
4日正午過ぎ、東京・八王子市の東京しごとセンター多摩で開かれた、企業の合同説明会。
リクルートスーツに身を包んだ多くの学生が、真剣な面持ちで就職活動、いわゆる“就活”に取り組んでいた。
就活について聞いてみると「大変です」や「正直焦ってます」など、就活の大変さがうかがえるような回答が返ってきた。
“就職戦線に異状あり”
そうした中、経団連の会長が3日、会見で口にした発言が波紋を呼んでいる。

経団連・中西宏明会長:
経団連が日程を決めて、それが良いのか悪いのかと批判浴びても、まったくそれ以外のことを采配していないので、おかしな話だなと思います。
そう語り、2021年春以降に入社する学生の採用活動に関して、面接の解禁時期などを定めた“就活ルール”を廃止する意向を示した。
現在の就活ルールは、3月に会社説明会、6月に面接を解禁するというもの。
特に罰則はないため、解禁破りをして“青田買い”する企業が後を絶たず、ルールの形骸化が問題視されてきた。
“青田買い”と就活ルール
専門家によると、“青田買い”が広がったのは高度経済成長期、金の卵と呼ばれた地方の中学・高校の卒業生らが大都市圏に働きに出る「集団就職」が盛んに行われた時代だという。
1950年代初頭には、企業側と学校側が自主的に就職協定を締結した。
その後、1996年に就職協定が廃止され、1997年に経団連が中心となって就活ルールが作られた。
しかし…
人事コンサルタント・城 繁幸さん:
高度成長期というのは、人を採れば採るほど売り上げが上がった時代ですね。なので、今、採用しないともっと採用しにくくなるぞと、青田買いという現象が浸透したんでしょうね。
それ(就活ルール)に従うのは、あくまで経団連の傘下の企業だけなんですね。優秀な学生を先に外資だとか新興企業にとられる、そういった危機感はあると思います。

3日、経団連の中西会長が廃止の意向を示した結果に、安倍首相は「就職活動を企業側がするのが早くなっています。そのルールをしっかりと守っていただきたい」としており、企業に対し、就活ルールを守るよう呼びかけたが…
麻生財務相:
なかなか現場に合わなくなってきてるのでは、という話をされてるのは、一考に値すると思う。
経済同友会は評価も、大学の反発は必至か
その一方で、経済同友会は会見で、就活ルールをめぐる議論の活性化を評価した。

経済同友会・小林代表幹事:
業界団体の集まりである、経団連の会長が、ああいった形で一石を投じられたというのは、非常に前向きに評価したいと思っています。
はたして、就活のスタートラインなどを決めた、就活ルールはなくなるのだろうか。
就活中の大学4年生:
就活時期の自由化はいいとは思います。自分の好きなタイミングで好きに就職活動できると思うので。
という、賛成の意見もあれば、その反対に
就活中の大学4年生:
勉学が衰えてしまうところがあるので、それはあまり変わってはほしくないなと思います。
就活ルールがなくなると、困るという意見も聞こえた。
経団連は今後、ルールを廃止するかを検討するが、混乱が生じる可能性もあり、大学などの反発も予想されている。
(「プライムニュース イブニング」9月4日放送分より)