児童5人死傷事故が起きた千葉県 飲酒運転取り締まりを強化

「今年は何と言っても飲酒運転の年。取り締まりを本当に強化した」千葉県警交通部の幹部は2021年を振り返り語気を強めた。6月には、千葉県八街市で、飲酒運転のトラックが児童の列に突っ込み、5人の尊い命が失われた。

千葉県はもともと飲酒運転による死亡事故が多く、毎年ワースト上位を争っているような状態だった。「交通部の大きな目標は“交通死亡事故抑止”。これまでも飲酒運転取り締まりには力を入れてきたが、それでも痛ましい事故が起きてしまった。それならもっともっとやるしかないと取り締まりを一層強化した」

事故が起きた現場(6月28日 千葉・八街市)
事故が起きた現場(6月28日 千葉・八街市)
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飲酒運転が起きやすい時間・場所を分析し摘発へ

千葉県警は10月から「飲酒運転取り締まり強化プロジェクトチーム(飲酒PT)」を立ち上げた。これまでの飲酒運転の取り締まりは各警察署や高速隊だけで行っていた。そこに加わったのが本部交通部所属の警察官からなる取り締まり専門チーム。

過去の飲酒事故の発生状況を分析し、飲酒運転が予想される時間や場所を選定した上で、とにかく飲酒運転を1件でも多く摘発するのが任務だ。「県警一体となって飲酒運転を根絶させるという気持ち」と通常は取り締まりに従事しない本部のデスク員まで導入。1日に少なくとも覆面パトカー4台、捜査員8人以上で1ヶ月に警察官を30人以上投入した。

千葉県警は「飲酒運転取り締まり強化プロジェクトチーム」を立ち上げたが・・・(画像は飲酒検問の様子)
千葉県警は「飲酒運転取り締まり強化プロジェクトチーム」を立ち上げたが・・・(画像は飲酒検問の様子)

飲酒運転の検挙数は1003件にのぼるが・・・

飲酒PTでは取り締まりを開始した10月には65件、11月で57件を摘発し、県警全体の摘発数のおよそ4割を占めた。各署でも取り締まりパトロールや飲酒検問を強化し、2021年11末までの全体の検挙数は1003件(前年は945件)にのぼった。

検挙数は警察の取り締まり強化もあり、ここ5年では年々増加しているという。ただ、検挙が多くなされることは結構なことで頼もしい限りだが、問題は八街トラック事故のような悲惨な事故があったにもかかわらず、未だに飲酒運転がはびこっているということだ。

千葉県警による飲酒運転の検挙数は1003件にのぼった
千葉県警による飲酒運転の検挙数は1003件にのぼった

「ハイボール4~5杯、瓶ビール2~3本」

10月中旬、千葉県警茂原警察署の飲酒パトロールの取材をしていると、午後3時ごろラーメン店から出てきて車を運転していた50代の男が検挙された。

警察官:どのくらい飲みましたか
運転手の男:ビール瓶1本です

10月中旬、飲酒運転で検挙された男はトラック運転手だった
10月中旬、飲酒運転で検挙された男はトラック運転手だった

しかし、男の呼気からは基準値の0.15mgを大幅に超える0.4mgの数値が検出された。
警察官:ビール瓶1本じゃないでしょう。正直に話して下さい。
運転手の男:きのう飲みまくっていたかもですね。夜中までビールちょっと飲んでハイボール4~5杯とか。
警察官:ビールは?今日合わせて
運転手の男:(瓶)2.3本飲んでいますね。
警察官:職業は?
運転手の男:運輸会社で働いているんですよね。
警察官:トラックの運転手?
運転手の男:そうです。

まさかの職業運転手。その日は休みだったというが、夜中まで酒を飲み、二日酔いの状態で車を運転し、昼食のラーメン店でもビールを飲んだというのだ。男は酒気帯び運転で点数25点の免許取り消しとなった。

検挙された男は、ラーメン店でビールを飲んだ後、何食わぬ顔をしてハンドルを握っていた
検挙された男は、ラーメン店でビールを飲んだ後、何食わぬ顔をしてハンドルを握っていた

運転手の男:免許がなくなったら終わりなんだよ。会社25年ぐらいいたのに。

八街の事故を起こしたのも職業運転手だ。その事故を知っていたはずなのに・・・25年以上続けているベテランドライバーなのに・・・。悲惨な事故を起こしてからでは遅い。

飲酒運転の”現場” コンビニ駐車場でも

コロナの影響で飲酒運転の状況も変化しているという。以前は飲酒先のほとんどは「居酒屋」で時間帯も夜から深夜の時間帯が多かった。しかし、最近の摘発の4割強が20時以前に摘発されていて、飲酒先も「ラーメン店」「焼き肉店」と行った飲食店から「自宅」「コンビニの駐車場」など幅広くなったという。

別の交通部幹部も「飲酒運転は絶対にだめだという県民の意識がまだまだ低く浸透していない。その意識を変えていかないと、警察がどれだけ取り締まりや啓発活動をしても変わらない」と話す。八街市の悲惨な事故をいつまでも心に留め、運転免許を持つ者全員が改めて「飲酒運転は絶対にだめ」という気持ちで2022年をスタートしたい。

八街事故で逮捕・起訴された梅沢洋被告(61)も、勤務中に、高速道路SAの駐車場で酒を飲んでいた。
八街事故で逮捕・起訴された梅沢洋被告(61)も、勤務中に、高速道路SAの駐車場で酒を飲んでいた。

(フジテレビ社会部・千葉県警担当 風巻隼郎)