10月の衆院選をめぐり、福岡県北九州市の自民党候補者の運動員2人が逮捕された事件。実際に事務所でアルバイトをしていた学生が、選挙運動の実態を明かした。

“電話での投票呼びかけ”で時給1000円

鑓水航記者:
黒いスーツを身にまとった福岡県警の捜査員が、山本幸三氏の事務所に入っていきます

家宅捜索に入る捜査員
家宅捜索に入る捜査員
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家宅捜索を受けたのは、10月の衆院選・福岡10区で自民党候補として出馬した山本幸三氏の事務所。山本氏は9回目の当選を目指すも、約3500票差で立憲民主党候補者に敗れた。

今回、捜査の対象となったのは山本氏の選挙運動員。

公職選挙法違反の疑いで逮捕された、北九州市小倉北区の警備会社の代表・宮川淳士郎容疑者(58)は、山本氏の「後援会幹部」だった。さらに、同じ会社で役員を務める今坂公侑容疑者(38)も逮捕された。

公職選挙法違反の疑いで逮捕された宮川淳士郎容疑者
公職選挙法違反の疑いで逮捕された宮川淳士郎容疑者

2人は10月の衆院選で、北九州市の男性2人に対し、電話で有権者に投票を呼びかける選挙運動のアルバイト代として、時給1000円の報酬を支払う約束をした疑いが持たれている。

公職選挙法は、電話や街頭で候補者への支持を訴える運動員に報酬を支払うことを禁止している。

「マニュアルがあった。警察に呼ばれ逮捕されるかと…」

山本氏の事務所で「お手伝い」としてアルバイトをしていた男子大学生が取材に応じ、実態を語った。

山本事務所でアルバイトをしていた大学生:
事務所でいろいろお手伝いというか、そういう感じで募集していて、それが選挙運動に関するとは思っていなくて。日当7000円で大体1~2週間くらいだったので、多く(アルバイトに)出れば出るほどもらえるかたちです

1人暮らしの男子学生は、バイト代で少しでも生活費や学費を賄いたいと考えていた。しかし、バイトを始めてみると「選挙運動」ともとれる仕事が含まれていたという。

山本事務所でアルバイトをしていた大学生:
(電話の方法は)マニュアルに書いてあった

山本事務所でアルバイトをしていた大学生:
まず、あいさつから。「こんにちは、山本幸三事務所です~」と言って「どこに投票しますか?」みたいな。最後に聞いた上で、「山本幸三をよろしくお願いします」というかたちで

この男子学生は、電話での呼びかけは選挙運動にあたる恐れがあると思い、一切行っていなかった。ところが、選挙のあと“ある連絡”が回ってきたという。

 
 

山本事務所でアルバイトをしていた大学生:
選挙が終わってすぐくらいに、選挙に関する連絡内容は全部消してほしいって、友だちを通じて連絡があって

今坂容疑者が、大学生にアルバイトの内容が記載されたLINEのやり取りを消去するよう指示したというのだ。証拠隠滅を図ったのか。

さらに警察から署に呼ばれ、アルバイトの内容について細かく聞かれたという。

山本事務所でアルバイトをしていた大学生:
逮捕前提で話が進んでいるのかなと感じて、ちょっと怖かったですね。逮捕されるんじゃないかと思って…。コロナ禍で普通のバイトも入れない状況で、お金に困っている学生というのは多いと思うんです。「バイトします」って言った僕たちも悪いんですけど、募集した側も悪いんじゃないかなと思います

山本氏の事務所には同様のアルバイトが十数人いたとみられていて、警察は陣営側の関与について慎重に捜査を進めている。

(テレビ西日本)