衆院選後の野党の変化 国民に届くか

臨時国会が閉会し、与野党は夏に予定される「参院選モード」に移行しつつある。それに先立つ1月召集の通常国会では、与野党の攻防が有権者の投票行動に影響を与えることもあり、とりわけ“焦り”も見え隠れする野党各党にとっては通常国会でいかに存在感を示せるかがカギとなる。

衆院選から約2カ月、党の立て直しや党勢拡大を狙う野党はどんな戦略で2022年に臨むのか、野党第1党の立憲民主党、衆院選で躍進した日本維新の会、そして立憲、維新の動きを伺う国民民主党の3党の動きを探っていきたい。

新しいポスターを発表する立憲民主党・泉代表(24日)
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「政策立案型」掲げるも・・・ 党勢を回復めざす立憲民主党

立憲民主党の泉健太代表は24日、参院選に向けた新ポスターを発表した。逢坂誠二代表代行、西村智奈美幹事長、小川淳也政調会長と4人で並ぶデザインで、キャッチコピーは「さあ、力を合わせて。」。目標議席を問われた泉氏は、「現職の必勝、そして可能な限りの上積みだ」と述べるにとどめた。

一方、1人区では、野党候補の一本化を目指し、複数区では、国民民主党と候補者調整もあり得る、との考えを示した。また、共産党との連携については、「前回の総選挙に向けて交わしたもので、現時点で何かが存在しているということではない」とのスタンスを示している。関係者は「ポスターのキャッチコピーは、党内だけでなく国民民主への秋波ではないか」と眉をひそめた。

立憲民主党・小川政調会長、西村幹事長、泉代表、逢坂代表代行(左から 12月2日)

「批判ばかりの野党-」そんなイメージの払拭を訴え、代表選を制した泉氏は、臨時国会を振り返り、「国会の質疑では、我々の考える政策の発信、提案が非常に重要だ」と強調。「政策立案型」を掲げて臨んだ臨時国会では、10万円給付をめぐる高額な事務費を追及し、現金一括給付も認める方針転換させたことが成果としてあげられるが、前の国会まで立憲が主導し、共産、国民、社民と同一歩調をとっていた「野党国対」の枠組みも崩壊し、立憲がリードした国会とは言いがたかった。

独断専行的な党運営と言われた枝野前代表と正反対に、泉執行部は逢坂代行、西村幹事長、小川政調会長との合議制だ。現場を預かる幹部からは「就任直後から言っているが、大方針を早く決めてもらいたい」との声も上がっている。

支持団体の連合が、衆院選で立憲が議席を減らした要因は「共産党との共闘にあった」と結論づけた衆院選総括の一方、立憲の総括はいまだ道半ばで、参院選に向け野党第1党としての戦術と戦略を早期に示す覚悟が問われることになる。

全国政党へ”台風の目”維新の戦略

日本維新の会・藤田幹事長(22日)

衆院選で議席を大きく伸ばした日本維新の会は、「次期衆議院選挙で野党第一党を明確に目指す」をテーマに、夏の参院選で改選議席を12に倍増させる最低目標を掲げた。主要政党では最年少の40歳で幹事長として党運営を担う藤田文武幹事長は「自公政権にモノを申す立場から自公の過半数割れを目指す」と気炎を上げる。その起点として統一地方選挙で地方議員600名を目指す(現状は大阪250人、それ以外で150人)。

日本維新の会・遠藤敬国対委員長

維新は、通常国会で再び台風の目となる可能性がある。21日に閉会した臨時国会では、新人議員らに在職1日で100万円が支給されたいわゆる「文通費」問題をめぐり、他党に先駆けて、日割り、使途公開、国庫返納の3点セットを掲げ与野党と交渉した。

「文通費」見直し法案は、1月17日召集が見込まれる通常国会に先送りとなったが、維新はさらに臨時国会で実質議論が行われなかった9つの特別委員会の改廃を求めるほか、1日6000円の委員長手当の廃止法案を提出する構えで、参院選を見据え与野党は維新の動きを警戒せざるを得ない。国会運営を取り仕切る遠藤敬国会対策委員長は「慣例慣習を破っていくことが維新のやるべき姿だ」と国会改革に向けて息巻く。

維新との連携で存在感 都民ファとの連携も始動

国民民主党・都民ファーストの会との勉強会(17日)

衆院選で維新と共に議席を伸ばしたのが国民民主党だ。国民民主も夏の参院選に向けて新体制を構築した。その目玉となるのが維新や東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」との連携だ。

国民民主は17日、都民ファとの政策勉強会を行ったほか、21日には前原誠司議員を新たに代表代行兼選対委員長に充てるなどの新役員人事を発表し、体制を一新させた。前原氏はかつて小池知事とともに「希望の党」を率いただけに参院選を見据え「都民ファ」との連携強化の狙いもあるとみられる。

国民民主党・玉木代表の街頭演説会(21日 東京・新橋)

また臨時国会では、維新とともに文通費の見直し法案やガソリンを値下げするトリガー条項凍結解除に向けた法案を提出していて、通常国会では政策の連携だけではなく、参院選に向けた連携も注目となる。さらに泉健太代表が秋波を送る立憲との向き合い方も焦点となる。国民幹部は「(参院選に向けて)都民ファや維新の連携が重要となる。立憲については、うちに来たいというなら受け入れる」と冷ややかだ。

追及型から政策提案型となったことで臨時国会は盛り上がりに欠けたとの指摘もあり、野党の存在感が発揮できたかどうかは不透明だ。与党の圧勝とも言える衆院選の結果を受け、野党は来年の通常国会も世論の様子を伺いながら安全運転ばかりしていては、再び埋没してしまうだろう。

そして国民もまた厳しい目で野党の姿を見ている。野党の取材を進めていると「我々は野党だから」という言葉をよく耳にする。そんな言葉を発している限り政権を担う覚悟は生まれてこないだろう。

(フジテレビ政治部 野党クラブ)

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