県の4つの自治体は2015年から16球団構想の協議を行い、球界参入の実現に向け、準備中で4月3日にも会議を開いている。古田氏はその主要なメンバーなのだ。

日本初のプロ野球チームが誕生し、今年でちょうど100年、2リーグ制となって、70年が経過した。

少子化による野球人口の減少。足並みを揃えようとしない大人たち。そして、いま新たに始まった見えない敵「ウイルス」との闘い。

果たして、プロ野球の行方は…

王貞治福岡ソフトバンクホークス会長:
子供たちに夢を与えるためには環境整備が大事。日本の場合は、野球場も施設も足りないし、(だけど野球を)やりたい子どもはたくさんいる。その子供たちに声をかけるのは大人。みんな試合をしたいんですよ。レベルはどうであれ。試合だと言えば、みんな来る。野球界はいろいろな組織があるけど、子供たちのためにというテーマで話をまとめれば、かなりいい案も出てくると思う。野球というのはこんなに楽しいんだというアピールもしたい。老骨に鞭を打って何とか頑張ります

王貞治氏

王会長は笑顔で語った。しかしその笑顔の裏には、100年もの間、子供たちに夢を与え続けた野球を、そして球界の未来を、決して閉ざしてはならないという強い思いがあるのを感じた。

(テレビ西日本)