“知事の呼びかけ”は住民の行動に大きな影響を与える

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、安倍首相が7日夜に、東京、大阪など、7都府県を対象に「緊急事態宣言」を出す方針だ。

こうした中、「緊急事態宣言」の影響を考えるヒントとなる、調査結果が明らかになった。それは、「新型コロナウイルスの感染対策で、“知事の呼びかけ”が住民の行動に大きな影響を与える」というものだ。

調査を行ったのは、東京大学医科学研究所の武藤香織教授らのグループ。調査はインターネットで3月26日~28日に実施し、20~64歳の男女1万692人が回答した。

安倍首相が7日に「緊急事態宣言」を出す見通し

多くの感染者が出ている北海道、大阪、東京の住民に対し、「あなたが新型コロナウイルス感染症への対策を実行するのに、最も大きな影響を与えた出来事はなんですか?」という質問をしたところ、どの地域においても“知事の呼びかけ”と回答した人が最多だったのだ。

具体的には、北海道では「北海道知事が緊急事態宣言を出したから」が48.5%、大阪府では「大阪府と兵庫県で週末の往来自粛要請が出たから」が35.6%、東京都では「東京都知事が首都封鎖の可能性を示唆したから」が34.8%という結果。

なお、日本全体でみると“横浜に寄港中のクルーズ船乗客に感染者がいたから”が23.2%で最多だった。

そして感染対策として実施している内容への質問に対し、「大規模イベントに行かない」「こまめな手洗い」「3つの密の回避」については80%以上が実施していると回答した。
 

北海道と東京では、住民が行動を変えるタイミングに1カ月の差

それぞれの“呼びかけ”が出た時期を見てみると、北海道の鈴木知事が緊急事態宣言を出したのは“2月下旬”、大阪府と兵庫県で週末の往来自粛要請が出たのは“3月中旬”、小池都知事が首都封鎖の可能性を示唆したのは“3月下旬”
 

鈴木北海道知事

北海道と東京では、知事が呼びかけるタイミングが1カ月も異なっていたが、呼びかけについてはいずれも効果があったという調査結果だとすると、今回の「緊急事態宣言」が発令されると、国民にどのような影響を与えるのか?

調査を行った、東京大学医科学研究所の武藤香織教授に話を聞いた。

理由は「自分に身近な問題として捉えられるから」

――今回の調査結果から、どのようなことを感じる?

北海道は、知事が独自に法に基づかない呼びかけをできたことが、極めて効果的だったと思います。どこよりも早く対策を始めて、効果をあげたのは北海道の住民です。

東京都はオリンピックの延期決定が遅れたこと、知事が独自に法に基づかない呼びかけをするまでに遅れてしまい、北海道の住民と比べて東京都の住民は、1カ月も行動を変える意識の醸成が遅れてしまいました。
 

――「“知事の呼びかけ”が住民の行動に大きな影響を与える」。この理由として考えられることは?

地理的に、自分に身近な問題として捉えられるからだと推測します。

今回の調査を詳しく見てみると、「北海道の緊急事態宣言」は大阪と東京の住民にとっては他人事でしたが、大阪知事の呼びかけは大阪の住民に、東京都知事の呼びかけは東京の住民に、影響力を持っていることがうかがえます。
 

吉村府知事

「緊急事態宣言」では誤った行動の変化に懸念

――政府が出す「緊急事態宣言」についてはどう感じている? 

多くの人々が「出すのが遅い」と政府を責めていますが、「緊急事態宣言」は大きな賭けでもあります。私は、非常に誤ったかたちで、行動が変わることを危惧しています。

それは、東京から地方への脱出によるウイルス拡散と、それによって、地方でオーバーシュート(感染者の爆発的増加)が起きることです。地方は、東京ほど医療資源が充実していませんので、オーバーシュートが懸念されます。

 

住民の感染対策の実行へとつながった、北海道、大阪府、東京都の知事の“呼びかけ”。「緊急事態宣言」が出されると、都道府県知事は期間と区域を定めた「不要不急の外出の自粛」や「遊技場や遊興施設等の使用制限」などの要請ができる。

ただ、「緊急事態宣言」が出されても、欧米のような強制的に罰則を伴う都市の閉鎖は生じない。誤った情報に惑わされず、皆が自分ごととして適切な行動をとり、感染対策の実行につとめてほしい。
 

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