実刑と執行猶予では「天国と地獄」の差が

新型コロナ対策の持続化給付金など1500万円余りをだまし取った罪に問われている、元・経産省キャリア官僚2人に対して、東京地裁は、21日、有罪判決を言い渡した。主犯の桜井真被告(29)は懲役2年6カ月の実刑、実行犯の新井雄太郎被告(28)は懲役2年・執行猶予4年だった。

詐欺の罪に問われている桜井真被告(29・左)と新井雄太郎被告(28・右)
この記事の画像(17枚)

刑務所に収監される「実刑」と、社会生活を送りながら更生を図る「執行猶予」とは、まさに天国と地獄。2人が詐取したのは、自分たちが働く経産省所管の給付金だ。判決でも「あり得ない犯行」「国民の信頼を裏切った」と断罪している。それなのに、なぜ、2人の量刑に「差」が出たのか・・・。

”彼女”への小遣い月150万円 「華美な生活」が事件を起こした

「華美な生活を改められず犯行に及んだ」 判決では、桜井被告の“動機”について、こう指摘した。だまし取った1500万余りの大金は、全て桜井被告の懐に消えていた。

送検される桜井被告(6月 赤坂署)

タワマンの家賃、ギャンブル、クレジットカードの支払い、“彼女”への小遣いは月150万円、高級腕時計パテックフィリップの購入費用は600万円弱などなど。桜井被告の「華美な生活」が事件の背景にあるという訳だ。

同級生・同僚から「主従関係」に

「私をパシリのように使っていた」 被告人質問で新井被告は、そう打ち明けた。2人は高校・大学の同級生にして、経産省でも同僚。しかし、2人が関わっていた“副業”で金銭トラブルが発生。

送検される新井被告(6月 麹町署)

それを処理する過程で、新井被告はミスを犯した。桜井被告は、そのミスを執拗に責め立てた。そして2人の間には、友情ではなく、「主従関係」ができあがったという。新井被告は、桜井被告の言われるままに、給付金を不正受給するための全ての手続きを担ったとされる。

若手官僚の”犯罪” 実刑回避は妥当か

判決によると、刑事責任を負わせる上で、桜井被告と新井被告の間には「格段の差」があるという。「華美な生活」と「主従関係」を見れば、2人を同じようには扱えないのだろう。だが、特殊詐欺の受け子でさえ、「実刑」が当たり前の昨今。国民の税金をだまし取った若手官僚の「実刑」を回避する必要があるのか。理解に苦しむ。

判決理由に聞き入る桜井被告(左)と新井被告(右)

(フジテレビ報道局・解説委員 平松秀敏)

社会部
社会部
記事 641
平松秀敏
平松秀敏


1970年熊本県出身。県立済々黌高校、明治大学卒。 95年フジテレビ入社。報道カメラマン、司法・警視庁キャップ、社会部デスクを経て、現在、解説委員。 サザンオールスターズと福岡ソフトバンクホークスをこよなく愛する。娘2人の父

事件・裁判
記事 84