とにかく“うるさい”!

日中の穏やかな新前橋駅前

日中は穏やかな雰囲気の群馬県前橋市。しかし、日が落ち始めると、ある“悩みの種”が開花するという。実際に、前橋に住む住民たちの声を聞いてみると…

近隣の住民:
夜帰ってくる時が、すごくうるさくて。夜中もうるさくて。

近くで働く人:
(鳴き声は)ギャーギャー系かなぁ。耳にはつく音ですよね。

とにかく、口々に「うるさい」という声が返ってきた。いったい、何が起きているのだろうか。現場である、群馬県新前橋駅付近を訪れてみると、午後5時ごろには、特にこれといった変化は見当たらなかった。

しかし、日が暮れ始めた午後6時ごろになると、辺りから怪しげな音のような鳴き声が聞こえ始めてきた。そして、時刻が午後6時30分を過ぎると、どこからともなく一挙に、鳥の大群が押し寄せてきた

午後6時30分過ぎの新前橋

何千羽いるのだろうか?数えきれないほどの数で空を飛ぶ鳥の正体は「ムクドリ」。体長は約25cmで、黄色いクチバシと足が特徴、全国に生息する鳥だ。
昼は田畑などでエサを探し、夜になると寝床を求めて、外敵のいない市街地に出現するようだ。

ムクドリ(提供:都市鳥研究会)

木から木へと一斉に移動し、あまりにも多すぎて木の枝にとまれなかったのか、電線の上にもびっしりとムクドリの姿が…。
道を歩いていた男性が、手を叩いて追い払おうとするも、効き目はまったくない。

さらに、ムクドリの大群は前橋市のみならず、東京都・調布市の甲州街道沿いや、埼玉県・春日部市の市街地などでも目撃されている。
ムクドリは夏から冬の間にかけて、集団でねぐらを確保するため、こうして各地で大量発生状態になるという。

鳴き声以外にも、迷惑な“大量の羽根”

木の上に密集して居座るため、前橋市の現場を昼間に歩いてみると、至るところにムクドリの羽根が落ちていた。

近隣の住民:
羽根が車庫の中に入っちゃって、結構いっぱいになってて、こことそこを掃いて。

朝、近隣住民が掃除した羽根

毎朝、家の前を掃除するだけで、こんなにも羽根が集まるという。

新前橋商工会長・福田俊昭さん:
毎日ですね。近所の人も、毎日これを聞いてるわけだから、かなりストレスはたまっているだろうなって思いますよね。これが大体、夜遅くまで続くんだろうと思うんですよね。3~4時間は続くんじゃないんでしょうかね?

本来は「害鳥」ではなく「益鳥」

実はこのムクドリ、本来は田んぼや畑の害虫を食べてくれる益鳥として知られていた。ではなぜ、そんな益鳥が害鳥扱いになっているのだろうか。
鳥類の生態に詳しい、東京大学の樋口広芳名誉教授に話を聞いてみた。

樋口教授:
まぁどこに行くかは、鳥次第なのでわからないんですよ。安易に「ここにたくさんいるから、追い払ってしまえ。殺してしまえと」いうのは、好ましいとは思えないんです。野生の生き物には野生の生活がありますし、野生の生き物の暮らしによって、人の生活は成り立ってるところもあるわけですから、これはという(ムクドリ対策の)ベストな方法ってないんですよ。

こうした被害に、行政や近隣住民は、街路樹の枝などを剪定したり、撃退用の音源を流すなどの対策を講じている。しかし、ムクドリは別の場所に移動するだけで、イタチごっこの状態が続いているという。

鳥と人間との間で発生しているこのトラブルを解決する妙案は、まだ見つかっていない。追い払って、また別の地域に移ったとしても、今度はそこの地域の方々に被害が及んでしまう。ムクドリを傷つけずに、森に返す方法はないのだろうか。

(「プライムニュース イブニング」8月17日放送分より)