19歳の女子高校生を誘拐した疑いで男女が逮捕された事件で、市販薬などを過剰摂取する「オーバードーズ」仲間として集まっていたとみられることがわかってきました。「オーバードーズ」はどのように広がっているのか。「めざまし8」は経験者たちを取材。薬の濫用、その実態に迫りました。

SNS上で“大量の薬を服用”投稿 「誘い文句」も

「ピンキリです。多分一番多くて100(錠)くらい」

こう語るのは、悩みを抱え市販の薬を大量に飲んでしまったとい女性。SNSで告白すると、誘いの言葉が返ってきたといいます。

ーー実際に声をかけられたことはある?

女性:
あります。「私もちょっとつらいことがあって、こういうことやっちゃうんです。もしよければライン交換しませんか?」とか「電話しませんか?」とか「同じ県内に住んでいるので会いませんか?」とかそういう感じです。

今、SNS上では、薬を大量に飲む行為を明かす若者たちの投稿が相次いでいます。「オーバードーズ」とは、精神的な苦痛から逃れようと、市販の薬などを過剰に摂取すること。なぜ、他人同士がつながり、薬を大量摂取するのでしょうか。

「怖さはあまりない」初対面で直接悩み相談も

「オーバードーズ」していた人:
「オーバードーズ」してほぼ意識がない状態で親に見つかって、そのまま入院になったっていう感じです。自由に外とかも出れないですし、ずっと鍵のかかる病棟でずっと過ごしてたって感じです。

2021年8月、市販薬を大量に飲んで倒れ、11月まで入院していたという女性。

「オーバードーズ」していた人:
1箱なので60錠、一気に飲みました。

ーーそれは1日で?

「オーバードーズ」していた人:

1日で、もう数分の間で、15分くらいで一気に飲んだって感じですかね。

大量摂取で一時的に気分は高まったものの、すぐに気分が悪くなり、意識を失ったといいます。薬を大量摂取した理由は…

「オーバードーズ」していた人:
交際相手とお金でもめて、それで返す返さないで、いざこざになって。他はまた仕事のことで、人間関係に悩んでて。

薬物依存で治療を受けた10代の主たる薬物において市販薬の比率が、近年急増しているというデータも実際出ています。

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さらに、女性はこうした薬の大量摂取をSNSで明かしていました。

コメントと共に投稿した大量の薬の画像。すると、投稿を見た人から反応が…
「すごい!」「大丈夫?誰かに話を聞いてもらったほうが良い」

様々な反応があり、救われた面もあるという女性。中には、SNSで知り合い、直接会って相談した男性もいるといいます。

「オーバードーズ」していた人:
私の相談事とかも、すごい親身になって聞いてくれる人だったんで。

ーー怖いとか思わなかった?

「オーバードーズ」していた人:
電話をしていてこの人ならいけるかなっていうので会ったので、怖さはあまりなかったですね。一緒にOD(オーバードーズ)をしたって言う感じではなくて。普通にただ遊びに行ったり話聞いてもらったりって言う感じです。

この女性は、トラブルにはなりませんでしたが、実際、SNS上には。こんな誘い文句が。
「都内で一緒にオーバードーズしてくれる方募集です」

さらに、過去に「オーバードーズ」を経験したという人物を取材すると、集まって薬を大量摂取する行為に及ぶ理由を明かしました。

館山ダルク職員:
共感して一緒にやる分、1人で使うよりも気が楽です。みんなのペースが違うのに(薬の量を)合わせていくので、どんどん過剰の数値が上がって行ったと思います。

命を落とす危険性もある薬の大量摂取。オーバードーズする若者たちの相談をこれまで受けてきた専門家が解説しました。

オーバードーズで苦しむ若者たち SNSでの“支離滅裂なひらがな”

LINEによる10代の24時間相談活動を行っている「若者メンタルサポート協会」の岡田沙織理事長に話を聞くと、コロナ禍になって相談件数が増えてきたと話します。

さらに、10代の相談件数が増加しており、2020年4月には1万7870件の相談が寄せられ、わずか8か月後の12月には4万1063件へ。コロナ禍で2.3倍増加しているというデータもあります。そして、その中でも…

若者メンタルサポート協会 岡田沙織理事長:
ODをしている子とかやりたいという子に関しては2割くらいは、いるかな。いや、3割くらいは居る感じです全体の。

特に増えているのが、“オーバードーズ関係”だというのです。

大量の薬の画像を送ってくるという若者たち。

若者メンタルサポート協会 岡田沙織理事長:
ODしてる子って、文字が、“支離滅裂なひらがな”が来るんですね。だからすぐ分かるんですよ。

実際に相談者とのやりとりを見せてもらうと…

若者メンタルサポート協会 岡田沙織理事長:
ODも今日何錠飲んだとかをいちいち(SNSに)書くことで誰かかまって、誰か私を見てっていう心理状態の子も一定数いるという状況です。

若者メンタルサポート協会 岡田沙織理事長:
やはりこのやりとりした後に眠ってしまったり、少し落ち着いて翌日に「きのうはごめんなさい」っていうパターンが多いんですね。それで、このまま救急車を呼ばれて運ばれるというケースはそこまではないんですけども。最初は10錠だったものが、100錠、200錠と、どんどん耐性がついて量が増えてしまうというのが現状なので、このやりとりのようにまでなってしまう子も増えています。

この若者はその後どうしたのか岡田理事長に聞くと…

若者メンタルサポート協会 岡田沙織理事長:
薬を飲んだところで、致死量というのは相当な量を飲まないとならないので、逆に病院に運ばれてしまって胃洗浄という辛い処置が待ってるから、1錠飲んで寝なさいね。という風に話をひたすら聞いて、飲まさないようにして終わらせたというのがこの時でした。

叱るのではなくまずは“受け止めること”の重要性を指摘しました。

”過剰摂取の危険性“ 容易に入手可能な市販薬

「過剰摂取の危険性」について、法科学研究センターの雨宮正欣さんに話を聞くと、

酒など同じような作用を持つものと複数併用することは非常に危険である点や、連用すると体にダメージが蓄積し問題なかった量で症状が出る恐れがあること。
そして、簡単に入手できる市販薬は手を出しやすいことで、より刺激を求め強い薬物にエスカレートする可能性を指摘しました。

「不安」を解消するため危険な過剰摂取に踏み出すという現状。この「不安」を社会で和らげていくことができるのでしょうか。

(めざまし8 12月16日)

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